私は、7才から30才(うち2年半は家族と暮らす)まで、施設生活を送った。
お盆と正月のそれぞれ10日前後、帰省出来た。両親は、理容と美容を経営していた。
大晦日、仕事の後片づけを終えると日付が変わり、午前1時を過ぎてしまう。
翌日、母親は大田区の大森から列車を乗り継ぎ、板橋区にある施設に迎えに来る。
家に帰れる嬉しさと、親に甘えられる喜びと、正月のご馳走を腹いっぱい食べれる、そして一番嬉しかったのはお年玉。帰路の途中、デパートを散策中、玩具売り場の前を通る。見るものすべてが欲しくなり「欲しい、欲しい」と駄々をこね、私を負ぶってくれている母親の脇腹を両膝で締め上げ、困らせたものだ。
こたつに入り、正月のご馳走の好物「だて巻」と「砂糖醤油餅」の甘くて香ばしい味がよみがえる。