yuubin  郵政民営化の問題に関して、大前研一氏が著書「考える技術」において述べている意見がとても的を得たものであると思うので、紹介します。

 要約すると、①郵貯・簡易保険は廃止し、②郵便は全国で1つの配達公団として生まれ変わるのがベストであるという意見です。

郵貯・簡易保険は廃止

 問題は郵便貯金事業と簡易保険事業、特に郵便貯金事業にあります。
 これまで郵貯で集められたお金は財務省の理財局に入れられたり、国債を購入にあてられたりしていました。しかし、最大の問題は、郵貯は集金だけはできても、融資をするノウハウを全く持っていないことです。民営化後に自主的に運用しようとしても、運用できないでしょう。
(銀行ですら法人営業部や審査部の能力が低く、融資が下手で、あれだけの不良債権を抱えたのに、融資ノウハウのない郵便局がどうやって融資するのでしょうか。)

②郵便は全国で1つの配達公団として生まれ変わる

 郵便事業は、メールやFAXや宅配便にとって代わられていて、斜陽産業となってしまっています。大前氏の案は、「公団化し、郵便物・新聞・チラシをすべて集約するデポとして生まれ変わるべきで、デポ=各家庭というラスト1キロメートルのユニバーサルサービスを提供すれば良い」という案です。
なお、「デポは公団で国民の財産なのだから、他の宅配便も自由に使うようにすべきで、そうすれば従来の配達網(新聞販売店やチラシ配布業者)は壊滅的なダメージを受けかねないが、物流コストは飛躍的に下がるはずであり、また、デポの運営は民間委託で行っても良い」との認識が示されています。

 私はここで郵政に関して述べられていることは、そのままテレビ局や新聞社等の「既存メディア」についてもいえると思います。

著者: 大前 研一
タイトル: 考える技術