以下は読売新聞からの抜粋です。




胃かいようなどの治療で胃酸の分泌を強力に抑制する「プロトンポンプ阻害剤」(PPI)を1年服用すると、足の付け根で骨折して歩けなくなる「大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折」の危険が22%も増加することが、英国の50歳以上を対象にした調査で分かった。

 米ペンシルベニア大の研究者らが26日、米医学会誌に発表した。

 同骨折を起こした患者1万3556人を含む約15万人を胃酸抑制剤の服用歴に着目して分析した。

 骨折の発症率はPPIの服用が長くなるに連れて増加。発症率は2年で41%、4年では59%も服用しない人より高かった。

 研究者らは「PPIによってカルシウムの吸収が妨げられるため」と推定。医師が投与量を必要最小限に抑えるよう求めている。PPIは日本でも処方薬として使われている。





私が勉強し始めたときは、胃酸抑制に非常に効果的だ、というふれ込みでPPIが出てきて、

上の先生からも結構おススメのお薬として教わったんですが、こんな副作用が出てきてしまいました。


もちろん、PPIの服用期間を限定的にすれば問題はないんでしょうけど。



でも、PPIって薬価高いですよね。

一般病棟とか外来なら、それほど問題ないだろうけど、療養型とか施設入所の方には

とても処方できないお薬です。


2年服用で約1.5倍の発症率というのは、かなり高いです。

そもそも、大腿骨頚部骨折と言うのは、太ももの付け根の部分が骨折するわけですが、

高齢者にはかなり比率の高い骨折となっています。


高齢者が転倒して骨折するとなれば、まず大腿骨です。

で、それをきっかけに寝たきりとなってしまう可能性が高いです。

もちろん、リハビリで回復する方もいるわけですが、やはり高齢者の

大腿骨頚部骨折と聞くと切なくなってしまいます。


なかなか万能な薬、というのは出てこないですね。

もっとも、薬が本来持つ作用を、人間にとっていいものは「作用」、都合の悪いものは

「副作用」と勝手に名づけているだけで、「副作用」のない薬なんて、ないのかもしれませんが。