Polarstar(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

最初から『高野一族』として紹介され、それでも

 

田舎から出てきたどこの馬の骨・・

 

という好奇の目も正直感じていた。

 

こんな中で自分が結果を出せるのか、とも思った。

 

でも。

 

ここで自分の意地を見せたかった。

 

母が出て行ってからの自分が過ごしてきた時間を母や伯父に見てもらいたかった。

 

その一心で。

 

 

『結局めちゃくちゃコネじゃん。なにいきなりこんな重要プロジェクトのメンバーになっちゃってんの、』

 

『でも。あのイケメン具合で女子らは賑わってるみたいよ。』

 

『専務が離婚して田舎に置いてきた子供なんだろう?それはもう高野一族でもなんでもないじゃん』

 

 

自分がいない所で陰口もたたかれた。

 

何の苦労もなく高野のような一流企業に就職するような人間には絶対に負けたくなかった。

 

もともと理系は強かったけれどアプリ開発について死ぬほど勉強した。

 

毎日睡眠時間は3時間ほどで。

 

本当に大変だったけれど、プレゼンも認められるようになって。

 

陰口はいつの間にかなくなり、今度はみんなが『いろんな』目論見で寄ってきた。

 

田舎でただただ父や弟や畑のことだけを考えて生きてきた生活とは真逆の、都会での生活。

 

何も知らない田舎者

 

と揶揄されたくもなく、誘われた遊びにもつきあった。

 

実際。

 

楽しかった。

 

自分の仕事が認められて、夜はみんなと飲みに行ってクラブで遊んで。

 

そして。

 

一人の部屋に帰って毎回落ち込む。

 

みんな。

 

高野一族の肩書きでちやほやしているだけなのかもしれない。

 

徐々にそんな気持ちも湧いてきた。

 

 

あたしがホクトの娘だからですか。

 

 

そう言った彼女に冷たい言葉を放ってしまったことを猛烈に後悔していた。

 

自分が10年前経験したことと全く同じ『劣等感』を突き付けられた。

 

結局。

 

いい仕事をしたと褒められても心は満たされなかった。

 

天音のため、と丹波に帰ることにしたというのは

 

後から造り上げたウソの気持ちなのかもしれない。

 

ただただ虚しくなっただけかもしれない。

 

 

 

翌日。

 

ホテルのラウンジで一緒に朝食を摂ったが

 

ものすごく空気が重かった。

 

挨拶だけで初音は目も見てくれない。

 

 

どうしよう

 

 

実は二人とも同じような心持ちだった。

 

 

「あの、」

 

食事を終えた頃初音が口を開いた。

 

「は、はい・・」

 

「9時半ころチェックアウトしましょう。雪も止んで空港まではタクシーで時間通り着きそうですから。」

 

事務的な言葉だけだった。

 

「・・はい、」

 

真緒はどうしていいかわからず小さく頷くだけだった。

 

初音は真緒の言葉で高野で仕事をしていた頃の自分の圧倒的疎外感と虚無感を思い出してしまい・・

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

 



恋愛小説ランキング

 

↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!

 

 

 

 

 

  で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。