80年代に横田米空軍基地のターミナルに知人を見送りに行った事がある。
その時に見た光景は今でも 忘れられない。顔にシミひとつ、シワひとつない非常に若い白人兵士達の1団が沖縄(と思われる)から到着した軍用機から降り立ち、M16という軽機関銃を 肩に担ぎ、カシャカシャと乾いた音を立てながら私の前を通り過ぎ、海兵隊の富士キャンプ場行きのバスに黙々と乗り込んで行ったのである。

 演習のためだったのだろう。平和で銃規制のある日本の中にある基地にこれだけの兵器を携えた兵士が真昼間、堂々と行き交っている事に、めまいのような感覚に襲われた。

 横田基地は空軍基地であり、物資の輸送を担当する兵站部隊で実戦部隊ではないから、気の荒い海兵隊員とは違い、兵士達もどこかおっとりしたところがあった。アメリカの軍隊の中では「お嬢さん」などとも呼ばれているそうだ。夜の六本木で遭遇するのは大抵海軍兵である。陸軍兵士は見かけない。

 昨年の戦闘地区の米陸軍兵士の自殺率がここ26年で最高の99人となり、101人に増える可能性もあるとアメリカABCニュースオンライン版が伝えていた。4人に1人がイラクかアフガニスタンでの任務中に自殺を図っているという。

 地味で過酷な任務を遂行する陸軍兵士達のストレスはいかばかりかと思うが、自殺する人数がこれほど多いとは思わなかった。が、アメリカの軍隊だけではない。日本の自衛隊内の自殺者も多いのだという。参考サイトによると2004年 度の自衛隊内の自殺者は過去最大の94人。過去 10年間では600人以上。主な原因はアメリカの陸軍兵士のそれが親密な人間関係が築けないというものであるのに対し、自衛隊の場合はいじめであると明か している。いずれにしても軍隊とは因果なものだ。自衛隊は日本国内では軍隊ではない事になっているが。