~中編~の内容が読み手様を選ぶ内容で、不快な思いを与えてしまい大変申し訳ありませんでした。



※中編を飛ばされた方へ※
中編の簡単なあらすじは以下となります。
↓↓↓

公園で連れ去られたキョーコが目を覚ますと拘束されいた。
主犯は中学の同級生の宮澤という男で、キョーコ側からは面識はないが、宮澤はキョーコを可愛いと思っていてそのことで尚に殴られたことなどがあり、尚を恨むように。
宮澤の目的は尚への復讐。
そのためにキョーコの拘束画像と居場所を尚に送り付けおびき寄せる。
公園で会った方の男も出てきてキョーコに酷いことをする。
尚が助けに来たが、宮澤に捕らえられてしまう。
そこへ更に誰か助けが来て……
以上です。


この後編ではもうキョーコは怖い思いはしません。そういった意味では……。違う意味では怖いと思う場面も(笑)
この先はどうか安心してお楽しみ下さいませ(。-人-。)









「そこで何をしている!!」



キョーコが涙を散らしながら顔を上げるとそこには……


「キョーコちゃん!!」


社だ……

(社さん……どうして……)


「誰だ!?」


「京子のマネージャーだ。
 今すぐ二人を放しなさい!警察にも連絡済みだ。」


「チッ……」


ここまでかと悟った宮澤が社を躱して外へと逃げ出そうと駆け出したその時ーーー


「ぐはっ!!」


入り口付近で宮澤が吹っ飛んだ。


その隙に立ち上がった尚がキョーコに手を下そうとしていた男を殴りつける。

キョーコは何が起きているのかと、見えない入り口付近と目の前で尚に殴られる男を交互に確認していた。


「蓮!」


社が叫ぶ。

(敦賀……さん……?)


宮澤に一撃を食らわせたのは蓮だった。
吹っ飛んだ宮澤を取り押さえている。


「蓮!駄目じゃないか、状況確認するまで車で待ってろって……」


「できませんよ、そんなこと。」


社は大きなため息を吐いた。
蓮に中のキョーコの様子を見られたらどうなることかと。


「分かった……。
 じゃあ蓮はまずそいつからスマホを取り上げておいてくれ……」


「分かりました。」




「っキョーコ!!」


男を殴り倒した尚は、自分の着ていた衣装の上着を脱ぐとキョーコの肩にかけ、縛られた拘束を解く。


「わりぃ……キョーコ……
 俺のせいでこんな……」


「俺の……せい?」


キョーコがその声に顔を上げると、蓮が鬼の形相でこちらを見ている……。


「……敦賀……さん……」


「どういうことだ、不破……」


「チッ……」


尚は面倒臭そうに顔を背けた。


「最上さん……」


蓮はキョーコの姿をしっかりと見た。

そして、足元に落ちていた引きちぎられたプリンセスローザのネックレスを拾い上げる。


「あ……ごめ……なさ……」


ちぎられてしまったネックレス。
キョーコは蓮のただならぬ怒りを感じ取っていた。


「チッ……こいつを助けたのは俺だ!」


そう言い放つ尚をネックレスを握りしめた蓮が睨んだ。


「助けたのが君かもしれなくても……
 最上さんをこんな目に遭わせたのも……君……だろう?」


「あ……あの……」


キョーコはかつてないほどの蓮の怒りの大きさに震えていた。


「こいつはなんもされてねーよ!される前に俺が駆け付けたんだ!
 あんたはいつだってこいつのピンチには間に合わねーのな、ハッ」


ボゴッ!!!


「つるっ……!!」


キョーコは声にならない悲鳴を上げた。
蓮はネックレスを握りしめた手を、コンクリートの壁に強く打ち付け、血が滲み出していた。

尚はその拳がもし己に向けられていたら……と肩を竦めた。


「…………。」


「あ?」


蓮の声が聞こえず、尚が聞き返す。


「…………失せろ。」


「チッ……

あ、眼鏡君……」


尚がしぶしぶ立ち去ろうとすると、社が宮澤のスマホを素手で掲げていた。


「ここに入っているであろうデータは全て消去した。
 不破くんに聞きたい、奴等は君の知り合いなのか?」


「一人は中学の同級生だ……もう一人は知らねぇ。」


「そうか。
 どうする?警察には……」


「っ、結構です!!」


キョーコが叫んだ。


「うん、キョーコちゃんはそう言うような気がしたよ。
 事情はまた後でゆっくり聞くとして……。
 悪いな。どっちにしろ二人は逃げた。
 警察も……本当は呼んでなんかいない。
 このスマホの中身さえ消えれば……それでいいか?不破くん。」


