今日も普段と変わらない一日が終わった。
朝の検温から始まり、消灯の合図で終わる。
十年一日のような毎日。
この生活になってから、何日が過ぎたのだろうか。
以前はとても苦痛だった、変化のない一日。
だが、今はそうでもない。
と言って、諦めたわけでもなく、慣れてしまったわけでもない。
何も変化がない・・、訳ではない事に気づいただけのことだ。
生々流転。
万物は、常にその姿を変えている。
窓から見える景色は、時の流れと共に変化している。
窓辺に来る訪問者達も、常に変わっている。
自分自身の姿も心も、毎日変化している。
この変化を楽しもう。
そう考えられるようになった。
以前は、苦痛で焦りや不安の源泉だった時の流れ。
今は、時の流れが私に楽しみを与えてくれている。
今を諦めるのではなく、今を受け入れ楽しむ。
この思いが、私に朝を受け入れる勇気を与えてくれる。
今日はどんな日なのだろうか?
夜が明けたら、朝の新しい空気に触れるられた事に感謝しよう。
窓辺の訪問者達に、挨拶と感謝をしよう。
そして、新しい一日のために祈ろう。
私と、私の友と、全ての人のために祈ろう。
今日は、少し歩いてみよう。
「イトカワ」から帰ってきた「はやぶさ」のように、
時間を掛けて歩いてみよう。
枕元の時計が午前四時を指している。
もうすぐ夜が明ける。
今日が、やってくる。