人間の加齢臭、いわゆるオジサン臭を薄めるケア製品が発売されて大分経つ。加齢臭の正体は「ノネナール」という物質。臭覚にもピークがあって18-20 歳ぐらいの若い女性が鋭敏なのだそうだ。私ははるかに年上だがけっこう鼻が利く。この間もたまに行く和食レストランで「マスター、ガス臭いよ」と言ったら ホントに調理台のガスが立ち消えていた。鼻がいいのは役立つ反面、困る事も多い。タバコはかなり遠くで吸われれても分かるし、羊を常食している国の人たち は風上200メートルにいても体臭ですぐわかる。オジサンは長年の喫煙、飲酒のせいで毛穴がニコチンとアルコールで詰まっているのか隣に座られると強烈な においがする。夏だとこれに汗の臭いが加わる。その臭いたるや安旅館の着古して黒光りした丹前の襟というか、ニコチン中毒者のアパートに5年かかったまま のカーテンというか、カーバイトの臭いにも似ている。いずれにしてもたまったものではない。たまにアンモニア臭もするし、ポマード臭も結構つらい。

  しかしながらオジサンばかりが臭いのではない。若い男性だって負けてはいない。風呂なしのアパートにでも住んでいるのか、週に1回くらいしか入浴しないよ うな不潔な学生がいる。そういうのが隣に来ると夏など鼻が曲がりそうなぐらい臭い。ちらりと見やると耳垢が耳からはみ出し、べっとりした髪には大きなフケ が散っている。ここまで不潔な女性はまずいない。男性は女性より不潔と言えば、当らずといえども遠からずといったところだろう。

 もっとスゴイのもいた。不精ひげが黒黒とした剛毛なのに髪の毛が金髪。伸びか けの根元は黒髪なのでトラみたいな配色である。でもってシャネルのTシャツを着ているので一応お洒落なつもりなのだろうが彼の体臭たるや、息ができないほ どクサかった。携帯で話しているところから美容師とわかったが、こんな不潔な美容師が「いらっしゃいませー」とやって来たら「急用が出来たので」とすたこ ら逃げ出す。

 日本人は肉食の西欧人ほど体臭はきつくはないが、やはり清潔を心がけるべきである。臭いまま出掛けては女性に嫌われる事は間違いない。