「あぁ、サンキュー……」


「多分奴等がこちらを訴えることはないだろう……。
 不破くん……今日のところは、お引き取り頂けるかな?」


「あぁ、分かったよ……。」


尚はキョーコの肩にポンと手を乗せ、申し訳なさそうにしばらく見つめると、その場を立ち去った。

そして、キョーコは思い出したように慌てて蓮の血の滲んだ手を取る。


「手当てっ……しないと!」


自分のせいで蓮にまで迷惑が及んだと、キョーコは申し訳なさで再び涙が零れた。

その涙を見た蓮。

静かに自身のジャケットを脱ぐと、キョーコの肩にかけられた尚の衣装の下に滑らせ、尚の上着を社へと放り投げた。

その一連の行動を黙って見つめるキョーコ。

キョーコの頬を伝う涙を蓮が指で拭うと、強くキョーコを抱き締めた。


「……敦賀……さん……撮影は……」


本来ならまだ蓮は海外ロケ中だったはずだ。


「君からの、返信がなかったから……」


「え……」


返信とは……
キョーコは今日のことを思い返した。
昼間のBOX"R"の撮影中、蓮から送られてきたメール。
返信は、したはずだが……


「あ……」


そう言われてみれば、入力はしたものの、送信ボタンを押した記憶はなかった。


「それで、気になって社さんに連絡したら、君が撮影現場からいなくなったことを聞いて……」


「そう……だったんですか……」


「それですぐに日本へ向かったんだ……」


やはり社にはすぐに現場からの連絡が入っていたようだ。


「すみません……撮影……」


「いや、君が謝ることじゃないよ。
 撮影も俺の分の撮りはもう終わってたしね。」


「……でも……どうしてここが……」


蓮に抱き締められたまま、キョーコは徐々にはっきりしてきた頭で疑問を一つずつ口にする。


「それはね、ごめんキョーコちゃん。
 君に、GPSを付けていたんだ。」


社がそう切り出した。


「えっ……」


キョーコには全く聞かされていなかった。


「ごめんね、キョーコちゃんの承諾を取ればきっと拒むと思ったんだ。私は大丈夫だからと……
 でも、やっぱりもしものことがあったらいけないと思って……ね。」


「そう……だったんですか……。」


キョーコは全ての疑問が解消されると、かくんと膝の力が抜けた。
そんなキョーコを蓮が抱き抱える。


「つるがさっ……」


それを拒もうとするキョーコを、蓮は眼だけで牽制した。
そしてそのまま車へと向かう。
キョーコの持ち物もしっかり社が回収していた。

車の中で病院に行くかと聞かれたキョーコは、どこも怪我はしていないからと話し、社は事務所と現場スタッフへの報告のため先に車を降りた。

蓮と二人になったキョーコ。

蓮は俯くキョーコの様子を静かに見守る。

社を降ろした事務所の地下駐車場の車内で、しばらくの間流れる沈黙。


切り出したのは蓮の方だった。


「うちで……お茶でも飲んでいく?」


その言葉にハッとなり、隣を見上げるキョーコ。
それでも、言葉が出ない。


「……それとも今日は、一人になりたい?」


再び俯き考えるキョーコ。

今日はあまりにも色々なことが起きた。
いきなり連れ去られたこと。
自分の知らないところで起きていた過去の話。
怖い思いをたくさんしたこと……

少し考えてからキョーコは、俯いたままでも視界には入っていた蓮の服の裾をきゅっと掴んだ。


そして、ふるふると首を横に振った……。





web拍手 by FC2



前中後編で始めたのに、終わらんかったとですよ……|д゚)チラッ
次はなんと名乗ろう(笑)←ナンバリングにはしないらしい。
あと、変なとこで切ってすみませんf(^_^;
おうち行っちゃってからもガッツリ長くなりそうなので・・