演歌をかける銭湯が近所にある。演歌が好きではない私には非常に苦痛である。たかが音楽と侮ってもらっては困る。音は拷問にも使われるほど、強力なツールなのだ。


「米軍,イラク捕虜にメタリカをヘビーローテーション」という記事が出たのは3年前。(参考サイトhttp://x51.org/x/03/05/2012.php  )


米軍がイラクの捕虜にヘビーメタルバンドのメタリカなどを聞かせていたというのは笑っていいのか、憤慨すべきなのか困った覚えがある。イラク軍の捕虜にヘビメタのファンはいなかっただろうからさぞかしつらかっただろう。わたしも、メタリカは30秒聞かされただけで具合が悪くなる。音楽に関して大変神経質なので、音楽の趣味の異なる友人とは仲良くなれない。その人の部屋に行ったり、車に乗ったりすれば苦手な音楽を聴かされるだろう事が容易に察しがつく。それはもう拷問に近い。


ご存知「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ではマイケルJフォックスが自分の若き父親に未来からのお告げをする時にハードロックのバン・ヘイレンの曲を使っていた。父親は聞いた事のない大音声に恐れおののき、マイケルのいいなりになるという筋書きだった。


音楽にはたくさんのジャンルがある。好みもさまざまで、「これを聞け」と聴きたくない音楽を押し付けられない限りは構わない。好みでない音楽は聴かなければいい事だ。 演歌の流れる銭湯はイヤでイヤでたまらないが、一番近いので仕方なく行っている。
防水のMP3プレーヤーがあれば、それを買って持って行くとか何か対策を考えなくてはいけない。1度イージーリスニングがかかっていたので(ああ、ようやく客の好みも取り入れて演歌は止めにしたのか)とホッとしたがそれは1回限りだった。店主が
ファンなのだろう、日頃から無愛想で感じが悪く、客のニーズなど知ったことじゃないとばかりに気が滅入る暗い演歌をかけつづけている。


また、ある牛丼屋はかなり年配の男性が店主である。美味しいので数度行ったが、ここのBGMもまた演歌なのである。まあ、牛丼を食べる間だけのことだからとガマンしていたが、ある時、私が食べている最中に氷川きよしのやだねったらやだね、という当時流行りの曲がかかった。すると、急にいそいそと、「ちょっと失礼、この曲を練習してますもんで」などと言ってマイクを握り、うっとりと薄目になって首を振って歌いはじめたのである。その下手なこと。聞くに堪えない。急に食欲を失って、早々に食べ終えて、出てしまい、以後一度も行かなかった。


牛丼屋といい、風呂屋といい、経営者たる者、自分の趣味を客に押し付けるのでなく、客が好む音楽を流すべきである。近所の「吉野家」はJポップをかけている。甲高い声の女性ボーカルにがなり立てられては牛丼も喉を通らない。食欲をジャマしない音楽をかけるべきなのにどうしてこう人は音楽に無神経なのかと首をかしげずにはいられない。