一年ほど前まで毎日新聞に連載されていたものだそうです。
桐野の小説というと、現実離れした、一般庶民からは遠い世界が舞台というイメージが私の中で出来つつあったのですが、
この小説は、身近過ぎて身につまされ過ぎ、その意味で却って怖い話でした。
59歳の奥さんが、突然旦那さんに死なれる話なんです。
しかも死なれてから、相続を巡る子ども達の醜さや、旦那の不貞など、辛い事をたくさん目の当たりにしなくてはならなくなる・・・。
全体的に淡々とした話運びではあるのですが、桐野特有の人物描写の切れ味は健在で、感心させられたり、時にはぞっとさせられながら、夢中でページを繰って読み終えました。
読後感は悪くなかったのですが、
自分自身の老後がさほど遠い未来でない事を思い知らされ、今後、老いを迎えるにあたり準備をどうしていくべきかを考えさせられています。