柳沢伯夫厚生労働相の27日の発言には(またか!)とうんざりして怒る気にもなれなかった。

集会で少子化問題に言及し、「15~50才の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭でがんばってもらうしかない」などと発言したというが、がんばってもらうとはどういう意味なのか?女だけに責任を押し付けて、男はがんばらなくてもいいのか?

無理しても産めという戦時中の産めよ、増やせよ的なメンタリティそのものではないか。松江市での自民党県議の後援会の集会というから「仲間うち」で安心しつい本心が出てしまったものと見える。そこに女性はいなかったのだろうか?いたとして抗議しなかったのだろうか。調べてみると彼は1935年生まれ、終戦時には10才になっている。まだ家父長制が健在な時代である。男尊女卑的な価値観が横行し、女性は子孫を増やす為の存在、男を産めばアッパレ、子なきは去れなどという蛮習もあり、女性を尊敬するなどという考えは微塵もない世代だろう。これで彼が長男ならば更に男性優位主義にはまりこんでいたと思われる。キャリアも党税制調査会長、金融担当大臣、国務大臣、国土庁長官などを歴任、こういうおエライさんではなおの事女など取るに足らぬ存在と認識していたのではないか。静岡県第3区で当選8回という超ベテランで周りから先生、先生と立てられているうちに「権力は腐敗する」という例え通り、自分はエライのだから何を言っても許されるとでも思い至ったものらしい。

氏は「話をわかりやすくしようとした。適切でなかった」と釈明したそうだが、「男は女を強姦できるぐらいでないと」との発言に匹敵する暴言、失言である。女性を機械扱いする無神経な男性が少子化や出産にまつわる法律改正などに携わる省にいられては困る。是非野党側は辞任要求を貫徹して頂きたい。

朝日新聞の取材に対して「(発言した)途端に、これはまずいと思い、失礼した、申し訳ないとお話しした」と釈明したとあるが、心にもない事が口から出る確率は非常に少ない。女性への差別的な意識は「全くない」と否定したともあるが、尊敬しているとも思われない。彼が周りの女性に対して日頃からどのような態度を取っているものか、TVのワイドショーの女性のレポーターの方々に徹底的に聞き込みをしてもらいたいものだ。

安倍首相は29日朝、柳沢厚生労働相に電話で、「このような不適切な発言がないように」と注意したと報道されている。進退問題については辞任の必要はないとの考えを示したそうだ。一切お咎めなしとは随分と甘い裁量ではないか。男女平等教育の浸透していない世代の男性の意識を変えるには注意ぐらいでは直らない。辞任も解任もないのであれば、せめてカウンセリングでも受けさせて女性に対する態度を改めさせるべきである。