農林水産省の有識者会議が検討していた、海外の日本食レストランに与える認証制度の創設は政府関与を止め、民間の「推奨制度」に修正したと3月発表された。権威に弱い日本人は(お上が発行するお墨付きなら欧米人も有難がるだろう)と思ったのだろうが、どっこい、私の知っているニューヨーカーなどは政府の推薦するレストランなど冷笑して行かない気がする。むしろニューヨーク・タイムズやザガット・サーベイのレストランガイドの方を信用するだろう。ニューヨークの和食レストラン関係者にも聞いてみたがやはりこの制度は意味がないという意見だった。


 世界的な和食ブームの中で「日本食とは呼べないようなレストランが海外で目に付くからと松岡農水相が提唱したものだというが、例えばインド政府が「こんなのカレーじゃない!」と日本のカレー店に認証制度を設けようとか、フランス政府が「これはフランス料理ではない!」と干渉してくるだろうか。今までもなかったし、これからもないに違いない。

 昨年末の政府予算編成で松岡農水相は既に同事業に投じる2億7600万円也の予算を確保しているというが、予算計上の是非なども今後、国会で議論されるという。海外にお金を落としてお節介を焼くよりは日本のレストランの禁煙徹底にでも使った方がよほどいいと私は思うのだが。

 または、国内のレストランの質の向上の為、海外からのツーリストが頼れる日本語版と英語版のしっかりしたレストランガイドでも出して欲しい。もちろん政府はお金を出すだけで取材、編集は民間。それを無料でインターネット上で公開。とにかく2億以上の金がうやむやにならないように願いたい。

 日本の雑誌のヨイショ記事を信用して出向いてとんでもない味だったり写真とは似ても似つかない内装だったりしてがっかりさせられた事が何度あるだろう。おかげで私は「日本のグルメ雑誌及びガイドブックは信用できない症候群」に陥り、その手の雑誌は2度と買わない。

 そうこうしているうちに、今年の11月にはフランスのミシュランが日本の各種レストランのガイドブックを本国で出すという。格付けは星だから、一目瞭然。グルメ大国のガイドブック、待ち遠しい。

でもこんな本も ↓
裏ミシュラン―ヴェールを剥がれた美食の権威/パスカル レミ
¥1,365
Amazon.co.jp