NTT東日本から電話料金明細書と一緒に送られてくる小冊子「ハローインフォメーション」の表紙に「ユニバーサルサービス料」という耳慣れない言葉があったので中を開いてみた。


かいつまんで言うと、NTT東・西日本は加入電話のサービスを全国どの世帯にもユニバーサルサービスを提供する債務を負っているという。ではそのユニバーサルサービスとは何かというと、「国民生活に不可欠であり、あまねく日本全国区における提供が確保されるべき」と定められているサービスだそうだ。


山間地や離島などは採算が取れず、ユニバーサルサービスを提供する為、今まではNTTのみで赤字を負担していたが、携帯電話の普及、新サービスの登場などにより固定電話の採算が悪化しており、そうした地域での電話網を維持するため今年の1月から固定電話、携帯電話、PHSなど電話サービスを提供する約50社の電気通信事業者も負担する事になり、かてて加えて一般の電話利用者からも電話回線1本につき月7円を徴収する事になったという。


寝耳に水。


去年の暮れあたりから各メディアでニュースになっていたそうだが、私はユニバーサルサービスも知らなかったし、7円負担の件も知らなかった。


固定電話ばかりではない。携帯電話、データ通信専用カードにもかかり、2008年1月をめどにプリペイド式携帯電話にもかかるという。たったの7円ではあるけれど、資料によると平成15年で固定電話加入数は全国で5080軒もある。


かつて電話加入権を購入する際、わたしは7万円台の「施設設置負担金」を支払ったが、現在は3万6000円に値下げになっている。今、加入権を売却しても5千円ほどにしかならない。資産としての価値がなくなった訳で、2006年5月、「加入料値下げにより加入権の資産価値が不当に下落した」として、25都道府県の37社と個人69人がNTTや総務省を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こしている。(ウィキペディア「電話加入権」の項より)


NTT西日本広報室に問い合わせると、ユニバーサルサービス部門の収支はずっと赤字であり、今まではコスト削減など経営努力で埋め合わせて来たが、上述のように昨年からは採算が悪化し、今回の措置となったと冊子に書かれている通りの返答だった。ご理解願いたいと言われても疑問は残る。


国民が等しく同じサービスをという事で言えば、例えば生存に不可欠な水道なども日本全国同じにして欲しいと思うがご存知のように水道料金は高い県と安い県がある。水道局と民間企業を同列では論じられないだろうが、どうして電話料金だけが均一に近い料金(註)にしなくてはいけないのか。山梨の山間部の温泉にタクシーで行った時には山間部割り増しという名目で3割増しで、メーターの上がる速度があまりに速いので目的地の手前で降りたぐらいである。


山間部でタクシーを使う時には料金設定を聞いてから乗る事にしようと思うが、地域によってこうした料金差があるのは仕方がない事なのだろう。タクシーは3割増し、だけど電話料金はユニバーサルサービスというのがよくわからない。


施設設置負担金はNTTに潤沢な資金をもたらしたと思うが、収支はどうなっているのだろう。加入権の扱いといい、今回の電話代の実質値上げといい、どうにも納得がいかない。たった7円だからいいという問題ではないように思う。

(註)ユニバーサルサービスと言いながら、固定電話の基本料金は地域によっ
て異なるという。