先週、”新しい器官(organ)”が発見されたというニュースが話題となりました。今回発見されたとしたのは”間質”と呼ばれるもの。間質とは、「生体内のある機能をもつ組織や器官などの実質を、支えたり結合させたりする組織」とあります(大辞林より)。内臓や筋肉、そして血管などの組織や器官を支えたり繋げたりしてくれている組織が間質となります。これは網の目のようになっていて、多くの体液で満たされた空間であり、全身をネットワークとして繋げてくれています。

 

 

間質細胞や間質液などはこれまでも知られており、間質性肺炎のように間質が関連している疾患も既に多く存在しています。また近年、間質とがん細胞との関連が明らかになり、研究が進んできています。

 

医学や科学の分野では組織を生きたままではなく化学薬品で処理をした上で顕微鏡で調べられてきたために、間質は”単なる結合組織”として軽んじられてきました。しかし、fascia(筋膜・膜)を長年研究されている方の間では間質は新しいものではなく既に知られているものでした。fasciaの研究で有名なRobert Schleip氏は「間質自体は新しい発見ではないけれど生体での顕微鏡を用いた検査が利用できるようになり、fasciaの分野への貢献が期待される」としています。

 

(photo by J.C.GUIMBERTEAU)

 

わたし達の身体の60%は水分だとされています。その内2/3は細胞の中にありますが、残りの1/3、つまり体重の20%ほどはこの間質に含まれているとされています。そして間質にはしっかりとした線維であるコラーゲン線維や柔らかさのあるエラスチン線維があり、弾力性に富み衝撃吸収をしてくれている組織です。Gil Hedley氏は間質を”fasciaの周囲にあるfascia”のようだと呼んでいます。(身体の専門家の方で実際の解剖の映像をご覧になりたい方はこちらをご参照ください。)

 

2年前には腸間膜という”新しい臓器発見”のニュースがありましたが、今回のニュースもまた身体の中には必要のない臓器などなく、全て役目があり存在しているのだと考えさせられました。

 

<参考文献>

Benias, et al. Structure and Distribution of an Unrecognized Interstitium in Human Tissues : Scientific Reports, 2018

https://www.nature.com/articles/s41598-018-23062-6

 

https://nyulangone.org/press-releases/researchers-find-new-organ-missed-by-gold-standard-methods-for-visualizing-anatomy-disease

https://www.livescience.com/62128-interstitium-organ.html