R18 LOVE CINEMA SHOWCASE のオフィシャルブログで自作解説をはじめました

今回上映される作品11本を古い順にすべてやってゆく予定です。

↓ 第一回はデビュー作「味見したい人妻たち(押入れ)」です

http://r18lovecinema.seesaa.net/


で、まあ、こちらのブログでも同じものを載せてゆきます。読者は多い方がいいですからね。

内容は同じですがこっちは最近マイブームの挿絵などがはいったりするかもです。

なんとなく礼儀としてオフィシャルの方がアップしたらこっちもアップするというカンジでやってゆくつもりです。


自作解説・その①
「味見したい人妻たち」
シナリオタイトル「押入れ」/2003年エクセスフィルム



城定秀夫のブログ

27歳の時撮った僕のデビュー作です。
「ピンク映画は三年で監督になれる!」というウソビアを鵜呑みにして大学卒業後ピンク映画の助監督になったはいいものの、三年たっても監督になれる気配は一向にありません。


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…と気づいた時はもう後の祭り、就職氷河期と言われて久しかった当時、いまさら職がえはちょっとメンドクサイなあってカンジでした。
とにかく向こうから「監督やって下さい」とは絶対言ってこないのは分かったので、何かしなくては、と焦った挙句、脚本を書くことにしました。
月刊シナリオを買い漁り、見よう見まねで四本ほど書き溜めた頃、当時師匠だった北沢幸雄監督が「何か企画あったらもってこいよ」といったので、四本まとめて師匠の自宅に郵送で送りつけました。
社交辞令的に言っただけの師匠は本気にされてさぞ困った事でしょう、読んでくれたのはそれから半年後でした。
ようやく読んだ師匠は言いました「まあまあよく書けてる。分かった、俺がデビューさせてやる」

さすが北沢監督、男の中の男です!今ではすっかり疎遠になってしまいましたが、今でも僕の心のお

師匠は北沢監督です。

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そういうわけでデビューの運びとなったわけですが、メーカーは当時一番エロに厳しかったエクセスフィルムです。


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※画像とエクセスフィルムは関係ありません


ロマンポルノにかぶれている先述の四本は「エロが足りない!」という理由で却下、新たに別なホンを書くことになりました。因みにこの時の四本の中の一本に手を加えたのが去年、加藤監督に提供した脚本「壷姫ソープ・ぬる肌で裏責め(シナリオ題:うたかたの日々)」です。
とにもかくにも「絡みの回数が多ければ文句ないだろ!」と言わんばかりに大小おりまぜ10回以上のエロシーンをぶちこんだこの「押入れ」という脚本を新たに書きました。主演は知人(現在の嫁)から紹介された当時女優でもなんでもなかったKaoRiさん。とても不思議な女の子で、このエロエロな脚本を読んで、出てもいいとおっしゃってくれました。

KaoRiの気が変わらないうちにさっさと撮っちまえ!とばかりに急ピッチでクランクイン。僕の人生初の「よーい、スタート」はピンク色のアパートの前にヒロインが立っている、という画だったと思います。

現場中はもう必死でした。途中カットの割り方が分からなくなってテンパったり、脚本に書いてないことを思いついてやろうとしたら助監督が不機嫌になったり、KaoRiさんが絡みの途中で「頭がいたい」と言い出して「やばい!逃げられる!」と思ったり…まあ、それでも何とか四日でクランクアップ。助監督田中氏の粋な計らいで初監督おめでとうの花束を貰い涙ぐみました。

しかし、後日の精算で「花束代」という領収書を発見。ピンク映画は制作費の余りが監督のギャラというルールです。…え?てことはあの花束、僕のお金で買ったってことじゃん…まあ、いいんですけどね。

仕上げでもひと波乱ありました。オールラッシュを見終わった北沢師匠が現像所中に響き渡る怒声をあげたのです


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「城定!てめえ確信犯かっ!!」

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えっ…どういう意味?


…どうも、師匠に気に入ってもらうことは出来なかったようです。理由は、いろいろ言われたのですが…もう忘れました。人間の記憶って便利ですね。

そっからは半泣き状態での仕上げ作業です。でも途中から「もうどうせ二度と監督なんてやらせてもらえないから好き勝手やろ」と開き直りましたけど。

音楽は大学時代に「宇宙病院」という8ミリ映画を一緒に作ったタルイタカヨシ氏に作ってもらいました。その後タルイ氏は僕の殆どの作品の音楽を作ってくれることになる頼もしい奴なのですが、この頃はお互い映画音楽なんてどう作ればいいのか分からず、短いフレーズのメロディーを尺に合わせてひたすらループさせるという今思えば恐ろしく単純な音楽を当てました。今聞くと逆に斬新です。

完成初号での反応は意外な事に悪くなく、上映後に拍手が起きました。

調子に乗った僕は打ち上げの席で北沢監督に褒めてもらおうと近くに擦り寄りましたが「今、お前とは話したくない。褒めてくれてる人と話して来い」と言われてしまいました。

その時の師匠の厳しくも少しはにかんだ顔は今でも忘れられません。


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師匠ったらツンデレなんだから…

本当に思い出深い作品です。

今回は諸事情によりDV-CAMでの上映になってしまいましたが、劇場で見れるチャンスは滅多にないので、皆様この機会に是非ご覧下さい!