お久しぶりです。

ずーっと前に、なうで寝落ちについて呟きましたら、(←まぁ最近も毎日寝落ちていますが)某魔人様に「眠れる森の…」とコメント頂きましたので、妄想してみましたー。

某バンドの歌をネタ元にしています(タイトルそのままなので、興味のある方は探してみてください^^ピエロのお面が目印ですw)。



※ 成立後です。

******************






───お伽噺の国のお姫様は皆、王子様からのキスで目が覚める。



~眠り姫~



白い肌に、ほんのりピンクがかった頬。
長い睫毛はくるんと綺麗にカールして。
ベッドの上で小さな寝息をたてながら、まるでお伽噺の眠り姫のように、俺の腕の中で目を瞑る彼女。

俺は、彼女が目覚める前のこの時間が大好きで。
…そして、恐ろしくもある。



"敦賀 蓮"という器ばかりが成長し、本体がいつまでも過去を引きずり前に進めなかった頃。
彼女は芝居を通して俺にぶつかってきてくれて。
俺を、地の底から救い出してくれた。

俺は、彼女がいなければこの世に立つことも難しく。
逆に言えば、彼女がいるからこそ今を生きることができている。

しかし、俺が過去に大切な人を失った経験があるのは事実であり。
その事が、彼女に救われた今でも頭の片隅に残る。


───大切な彼女も、いつか深い眠りに落ちる日がくる───。


それはいつでも起こりうることで。
隣で眠る彼女を見るたびに、頭によぎる。
毎日を後悔しないように生きていても、きっと彼女が深い眠りに落ちてしまえばキョーコとの思い出を探さずにはいられないだろう。
…どこにいても。
…何をしていても。
その日が来たら、俺はそれからをどう生きれば良いのだろう。


腕の中で眠るキョーコの柔らかな頬に、俺はゆっくりと手を伸ばす。
震える指先がつんと彼女の頬に当たったけれど、彼女自身の反応は何もなかった。


「キョ、…コ……?」



───ぞくりとした。

暖かいこの細い身体は実はまやかしで。
現実には"キョーコ"という存在はいないのではないか、という感覚に陥る。


「キョーコ……キョーコ」


慌てて彼女の肩に手を置き、軽く揺さぶる。


「…ぃ…やだ、俺を置いていかないで、キョーコ……!」




まだ一緒に行きたいところにだって行っていない。
見たい景色も、したいことも、たくさんあるのに。



寝たままの彼女に覆い被さり、肩の辺りに頭を垂れる。
抱き締めた力が強かったのか、体に触れた髪の毛がくすぐったかったのか。


「んん……?」


体を少し捩らせて、愛しい人の声が聞こえた。


「…キョーコ?」

「ん…蓮さん…?ど、しました……?」



垂れていた頭をあげると、そこにはとろんとした眼をしたキョーコが、確かに存在していた。



…当たり前だ。
俺は何を考えて…。


「怖い夢でも見てました?」

「え?」

「だって。
蓮さん、目に涙がたまってます」

「…っ!」


慌てて顔を背けても、キョーコの瞳はもう暗闇に慣れてしまっていたようで。


「ね、蓮さん。こっち向いてください」


可愛いお願いに背くこともできず、俺はゆっくりとキョーコと視線を合わせる。
キョーコは目が合うとふわりと笑い。
そして、俺の首筋に抱きつくように腕を回して、唇を寄せた。

ちゅ、と小さなキスをひとつして。
それから目尻に溜まった涙の辺りにも。
キョーコから積極的にキスをしてくれたのは初めてで。
驚いた俺の顔を見て少しはにかんだ表情をしたキョーコは、俺の首筋に腕を回したまま自分の胸元へとぐいっと引き寄せた。


「蓮さん。
怖い夢を見ても大丈夫です。
ちゃんと私、ここにいますから」


とくんとくんと、少し早い心臓の音。


「蓮さん」


俺を呼ぶ声。



とくん

とくん

温かい鼓動。



───そうだ、ちゃんとキョーコはここにいる。

俺はキョーコがいなければ何もできないほど弱くなっていたのか。


俺を落ち着かせるように背中を優しくとんとんと叩くリズムと、キョーコ自身の鼓動が合わさって、俺を眠りへと誘う。
毎日のようにキョーコの寝顔を見ていて、最近は深く眠っていなかったことを思い出した。



「キョーコ……ずっと、一緒に……」


俺はそこまで言うと、いつの間にか意識を眠りの向こうへと手放していた。




───キスで目が覚めるのは『眠っていたお姫様』ではなく、『お姫様を失ったという悪夢と戦った王子様』の方なのかもしれない。





*******************


最近熱やら寝落ちやらで、色々リアルもとんでもないことになっております(´д`|||)

この記事も夜中upの予定が…orz

いつの間にか8月も終わってしまうしΣ(ノд<)アイタタタ


Android携帯からの投稿