昔、ある遠い遠い西の国に

神さまとはなしができる者がいた。

その者が人々に伝えていうには、

「神さま、どうぞ私の呼びかけにお答え下さい。

 どうぞこの地の嘆きを聞き、

 あなたの祝福を降り注いでください。」

そのように私は祈りました。

すると、

「人が人にして 正しい生き方をなさない限り

 この地に祝福がもたらされることはない。」

と 神さまの声がありました。

「それでは 神さま。

 正しい生き方とは、どのような生き方でしょう?」

と 私は神さまに伺いました。

「我は人をこの地において以来、これまでに幾度か

 そのように問うものにずっと答え続けてきたのだが

 未だに人は 我の真意を理解出来んようじゃな。」

と 神さまは仰られました。

「どうぞ 私たちの不完全さをご理解下さい。

 どうぞ 私たちの罪深さをお許し下さい。

 今一度 私たちをお救いください。

 そして、この地に祝福をもたらし

 あらゆる悲しみからお救い下さい。」

と 私はお願いしました。

「我に祈りを捧げるものは多い。

 嘆願するものも実に多い。

 しかし、我の告げた言葉を

 我の告げたように行なうものは

 実に少ない。

 我とていささか疲れようぞ。

 新たな生き物でも創り

 それらにこの地を継がせようかと

 思うようになっておる。」

と 神さまは仰られました。

「待ってください、神さま。

 そのようなことを仰らずに

 どうぞ今一度、われわれ人間に

 最後の機会をお与え下さい。」

と 私は頼みました。

「さてはて、どうしたものかな?

 この地はそちら人間だけのものではなく、

 多くの他の生き物たちも暮らしておる。

 それらとて、我には愛しき存在ぞ。

 我の元へは 実に それはそれはたくさんのものたちより

 日ごと日ごとに 人間に対する苦情や陳情が届いているのだが・・・。」

と 神さまは仰いました。

「確かに、確かにそうかもしれません。

 しかし、しかし・・・  」

そういうと、私は口ごもってしまいました。

「そちも少し、我の立場にたって考えるみるがよい。

 万物の神である。という我が立場を、

 人をこの地の我が代理者として

 任命した我の意図をな。

 全てのものが祝福される手立てについて

 自分たちの頭で考えてみるべきじゃ。」

そういい残されると、神さまの声は 私の元から去っていきました。

 全てのものが祝福される手立て?