「MAZ(マス)」@永田町(☆彡)
https://maztokyo.jp/

 南米ペルーを代表するレストラン「Central(セントラル)」のシェフであり、ディレクターであるヴィルヒリオ・マルティネスシェフと、彼の主催する研究機関「Mater Iniciativa(マテル・イニシアティバ)」によるレストラン。

 「noma japan」のときと同じように世界トップクラスの味を東京でいただける素晴らしいお店ですが、それが必ずしもぼくの好みとは一致しないということが ここでも露呈したかも。

 美食を極めていくと、普通の美味さでは飽き足りなくなっていくので、そういう人向けではないかな、と思ったお店です。

 

住所:千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 3F
電話:03-6272-8513
定休:火曜
営業:17時〜23時
 
 東京ガーデンテラス紀尾井町の3階のレストラン街の中央辺り。ニューオータニの道を挟んで反対側にある黄色い横縞と縦格子で形成されたビル。グランドプリンスホテル赤坂の跡地です。

 その3階で店は一見すると壁にしか見えません。大谷石のような石タイルを組み合わせたような壁で、灰色のスライドドアの横のタイルによく見ると店名が刻まれています。
 入り口には黒服の女性が立たれており、入るときに右の操作盤で扉を開けてくれます。キーを打ち込まないと入れないお店のようです。

 扉を開けると、エントランスや風よけなどのスペースはなく、直接ダイニングでした。

 ただ、入ってすぐの場所には細長いテーブルのような仕切りがあります。
 石を削ってくるくられたその台には穴がいくつもあいており、そこにペルーの食材などが詰め込まれています。
 右からブラジリアンナッツ、コーヒー豆、南米料理には欠かせないというワカタイ(Huacatay)というハーブ、白いジャガイモはフリーズドライのもの。アンデス山脈の高地で取れる根菜のオユコ、大きさもまちまちでカラフルな南米のトウモロコシ、アチョーテという口紅の材料にも使われる食紅、ウコンことターメリック、そして灰色をした食べれる粘土。アンデス山脈の芋類であるオカ、チョコレートの原料であるカカオニブ、カカオの親戚のマカンボ。
 

 木製のテーブルの上にはペルーで作った陶器の見せ皿。
 ガス入りの水はサンペレグリノ。
 ペルー料理ですが、シェフはベネズエラ人で会話は英語。
 ノンアルコールペアリングでお願いしました。
 
Vertical Experience 24200円 + ノンアルコールペアリング 10450円
 メニューは料理の名前、食材、そして海抜が書かれています。

 

ハイビスカス - キュウリ - コリアンダーフラワー

 ペアリングは美しいピンク色の液体に小さな白い花。
 キュウリの汁にハイビスカス。白い花はパクチーことコリアンダーの花。酸味があり微発泡で美味しいが、きゅうりが香る。スイカのような感じです。
 
冷たい海
 海藻、貝、ウニ。

 料理ごとにインスピレーションを掻き立てる正方形の紙が渡されます。
 こちらは青い繊維を散らしたような荒い質の和紙のような紙で。
 3品の構成。
 

1つ目は敷き詰めた貝殻の上に2人分乗っています。
 酸味の効いたマテ貝。アヒアマリージョというソースだそうですが、中にトロッと酸味があるペースト。ライムや唐辛子に魚を使ったものらしい。上には何やらハーブ。

 2つ目は長方形の皿に2人分。
 海藻のクリスプ。アオサや蛤をサクサクの生地で包んでいます。上には塩味のある海ぶどう。

 3つ目はガラスの器に。
 フレッシュなウニ。帆立のクリームと海水のジュレと合わせています。赤いのはアチオテオイル。不思議に美味しい。青い花はポリジの花。
 
ユカ - レモンバーベナ - プラム

 白く白濁した飲み物。ユカことキャッサバを発酵させたもののドリンク。レモンバーバラ、プラムで香り付け。酸味があり、まったりした口当たり。でもさっぱりしていました。
 
砂漠海岸

 タラバガニ、バターナッツ、スクワッシュ、キュウリ。
 

砂をイメージさせる模様の紙。
 2品の構成。

 1つ目は緑に覆われたバターナッツスクワッシュをくり抜いた器に。
 黄色とオレンジの2色の粉で覆われていますが、黄色いのはペルーの黄唐辛子のパウダー、オレンジは海老の頭などから作ったというパウダーです。
 中はフワフワのクリーム状。バターナッツのムースにに甲殻のソースと蟹の身が詰め込まれていました。濃厚で美味しい。

 2つ目はサラダ的。シャキシャキした緑のおかひじき、白いコールラビのスライス、赤いのはキュウリのピクルス。その下にシトラスのエマルションだという酸味のあるクリームと生の牡丹海老の身です。

 

熱帯雨林
 アボカド、キャビア、キウィチャ。

 アマゾンの樹皮と樹液の写真。今までが紙に模様だったので驚く。

 アボカドにキャッサバ芋のクリームのソースをかけたもので温かい。
 上にはキャビア、キウィチャというアンデスの穀物でアマランサス。
 そこに酸味のあるパッションフルーツのソースです。
 
チチャ デ ホラ - グレープフルーツ - ブルーコーン

 ペルーの伝統的な飲み物チチャデホラ。トウモロコシを発芽させて麦芽糖を抽出し、煮汁を発酵させたお酒のことらしい。青いトウモロコシを発酵させて。ピンクグレープフルーツを混ぜているらしい。これがアルコールのような風味。発酵のためか微発泡していました。
 
極端な高さ
 トウモロコシ、熟成牛肉、ワカタイ。

 また和紙のような紙にポリジの花の模様。

 ペルーのアンデス山脈に自生するマカの黒いブレッド。上には金色のとうもろこしの髭。素揚げなのかカリカリで味わいがあります。

 薄くスライスした熟成牛肉。黒いパウダーでコーティングされていましたが椎茸とジャガイモのパウダーらしい。その下にはトウモロコシと唐辛子のピュレ、巨大なトウモロコシ、紫芋のクリスプ。卵黄で作った柔らかな麺。底のクリームはワカタイというハーブのソースでターメリックを使っているのかカレーのような味わい。
 冷菜的な肉料理です。
 
岩のり - ベルガモット - アヒ リモ

 岩のりにベルガモット。唐辛子とミント。酸っぱい!
 
