蛙の子は | 徒然ぱんだ ~ダウン症★育児日記~

徒然ぱんだ ~ダウン症★育児日記~

  
2011年1月11日生まれの息子、ももたろはダウン症です。

先天性の心室中隔欠損+肥大型心筋症という合併症。そして喘息もち。

育児、ダウン症についてなど、思いつくまま書いてます。

保育所に迎えに行ったときに、外からムスメが泣き出したのが見えた。



そばには、時間外の先生と同じクラスの男の子。

(便宜上、以下「乱くん」とします。)



察するに、乱くんと何か取り合いになって負けたか、叩かれたかで泣いているみたい。



室内に入って先生に聞いてみると、やっぱり乱くんに叩かれたらしい。


実は乱くん、乱暴な子で、保育所内でも有名。



時間外の先生も「ムスメちゃんに謝るように言っても聞かなくて…」


乱くんは、普段から「部屋から廊下に出て行っちゃうし、追いかけて部屋に戻ったと思ったら、今度は園庭に脱走してるし、年上の子だろうと先生だろうと叩くし、押さえると蹴るし、ばかやろーだのてめえだの口は悪いし、絶対に謝らないし…」とこぼしている。


担任の先生なんてなめきっているのか、つばまで吐くらしい。


前から、内通者の保育士の友達も、乱くんの乱暴ぶりにはよく愚痴ってた。


おまけにその父親がモンペ。彼女が連絡ノートに書いた言葉が「気に入らない」と所長に怒鳴り込んだことがあるらしい。
(彼女の言葉足らずな表現力にも問題はあったらしいけど…)


プロでなくとも、迎えに行ったときに行動を見るだけで、そういう性格が読み取れるくらいにわかりやすい乱暴者。


乱くんの家庭環境が悪いのか、ADHDの気があるのか、それとも昔ながらのガキ大将的な子なのかはわかりませんが、そういう子だと知ってはいても、目の前で泣いているムスメを見たら、心穏やかではいられるもんじゃない。


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もとから、家では「やられたらやりかえせ」とムスメには言っているので、「泣く前にやりかえしといで」とそこでも言ってはみたけど、相手は男の子だし、性格は乱暴だし、体格も大きいし、逃げ足も速けりゃ、力も強い。


到底ムスメの相手ではない。


部屋の中を逃げ回り、今度は職員の先生に捕まえられたときにムスメに叩かれ返された乱くんは、ムスメを蹴る。


さらに泣くムスメ。


乱くんを捕まえている職員の先生はムスメに、「やりかえしたら、ムスメちゃんも乱くんと同じになっちゃうよ。ちゃんと言葉で言ってみようね。」と言い、「痛かったよ」「やめて」とムスメに言わせたけど、


乱くんは謝らない。


職員の先生は乱くんを連れていき、一緒に遊んで気分を変えようとしていた。


私は、親には「やられたらやりかえせ」と言われ、先生には「やりかえしちゃダメ」と言われ、乱くんに負けて悔しいやら…きっと頭が混乱して泣きじゃくるムスメに、どう言っていいものやら私自身混乱。


自分に嫌な思いをさせた乱くんが、職員の先生と遊んでいるのをムスメは見て、自分も仲間に入り、子供の立ち直りの早さに、また私は混乱…

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自分で言っときながらだけど、「やられたらやりかえせ」は、誰でもどんな時でもできることではないと思う。


その言葉には、私自身の強い願望が入っている。


なぜなら、私がやられてもやりかえせない人間であって、やり返す前にモヤモヤ考え過ぎてしまったり、お人好しとも言える気が小さかったりするところが自分で嫌いだから。


ムスメにそうなってほしくないという気持ちの表れだと、私自身わかってはいる。


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自分が仕事を続けてこどもを保育所に入れたことは、収入の確保だの、自己実現(?)だのという以上に、ムスメに私自身に足りないと思う社会性を身につけてほしいからというところもあった。


まして弟であるももたろの成長や周りによっては、ムスメにいじめなどの火の粉が降りかかってこないとは言い切れないわけで。


いつも、いつまでも、親はこどものことを守ってあげられるわけではないから、問題―特に人は社会の中で生きる以上人間関係に悩むことは多々あるはず―にぶつかった時、解決のしかたや、自分で自分の気持ちのカタをつける方法を身につけてほしい。





職員の先生の言うことはもちろん正論。もしムスメが本当にやり返せば、暴力は暴力しか生まず、ムスメも乱くんも2人ともが大けがをしかねない事もわかるけれど




どうきれいごとを言っても、まだまだ社会は弱肉強食でしょ。




ごねる者、力を振りかざす者には勝てないし、正義を徹して不器用に生きるよりも、器用にうまく立ち回った方が生きやすい。


ずるくても汚くても、生きている方がいいし、どうせ生きるなら生きやすいほうがいい。



これは、先生の言うような「乱くんと同じになっちゃうよ」を愚直に信じて、器用には生きてこれなかったし、これからもできないであろう私の人生の反省点であって、ムスメにはもっと楽に生きてほしいから、身につけてほしい術でもある。



子どものうちは、手段が手であろうと、足であろうと、口であろうと、気持ちのままに衝動的にやりかえすことがあっても許されると思うし、その瞬発力を抑えてほしくないし、そういう気持ちの解放のしかたもあることを知るのは、抑えることを知るのと同じくらい大事じゃないかと。


そのうち、衝動的な暴力ではないやりかえし方や、やりかえすべき相手かどうかを見定める判断力を身につけていくはず。


私自身、大人になって抑える場面が増えてくると、そう思うところがあり、子ども同士でムスメが遊んでいる時に多少の軋轢(怪我はしてほしくないけど)を経験する中で学んでほしいと思っている。



帰り際、職員の先生は「ムスメちゃんに、やりかえしたら乱くんと同じだよと言って、ママと違う言い方してすみませんでした。」と言っていたけど


別に謝ってほしいわけではないし、先生が間違っているわけではない。


ただ、それは正論ではあるけれど、きれいごとだって思ってしまう。



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その時の様子を見ていて、ムスメはまるで私自身の子どもの頃のようで…



悲しいかな、0歳から保育所に通っていても、ムスメは見事に私の遺伝子を受け継いでいるみたい。



蛙の子は蛙なのかな。



負けるなとかがんばれとか、重荷になる言葉かもしれないけど、精神的耐性は強くなって!ムスメよ。