徹夜明けの体は


普段取り巻いて私を守っている箍が外れてか


そんな余計なことに使う力は


きちんとセーブ状態になっているのか





なんというか


すべてに於いて


非常に素直だ





何気ない一言で


約束をひとつ覚えていてくれたという


ただそれだけで


涙が止まらなくなる


そんな自分に


驚き 安心する





「直接会う繋がりがなくなったら


忘れられてしまいたい


完全に忘れられて、それでいい」


そんなことばかり言っていた頃に


きっと彼のことだから


先々も覚えているんだろうけど


覚えてなくてもかまわないや と


「いつかね」って言った時


内心 思ったのを覚えている




先のことなんて


どこにいるかわからないし


何をしているかわからないし


約束なんて まぁ


とりあえずのものだろう って


諦めとかじゃなく


単にドライで身軽でサバサバと


そんなものだった




それが


時が経ち


帰ってくる頃になるとは


守られなった約束ばかりの中


期待することを忘れようと言い聞かせた


あの時の私は


果たして想像していただろうか?





そして少し前まで


もがいていた私は


吐き出す方法も


方向も分からず


ひたすら奥へ奥へ籠り続け


そんな人がいてくれたことすら


すっかり忘れてしまっていた





忘れないでいてくれる人が


いるのだということを





すっかり


忘れてしまっていた





そのことに気付いて


たくさんの顔が久しぶりに浮かんで


また


涙が止まらなくなる