海霧

 まずはタコの置物。
 タコ、スピルリナ、イカ。

 イメージの紙は灰色の海原のような模様。

 茶色のツボのような器に入っているのはタコとクリスピーなイカ墨、そして緑は食べられる多肉症物のグラパラリーフ。下にあり緑のソースは塩分高めな感じでした。

 上に青いスピルリナと乾燥したタコの出汁の泡を目の前でかけてくれます。

 

淡水

 アマゾンの巨大淡水魚の皮がランチョンマットのように。
 イワナ、スイカ、ココナッツ。

 イメージの紙は不思議な模様。

 ペルーではパイチェという淡水魚を使う料理ですが、日本なのでイワナの白身のブロックがゴロゴロと。

 その上に蓋のようにスライスしたスイカと蓴菜。食用鬼灯のジュース。白い発酵ココナッツオイルと緑茶とケールを使った緑のビターハーブオイルをかけています。
 
キヌア ミルク - アチオテ - パイナップル

 一見すると謎の飲み物です。
 白いのはキヌアのミルクとパイナップルのジュース。赤い斑点はアチョーテの顔料の色です。これまた酸味があり、美味しいとは別のところに焦点があたっています。
 
アンデスの森
 チャコ、豚、ヤーコン。

 イメージの紙は緑で埋め尽くされた写真。

 チャコは食べられる粘土。食べてみましたが苦味などはなくしょっぱい小麦粉みたいな感じ。

 このチャコで土の中で調理するものを再現。中には千葉の紫色のジャガイモ。

 蒸し焼いたジャガイモなのでほっこりしていて皮まで美味しい。

 つけるのは緑色のチュンチョというカカオとワカタイのウチュクタソースと言われていました。唐辛子のソースなのだと言われていましたが、ネットで調べるとウチュクタ =Uchukutaとはケチュア語で潰したトウガラシのことで、ツリートマト、カッテージチーズ、ワカタイ、玉ねぎ、ロコトというアンデスの唐辛子で作ったソースらしい。

 それももう一皿。黒豚の薄切りで、ビーフシチューのようなソースが下に。ヤーコンはここに入っていました。赤いのはビーツのパウダーで、ボルコンマッシュルームのクリスプが上に添えられています。
 緑入ってなかったけどセルバチコみたい。
 
アグアイマント - ターメリック - オレンジミント

 アグアイマントはペルー原産のスーパーフードで、ゴールデンベリーとかインカベリーとアメリカでは呼ばれているもの。食用鬼灯らしい。そのジュースにターメリック、オレンジミントが。不思議な香りです。
 
高地の森
 カブヤ、パワハナッツ、ピタハヤ。

 繊維が見える和紙のようなイメージの紙。

 カブヤというサボテンの根っこから取れるシロップとアロマティックハーブのかき氷。後から上にかけているのは砕いたブラジリアンナッツとドライなエディブルフラワーに蜂蜜から作られた醸造酒のシロップです。

 もう一皿はチェリモヤという森のアイスクリームに例えられる果実のムース。これが賛否両論分かれるチーズのような香り。下にあるピタハヤはドラゴンフルーツのこと。それに甘みのあるスポンジ。上からたっぷりと削りおろしたパワハナッツのスライス。
 
コーヒー - クマル - ヤーコン

 コールドブリューのコーヒー。香りづけるに使われるトンカ豆ことクマルを使用し、低温抽出していると言われましたが……なんだこれは?と一口飲んで思ってしまった。酸味が強い豆の汁…みたいな。ヤーコンも使っているため?
 正直、飲めませんでした。
 
アマゾニア
 チュンチョカカオ、マカンボ、コポアス。

 砂のような柄の紙です。

 ペルー産チュンチョカカオのカカオニブを使用したスポンジケーキ。上にかけられている乾燥したエディブルフラワーは美しいのですが、食べるとなると噛み切りにくく食べにくい。

 コポアスはラグビーボールのようなアマゾン地方の果実。そのコポアスのシャーベット。酸味が強く、キュウリのような味だったのかな。

 マカンボのカスタード。クレームブリュレ仕立てでカカオ味で美味しい。

 ひっくり返した器の上の木の匙にはカカオのマシュマロにココアパウダーをまぶしたもの。これも酸味がある。

 カカオ豆をローストして作ったペースト。ゴリゴリと粒が入っていました。

 カカオをジュースにしてゼリーにしたもの。酸っぱい〜!!
 

 食後に頂いたのはほうじ茶。
 実はここで出されるほうじ茶がどんなに変わっているのかと気になったのですが、実に普通でした。海外から来られる人の目線からすると、これで正しいのかもしれません。
 

 総評として、ペルー料理のエッセンスが詰め込まれ、未体験の味と食材の構成は、多くのレストランを回り尽くされた方々には高評価なのだろうと思いますが、いちばん重要なのは味だと思っています。
 ぼくの好みの味ではありませんでした。
 総評が☆彡ですから、食べログでは3.5になります。
 時間をおいての再訪はありえますが、定期的に通うお店ではありません。

 

MAZイノベーティブ・フュージョン / 永田町駅赤坂見附駅麹町駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5