第四話

たった1週間で、正に劇的な変化でした。今まで諦めていたあの歌が普通のキーで歌えるかもしれない。もう、いちいちキーを調節しなくて済むようになれるかもしれない。

それは、僕にとっては重要な、新たなタバコをガマンする理由でした。

しかし、禁煙を続けるにしても、1人で辛い思いをしていると甘えがでてしまいます。こういう時は背水の陣です。周りに禁煙していると吹聴して、簡単には逃げられないようにしました。

しかも、禁煙宣言は意外な効果もありました。それは、宣言したほとんど全ての人がめちゃくちゃ褒めてくれるのです。

曰く

「あんなに吸ってたのに2週間も吸ってないの?エラいねぇ!」

「やっぱりプロは意識が高いね」

などと、マジシャンとして頑張るよりも、遥かに褒めて貰えるのです。

僕にとっての禁煙の理由が増えました。

1.声を良くする。
2.カラオケが気持ちよく歌える。
3.褒めて貰える。

なんだか楽しくなって来たぞ。



つづく。