今から1年前、私は東京・八王子で手芸教室を始めました。

 

 

実はその時、まだ前職の育休中だったので

新しい事業を始めて良いかどうかでいうと

若干アウトだった気がします(もう時効だよね?笑)。

 

 

子どもが産まれて、

今後の働き方についても悩んでいました。

 

 

ちなみに前職は高校の教員。

3歳まで育休を取れるし、

時短勤務もできる。

女性の教員も多いので、子育ての理解もある。

 

 

世間一般から見れば、

辞めるのはもったいない環境だったと思います。

 

 

子どもを産んでも働きやすい環境で

何を悩む必要があるのか、と思われるかもしれません。

 

 

 

けれど私は、教育という分野にいたからこそ

教員としての自分に違和感を感じてしまったのです。

 

 

まず、自分の子どもを保育園に預けて他の子どもを育てることへの違和感。

私はこの子のママなのに、その時間を削ってまでやる価値があるのかな。

我が子の成長をこの目で見逃すことに、後悔しないかな。そう思いました。

 

 

そして教育者としての自分への矛盾。

私はこの子に受けさせたい授業をできているだろうか?

学校はこの子を行かせたい場所だろうか?

どちらもNOでした。

 

 

子どもを産んでみて初めて気付いたのですが、

子どもって本当に一人ひとり性格が全然違う!(当たり前ですが…)

それなのに、そんな別々の個性を40人もひとまとめに同じ授業をするって雑じゃない?と思いました。

っていうか無理です。

これは、私が教員として未熟で授業が下手とか以前の問題です。

制度的に無理があるということに、学校を離れてみて気付きました。

 

 

 

また、教員としての私は、

成績に1や2が並ぶ子に「できないやつだな〜」と思っていたんですが、

親になって初めてそんなの本当にどうでもいい!と思ったんです。

 

好きなこと・得意なことは誰しも絶対あるのに

できない部分を頑張らせて

オールマイティーな子どもに育てるのって良い教育なのかな。

うちの子どもも、そういう場所に行くのかな…

 

 

 

そんな風に思い始めてしまうと、

ちょっともう教員に戻れそうもありませんでした。

育休は残り8ヶ月ほどあったのですが、

この頃には退職を考えていました。

 

 

 

まずはできる範囲で、自分の子どもを大事にしよう!

そのために、保育園に頼らない方法を探してみようと思いました。

(※保育園が悪だとか、子どもを預ける親はダメだ、

という話ではありません。

ただ、子どもの「ママといたい」という気持ちを受け止めたかったのと、

単純に私が子どもの成長を見たいから、です。)

 

 

でも子連れで勤務できる仕事は極端に少ない。

だったら子連れでできる働き方をつくろう!と考えました。

 

 

 

それがミシン&手芸カフェRICCIOです。

(最初は手芸教室RICCIO WORKSでスタートしましたが途中で変更)

 

 

 

まず大前提は、私自身がいつでも子連れで良いということ。

お客さまは、そのことを了承していただける方のみにしました。

教える側である私が子どもを抱っこしたり、途中でおむつ替えをすることをご理解いただくようにしました。

 

 

そして、お客さまの方も、お子さま連れでOKということ。

私はママでも遠慮せずに来られる場所を作りたかったし、

子どもにとっても同じくらいの子どもが同じ空間にいたら良いんじゃないかと思いました。

 

保育園に行かない分、子ども同士で遊ぶ機会も減ってしまう。

だったら子どもも来れる場所にしよう!と思いました。

それに、お客さまの方でも「この人子連れなんだ!じゃあうちも連れて行きやすいね!」と思ってもらえれば良いな、と考えたのです。

 

 

結果、お客さまの8割はお子さま連れになりました。

普通の手芸教室やカルチャーセンターだと、小さな子どもを連れて行くことはできませんから、この点が一番喜んでいただけた印象があります。

 

 

 

もう1つ大事にしたかったのは

お客さま自身が作りたいと思うものを作らせてあげること。

 

たいていの手芸教室は、すでにメニューが決まっていて

まず最初にこれを作る。その次はこれ。

と、デザインなども決められています。

 

