インドには、日本食が皆無です。
日本食材なんて、売ってません。
なので、そこに住まう駐在員たちは、
なんとか、インドの食材を使って、「なんとなく日本食」
というあいまいな料理を作って頑張って過ごすわけですが、
そんな毎日だと、
どうしても、ちゃんとした日本食が食べたくなるんです。
ないものねだりと一言で言えば、そうなのですが、
10日間くらいの旅行だけで、「梅干が恋しい」とか言ってる人、
いますよね。あんな感じでしょうか。
もちろん、インド料理も堪能するのですが、
昼も夜もインド料理になりがちなお仕事をする旦那さま方は、
「いやじゃ~~!日本食が食べたいのだぁ!」という望みを
抱える旦那陣が多くなります。
もちろん、インドに長期で出張にくる出張者も同じ悩みというか、
望みを訴えます。
しかし、その望みを叶えるためには、信じられないほどの努力が必要になります。
肉や魚・ソーセージ・納豆、おでんの具、ハム、もろもろ全部を冷凍します。
実家の冷凍庫をその為に空けてもらうのも、気がひけるもんです。
そしてそれら冷凍品をドライアイスと共に大きな発砲スチロール箱に
仕込んで持ってくるわけです。
ちなみに薄力粉や強力粉
(インドは中力粉なので美味しいパンがないため、自分でつくります。)
などの粉類は、スーツケースへ。
こだわりの液体系調味料もスーツケースへ。
生卵好きな日本人の私たち。もちろん持っていきますよーー!
それは、割れることを懸念してプチプチでグルグル巻きにして手荷物へ。
日本独特の野菜、「春菊、長ネギ、えのき、しいたけ、しそ、
美味しいかぼちゃ、みょうが、ジューシーで巨大な大根」なんかは、
冷蔵品用の保冷材をいれた発泡スチロールへ。
それは、頑張っている姿というより、いと哀れな空気が漂い、
もちろん、泣けてきますよ~~。
そこで、イメージしてもらうため、質問します。
毎日、お買い物をしているのに、
その買い物袋って重くありませんか?
野菜って、水分含んでるから、意外と重くありませんか?
粉って、1キロ単位で売ってるし、買うと重いですよね?
いかがですか?
液体調味料って、大体ガラス瓶だから、重いですよね。
それを数か月分、厳選して一気に持っていくわけです。
いつも50キロ近くなります。
巨大なスーツケース・機内持ち込みギリギリの大きなカバン、
そして発砲スチロールを2段・3段。
成田に着いた時の表情は、飛行機に乗る前なのに
疲労困憊。
バンガロールは乗り換え必至なので、その大きな重たい手荷物を
常に持ち歩く苦痛。
これで子供でもいようものなら、大変な騒ぎ。
10年位前、タイの伊勢丹や富士スーパーに旅行時に寄ったとき、
大きな発砲スチロール3段をカートに抱え、必死の形相で急ぎ足する
日本人一家を目撃しました。
その時は、「あんなにたくさん、なんのお土産なんでしょうねぇ。」
「マカデミアナッツなわけではなさそうだし、伊勢丹にタイの特別な土産でも
売ってるんだろうか?」
「あんなに険しい顔をして、飛行機に乗り遅れそうなのかしら?」
なんて、平和に呑気なことを考えていました。
いやいや、まさに、まるで関係のない人のノンキな想像でした。
それは、お土産なんかじゃない。
生活必須アイテムの食材である~~!!!
日本まで帰れない、または、日本の中でも、凍結品が解凍されてしまう距離に
お住まいの方々が、インドやイラン、中東方面から
日本食を買出しに来ていたのです。
そりゃ、解けちゃうことが懸念されるでしょうから、必死の形相にもなるわな。
駐在してみて、初めてわかる、この事実。
今は、タイの伊勢丹では、先に注文のファックスを流しておいたり、
現地で買い物をして「冷凍のお願い」をしておけば、
真空パッケージ処理&急速冷凍をちゃんとしておいてくれます。
そして、ホテルや空港までお届けしてくれるというではありませんか!
日本系デパートらしい、なんとも痒い所に手の届くサービス。
感謝感激ものなんです。
泣けます。
でも、ファックスする時間がないほどあわただしいときは、
やはり、先の状況が待っているわけで。
あ、タイやシンガポールで「生卵」を購入し、インド駐在員たちは
大いに喜んで食すのですが、タイ・シンガポールの駐在員さんたちは
いろいろ懸念して生では食べないそうですね。
そんな生卵をウキウキしながら食べるインド駐在員の私たち。
泣けます。
そんな食に関して苦悩に満ちた駐在員としての日本人がいることの事実。
なむなむ。
<今日の一句>
行きたくて 行ってるわけでは ない場所に
食や趣味やら もってく努力
by BGMにユニコーンのデビュー曲。の、マダム。
私はインドが好きですが、努力人口は多いのです。