強いストレスがかかると、海馬はダメージを受けて、
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)からの情報を
分類し、整理したりする働きが低下してしまいます。
そうした状態が積み重なってしまうと、海馬は萎縮し、
その働きが著しく低下してしまうと言われています。
うつ、統合失調症などの症状をお持ちの方には、
学習、記憶、感情コントロールに関わっている「海馬」に
萎縮がみられることが報告されています。
また、過酷な体験によるストレスやPTSDでも、
海馬が萎縮することが分かっています。
過剰なストレスにさらされると、副腎皮質刺激ホルモン放出ファクターは、
負のフィードバックを受けることなく分泌され、 さらに海馬の萎縮を
助長してしまいます。この脳の一方的な指令が 症状の悪化の
原因となっているのです。
そして、強いストレスがかかっているときには、前頭前野の右側が活性化し、
脳が指令を出してストレスに対抗し、身体を守ろうとします。
そのため、身体は緊張状態になり、ホルモンや自律神経のバランスが崩れ始め、
吹き出物や肩コリなど身体の不調が現われてしまうわけです。
記憶の入り口とも言われる「海馬」の働きより良い状態に
戻していくためのベストな方法は、五感を刺激すること
五感を刺激するのは、ちょっとしたひと工夫で出来てしまいます。
普段は行かない道順で帰ってみたり、知らない駅で降りてみたり、
森林浴をしに、郊外に行ってみたり、
新しいものを覚えたり、ゆっくりと行う深呼吸などなど、
いろいろと考えられます
自宅で出来る方法としては、マインドフルネスメディテーション
(心を集中させて行う瞑想)を続けて行うのも良いでしょう。
左の海馬の灰白質濃度が上昇したという実験結果も
あるのです。 アロマも有効です。例えば、
クラリセージの抑うつ作用は、ドーパミン系を介したものなど、
というようにアロマテラピーの作用機序は、精油の薬理効果に加え、
嗅脳などの嗅覚系を介して脳の変化が生じるのです。
ストレスによる免疫力の低下を改善してくれる点も優れた点です。
心地よい音楽を聴きながら、お休みの日は、五感を刺激する時間を
取り入れてみるのもおすすめです。ストレスで、身体が緊張しているときには、
ぜひ、アロマバス、アロマトリートメントを取り入れて、身体をほぐしてみてください。
ちなみに、高齢になっても海馬の脳の幹細胞が増えることが
明らかになっております。ですから、年齢のことを気にすることなく、
海馬を活性化させる生活習慣を取り入れたいですね。
(※幹細胞:自分自身が殖える複製能力と、
ほかの細胞のもとになる能力を備えている細胞のことです)
子どもの場合、大人よりも五感は刺激されやすい環境にあります。
そのため、好奇心が旺盛で、脳も柔軟です。
好きなことを一つでも、見つけて夢中になれたら、それだけで、
脳も活性化されると思います。ここぞというときに、頑張れるように、
まずは、ひとつ得意なことを伸ばしてみるのは、いかがでしょう
そして、小さな子どもがいるご家庭こそ、
香りも、ぜひ、暮らしの中に取り入れてみて頂きたいな、と思っています。
カウンセラーとして、子どもたちと接してきた経験からですが、
子どもたちは、いいにおいが好きです
そして、それぞれに香りの好みがあるようです。
(匂いを感じる嗅覚は大脳辺縁系にダイレクトに刺激を届けるため、
最も早く快・不快が判断される感覚です。)
「このにおい好き、何の香り?」「知ってる、この香り、お家にもあるよ」
「お母さんもアロマが好きなんだよ」などと言っている子が
いたり、香りの発生源のディフューザーのそばに行き、
手のひらに香りをつけている子もおりました。
今の子どもたちは、習い事、塾、学校での人間関係で、意外にもストレスに
さらされています。快適で心地よいと感じる香りを嗅ぐことが
ストレス脳を改善する近道ですから、
子どもの好きな香りを帰宅するタイミングで、リビングに漂わせておくというのも
良いかと思います。きっと、大人になったときも、その香りは、
その子にとっての大切な香りになることでしょう