体験から言えば、TVや新聞などの大メディアがいつでも間違いなく正しい情報を与えてくれるとはゆめ、思わない方がいい。日経新聞の記事を頼りにニューヨークの消防署を見つけようとした事があるが、名称が中途半端だったので散々聞きまわったがわからず、最後は写真が決め手になってようやくわかった。もし名前だけをメモして持って行ったのであれば絶対に見つからなかったところだ。全くいい加減だと腹が立った。

TVのニュース番組も当てにならない。覆面チェッカーというのか、レストランで食事をし、味や雰囲気、従業員の態度などをひそかにチェックしてレポートを書くという仕事があるとニュースで知った。取材に応じた主婦チェッカーは「楽しいですよ」と答えていたし、レポーターは「1万円ぐらいの収入になる」というのでグルメ志向ではあるがお金のない私は(これだ!)とさっそくインターネットで検索し、いくつかヒットしたサイトのうち、登録料のないところに応募した。

めでたく会員になり、毎月更新されるレストランから自分の行きたい店を探し、誰と行くか、そこを選んだ理由は何か、などを記入して応募する。募集人員が5人とか6人のところに100人ぐらいの応募はざらで、なかなか当選しないのではないかと思ったら、すぐにあるカジュアルレストランに当選した。喜び勇んで妹と2人で出かけた後、レポートを提出したが、結構大変だとわかった。

入店の日時はともかく、時間まで指定される。食事代は自分が立て替えなければいけない。月末には振り込まれるのだが、万一レポートの提出期限が過ぎてしまったり、利用金額が指定の金額に達しなかったりすると支払われない。というので飲食をしながら代金の合計金額を確かめたり、従業員の応対をチェックしたりとおちおち食事などできない。

会社のサポートもあまり親切ではなかった。レポート提出の説明も悪く、私はメールで送ってホッと安堵していたら、「期限が迫っています、早く提出してください」というメールが来て慌てた。メールではなく、ウェブ上に書き込むのだとは知らず危うくお金が支払われないところだった。その記入がまた、チェック項目が多く、記述形式のところもあって、考え考え小1時間もかかった。レポート提出がもたもたしたのがマイナス要因だったのか、その後4、5回応募したが全く依頼が来なくなり、時間のムダなので応募もしなくなった。

大体振り込まれる金額というのが自分が支払った金額ギリギリ、交通費も出ない。1万円の収入になどならない。それどころか足が出る可能性も大いにある。利用金額が3万円ぐらいと高いところもあって、もし何か不備があってそれが支払われないとなると収入どころか大損である。

大げさに報道すれば視聴率が稼げるのだろうが、実際には足が出る可能性もあるのに、あたかも美味しい物を食べた上にお金まで稼げると文字通り「美味しい話」で視聴者をたぶらかすとは何事か、と腹立たしかった。やらせは論外だが、もう少し正確を期して欲しいものだ。