日刊スポーツのサイトに記者コラムというものがあります。そのなかで、井上真という記者が


10月24日、11月3日と続けて医療問題を取り上げています。


10月24日の「命を救ってこそ病院」というコラムは、奈良県で妊婦受け入れ先が見つからず


18病院を拒否された後に死亡したことについて書いています。


氏は、妊婦受け入れを拒否したのは、「病院の無責任さ」であり、受け入れ先を見つけられず手間取ったのは


「病院の無能ぶり」だと批判しています。


そして、コラムの締めくくりは


「命を見捨てた18の病院に言いたい。恥を知れ。」


マスコミの医師バッシングを如実にあらわしているコラムで、読んでいて


呆れるとともに、悲しくもなり、怒りも覚えます。


そして、私を含め、多くの医師が抗議のメールを送った結果、11月3日には


「医療現場の声聞いて」というコラムが掲載されました。


そこでは、多くの医師からの批判に対して、


「感じたままを文章にしました。」


「主観を前面に一方的な視点で言葉を投げかけました」


「伝えたいものがあるなら、知らないこと・取材していないことも書く」


と、言い訳三昧です。


そして、挙句の果てには


「医療が命を救う、その根元が折れそうです」


ああ、なんて他人事なんでしょうか。医療不信を無駄にあおっているのが、


自分たちマスコミだということに、全く気がついていません。


彼は、多くの医師からの抗議を受けた受けた結果、



「この混乱を「冷静」に見つめていくしかないと自戒を込めて感じました」


と、我関せずを決め込むことにしたようです。


開いた口がふさがらないとは、このことですね。


たかがコラムとはいえ、記者というプロが取材もせずに無責任なことを


発信してもいいのでしょうか。医師が命を救うプロだとするなら、


マスコミは事実を伝えるプロではないのでしょうか。


そして、誤った情報を発信したら、ちゃんと謝罪するのが筋ではないでしょうか。


他人を批判する前に、自らの仕事をしっかりと振り返っていただきたいものです。