米マイクロソフト社が米ヤフーに総額約446億ドルという巨額の買収額を提案
して以来、ニューヨーク・タイムズのテクノロジー欄は連日この関連ニュースで
賑わっている。


2月10日付オンライン版では、月曜(11日)には、文書でヤフーを過小評価
しているので買収提案の拒否を伝える予定だが、マイクロソフト側は交渉を続け
る見込みだと伝えている。提案からこれまでの動きを見るとヤフー側の苦悩が
浮かび上がってくる。


「ヤフーはもう手遅れか?/Too Late for Yahoo?」(ニューヨークタイムズ・
オンライン版2月8日)によると、昨年夏にジェリー・ヤン氏がヤフーのCEO
になった後、彼とトップの補佐役は、ヤフーが独立体制を維持できるかについて
熟慮した結果、答えはイエスだった。が、ヤン氏はどうやって集中し、周辺の
プロジェクトを削減し、オンライン検索と広告のダントツのグーグルに対抗する
かなど、社が直面するもっと複雑な多くの問題について説得力のある答えを見
つけるのに苦慮していると書かれている。


また「ヤフーの取り締まり役、マイクロソフトのビッドにどう対応するか議論/
Yahoo’s Directors Discuss How to Face Microsoft Bid」(ニューヨークタイ
ムズ・オンライン版2月9日)では、マイクロソフトの敵対的買収案から
1週間となる金曜日、役員会でオプションを考慮したとある。会に出席した
1人は、取締役はヤフーの経営管理側と銀行家からマイクロソフトがオファー
した額よりもっと価値があるなどといった1連のプレゼンテーションを受け、
ヤフーの独立を維持するための様々なオプションについても説明があったと
いう。ひとつの可能なオプションは、グーグルとのサーチ関連のベンチャー・
ビジネスだったという。


あわただしい動きを見せる今回の大型買収劇だが、2月3日付けのニューヨーク・

タイムズでは早くも次なる大取引についての期待が取り沙汰されていたのだから

シリコン・バレーの懐は深い。


「ヤフーの買収はビッグだが、二番手の目玉?/Yahoo Deal Is Big, but Is It the
Next Big Thing?」では、ヤフーの買収が、マイクロソフトがグーグルに追いつ
くラストチャンスと見ているが、買収のサイズと野望の大きさの割には入札は熱意
を持って迎えられなかったとある。その理由は、シリコン・バレーは買収による成
長よりもボトム・アップのイノベーションを好むからかも知れないのだという。
そしてシリコン・バレーの投機筋は次なる新規事業に目を向けており、それは
月曜にインテルが発表するローパワーのマイクロプロセッサー(コードネーム、

Silverthrone)かもしれないと明かしている。これは新しい携帯のワイヤレス・
デバイスで、ソフトウェアの革新の口火を切るのではないかと期待されている。
それとも、次に来るのは全く違うものかもしれない。それは誰にもわからないが、
未来へのギャンブルがシリコンバレーのエッセンスだと報じている。


朝日新聞2月6日付は、ヤフーの買収が長期戦になるだろうと報じているが、
大型という事では2001年の米タイムワーナーとインターネット大手のAOLと
の巨大合併があった。が、タイムワーナーは傘下のAOLのネット接続事業を
分離するなど事業再編に取り組むと報じられている(朝日新聞2月7日付)。
大型合併や買収も時が経てばこうして再編に直面する事もあるのだ。

マイクロソフトはヤフー買収を諦めるのか?グーグルの動きは?IT再編劇は
小説よりも面白い。