怒りは感情のふた。

怒っている間だけ忘れられる。


版画の視点。

線を描いて書き込むんじゃない。

欲しい線を残す。


私に好意を抱いてくれた人に対して、なぜか非常に卑屈になる。

高飛車?


どう見ても恋に落ちたとしか呼べないような

圧倒的な確信に満ちた恋愛をしたいと

相当前から思っている。


これは私が私と二人きりになる時間。

二つの私を一つにする旅。


デザイナーをやってみたいならまずは服を作ればいい。

デザインを書き出せばいい。


少し心を緩めて、列に並んで流れのまま…を買ってみた。

どうやらこれも「一度やっておけばいいや」で終わる類のひとつらしい。

値段相応って、よくわからない。


なんだか少し、苛立っているように思えた。

限られた中で楽しんでいるフリをするのには、明らかに飽きてきていた。


いつだって楽しんでいるふりをしていた。

フリじゃあ、のめりこめなんてしない。時間を忘れたりも、しない。

本当に時を忘れて、いつまでだって居たい場所も、見つけたんじゃないか。


背中の痛みが私にもたらしたもの。

何から順番に切り落としていくのか。

最後に残るものは何か。

面白いくらいに興味を失っていく。

抜け落ちて、空っぽになっていく。


ほんとうに些細なところまで幸せに満ち

いくらでも出会いがあり喜びがある中で

日々の流れを一変させるにはたった一人でじゅうぶん。


静けさに満ちた湖のように風になでられて微かに波打つ程度だった水面は

飛沫を高らかに舞い上がらせるビッグウェーブを起こし始める。

その一瞬が待ち遠しく、広く眺めては微笑んでた日々はベクトルを持ち

高波の発生は同時に大きな低下の発生を意味する。

その、次なるものへ気づくまでの時間が、だんだん短くなっていく。どちらが幸せ?


気付いて得るもの、気付いて失うもの。

そんなの決まっている。失うなんてことはない。

怖がって、そう言い聞かせてしまっているだけなんだ。


人のあたたかさが恋しくなれば、誰でもいいから話しかけてみればいい。

伝えたいことは限りなくシンプルなのだから。言葉の違いなんてどうにかなる。


孤独感を嘆かなくても、落ち着いて深呼吸してまわりをよく見れば

たくさん助けてくれる人がいることに気づく。


数え切れないほどの人の渦のど真ん中にいるけれど

誰の目にも映らない。気配すらも届かない。

すべての人が目の前で出会い、交わり、別れる。

時に一時的に、時に永遠に。何かを手にし、何かを失い、

来たときより少なくとも何かひとつ状況を変えて去ってゆく。

私にできることは、手のひらを押し付けたガラスが絶えず体温を奪い取っていき

為す術のない体からすこしずつなにかがこぼれ落ち続けるのをじっと感じとることくらいだ。

誰とも交わらない視線を追いつつ、動かない空気の筒の中で立ち尽くし

何者かである人たちを眺める。何者でもない者として。


低くおだやかな声が、冷たい空気よりも鋭く刺さる。 

いつまでも、自分を哀れんでるんじゃないよ。 

その通りだよ。そうなんだけどさ。


願って作り上げる空想は時に力を持つこともあるのだろうという気はしても

前触れもなく沸き上がる世界はすべて、その舞い降り方のように地につくことはなく

決して現実のものとはなってくれないものなのだろうという淋しさを感じてきた。 

止めようにも次々とあふれ過ぎ去ってゆく鮮やかで甘美な世界を脳裏に浮かべながら

これらは叶うことのない幻なのかと思うと、どうにもやりきれなくなった。


約束は守る。少し我慢する。決めたこと


失敗することは恐くない。

むしろ今はそれを求めているのに、どこへ向かうべきかを定められていない。

歩きださないと転べない。


空の万華鏡。天井にくるりときらめくライトの、雲の、夕日のちらばり。


眠くなると咳が出る。


冷気を帯びたタバコの薫り


プールテーブルの、落ちたボールの辿る道


夜を運んでくる鯨


昼間の躍動感を脱ぎ捨てた青い空気がゆっくり街に降りてくる。

女神が、ほほえむ。大切なことはすべて私の中にある。


街が動き出す音。大きな換気扇のモーターが轟音を立てて回り出す。

朝の眩しい光。さわやかな空気。新たな一日の始まりが、たまらなく嬉しい。