 

でもそれでは手芸の醍醐味は伝わらないし、

欲しいものを作れないのでは意味がないなと思いました。

 

 

人それぞれに、色や形の好みも違います。

また生活だって違うのですから、何を作りたいかはそれぞれ違うに決まっています。

手芸は作る方法も無数にあるので、それを限定してはもったいないです。

 

 

私もなにか作るときは本屋さんでレシピ本を見ますし、

そこから型紙をとったりもします。

わ〜素敵!今度これ作ってみよう!と思うと同時に

「ここがもうちょっとこうだったらな…」と思うこともあります。

 

 

そう思ったときは、自分の欲しい・使いたいようにアレンジしちゃえばいいんです。

一般的なお教室だと、先生にそう伝えるのが難しい場合があるかもしれません。

でも、せっかく作るんだから、自分の思う仕上がりにしたいですよね。

 

 

だから、こちらでメニューは設定しないで、

お客さまの作りたいものを作るお手伝いをする、という方法にしました。

この点もすごく喜んで頂けました。

 

 

私自身が子どもと一緒にいられて

お客さまも子どもと一緒に来られて

作りたいものが作れる。

 

これが大事にしていたことです。

 

 

 

 

そして、始めて1年が経とうとするときに夫の転職が決まります。

 

よく、「せっかく手芸教室始めたのに、旦那さんのお仕事で辞めちゃうなんて嫌じゃないの!?」と聞いてくれる方がいるのですが、その点は大丈夫です(笑)

 

 

実はちょっと私疲れてきていました。

 

手芸教室は娘がちょうど1歳になる前に始めたので、その頃と大分事情が変わっていたのです。

 

 

始めた頃は、お昼寝の時間も長かったし、遊び方もお座りしておもちゃを揺すったり、ハイハイで探検してみたり、その程度でした。体重も軽かった(笑)

 

 

それがだんだんと、歩き回ったり床にお絵描きしてみたり。

意思や自我が芽生えて、うっすらイヤイヤ期にも差しかかっていました。

それまでは私といっしょにレッスンをしていて全然大丈夫だったのですが、

退屈してくるとお散歩に行きたいと泣いてしまったり…

 

 

大切にしていた“私と一緒にいること”が逆効果になってしまうと思いました。

 

 

一緒にいても、子どものやりたいことを我慢させてしまう。

それは子どもにとって健全な育ちじゃないんじゃないかな。

保育園に預けた方が、のびのび出来るんじゃないかな。

 

 

そう思い、レッスンは午前中か午後どちらかだけにしたり

毎日レッスンが続かないようお休みを入れたり、

遊びの時間がとれるよう工夫しました。

 

 

でも私自身は、自分の仕事に子どもの相手に…

ヘトヘトだったんです。

どうすれば、子どもも私もお客さまも、

みんながHAPPYになる方法でレッスンしていけるか

アイディアを考える余裕もありませんでした。

 

 

だからこのタイミングで一旦仕事を離れて

仕事の在り方を見つめ直す機会を得たのは、

私にとって必要なことだったのです。

 

 

子どもの成長に合わせて、私の働き方が無理なく持続できるよう、

ゆっくりと考える必要がありました。

すこし離れた場所で客観的に考える必要もありました。

 

 

今、同じ東京といえど遠く離れた八丈島で

こうして振り返ってみると

本当にいろいろなことがわかります。

 

 

初めてのことで大変だったこともあるけれど、やって良かった!!

これは確実にそう思います。

失敗もたくさんしましたし、夫とケンカもしました(笑)

けれどまだ子どもも小さく、私自身も未熟なこの時期に

やっておいて本当にたくさん勉強になりました。

 

この経験があれば、子どもの成長を見計らって

また新しい方法でなにかできる!そう思えています。

 

 

 

今は、こうして発信を続けること

自分の作りたいものを作ること。を実践しています。

またきっと、子どもの成長や引っ越しや夫の仕事の状況で、

事情は変わってくるでしょう。

だからこそ、今できることをコツコツとやっていこうと思います。