2004年からPARASAIYOというボランティア団体に入って

フィリピンの児童養護施設の子供達の学費支援を行ってきました。

 

振り返ってみれば、2004年の頃の私は、30歳を前に、とにかく猛烈に働いていました。

『仕事ができるようになること=人生の成功』

仕事こそが、人生を豊かにし、人間性を磨ける唯一のものだと思っていました。

それ以外の選択肢を知らなかったこともありますが。

仕事ができる先輩、上司の背中を、ただ、ただ追いかけていたように思います。

休みなく働いていたし、深夜まで働くことはほぼあたりまえの状態でした。

 

そんなとき、会社の後輩でもあり、主人の友人でもある人がやっているという

フィリピンの子供を支援している団体に出会いました。

正直、ボランティアとか寄付には全く興味がもてなくて、

「一回来てみたらいいよ。」その言葉も面倒臭いなぁ、と思っていました。

ところが、仕方なく友人宅でやっているというミーティングに参加してみると、

仕事でも成果をあげているビジネスマンたちが、

別のフィールドでも輝いている姿がありました。

 

『なんだこれ。』

 

それまで、自分は結構仕事もできる方だと思っていたし、

そこそこの人生を送れていると思ったいたけど

完全に「負けた」と、思いました。

 

今だったら、勝ち負けという表現はしないけれど、

その頃は、ビジネスマンとして常に競争しているようなところがあったから、

「負けた」と思ったのです。

 

同じ会社に所属していた後輩だって、うちの主人だって、

決して時間があまっている暇なビジネスマンではなかった。

どちらかというと激務な方。

それなのに、こうして仕事以外の活動をして

生き生きと輝いている。

その時の私といえば、いつも疲れていて、何かが足りない気がしていた。

そして、今よりも老けていたように思う。

 

『なんなんだ、この差は』

 

そう思って、みんながやっている世界に入ってみようと思って

仕事もそれなりに忙しかったけど、飛び込んでみることにした。

 

そうこうしているうちに、すっかりボランティア活動は私のライフワークとなり

2005年にはその団体のメンバーたちとPARACUPというチャリティーランニング大会を

立ち上げることに。

私も仕事とボランティア活動を同時進行するようになった。

今で言うパラレルキャリアってやつだ。

 

振り返ってみれば15年。

仕事とのバランスをとりながら続けてこれたことに自分でも驚く。

続けてこれた理由を聞かれたら、

『楽しかったから。』と答えると思う。

人との出会い、関わり、団体の運営、様々なプロジェクト、支援先の子供との年1回の対交流。

大変なことの方が多かったと思うけど、それも含めて楽しかった、と言える。

人は楽しいことは続けることができるんだな、と実感してきた15年。

この先も仕事とは別の場で、楽しく貢献できることを続けていきたいと思う。

 

今、仕事以外の活動をする人が増えていきていますね。

企業もそうした活動をすることで社員が成長するということで

推奨しているところが増えてきています。

以前は仕事以外にボランティア活動をしているというと

暇人と思われたり、偽善者という目で見られることが多かったけど

時代は変わってきたと感じる。

 

また、先日SDGsのカンファレンスに参加しましたが、

多くの企業の方がSDGs達成に向けて、自社の事業をどう展開していくか

模索していました。

 

たしか2003年だったと思うのですが、

企業のCSRの話を聞く機会がありました。

その頃は企業が社会貢献?と疑問に思ったことを覚えています。

営利を目的とした「企業」が「社会貢献」をしていくというのが

どうもしっくりこなかった。

正直、売り上げの一部を寄付するくらいのイメージしかもてなかったし、

それすら偽善でしかない。

理想ばかりでそんなことが両立する社会は

ないだろう、と思っていた。

それが、今では、多くの企業がSDGs達成に向けて事業を考える時代になってきています。

 

企業の社会における役割も、企業で働く個人の社会との関わり方も

時代とともに大きく変化してきていると思う。

 

世の中のためになることをしながら利益を上げていくのが当たり前の世の中に

なってきている。

これってちょっと前から考えたらすごい変化だな、って思う。

 

また、個人の仕事、求めるものも大きく変化してきているように感じる。

少し前までは、終身雇用が象徴するように

全ての機能は企業に任されていたし、担っていたように思う。

しかしながらここ10年くらいの間に、その役割を企業だけではまかないきれず、

また個人がそれを外に求めるようになったため、仕事とは別の活動

ボランティアなどの社会活動の重要性が増してきているように思う。

 

先週の日曜日、15年間活動してきたボランティア団体がサポートしてきた子が

結婚するというので結婚式に参列するために家族でフィリピンへ行ってきました。

 

15年は10歳だった子が25歳になって立派な大人になれる年月。

日本もこの15年で世の中が大きく変わってきたように感じる。

これからもっと早いスピードで変化して行くに違いない。

 

かなり前に読んだドラッカーの本に

「これからの世の中は行政と民間だけではなく、市民活動が担っていくことになる。」

といった主旨のことが書いてあって、

その言葉が思いつつずっと頭に残っていた。

そんな世の中にはならないだろう、という気持ちと、

心のどこかで、そんな日がきたら面白いな、と思っていたから頭に残っていたのかもしれない。

 

つい先日、それがどうしても気になって、検索していたらこの本に出会った。

読んで、すごく納得した。

 

 

 

今まさに、行政と民間、そして市民活動が一体になっていく時代になってきたんですね。

それにともなって、企業はますます社会のために、個人は仕事以外にも市民活動を。

これからますますボランティア活動、社会活動をする人が増えていくことと思います。

15年パラレルでやってきて、私は仕事以外の場での活動をすることにとても価値があると

思っています。

仕事以外の活動は自分を大きく成長させてくれるし、人生を豊かにしてくれる。

 

時代の流れだけど、こうした社会に身を置けてよかったな、と思っています。

仕事だけでは出会えなかったフィリピンの子供達や、それを支えるスタッフの皆さん。

子供達の成長をともにお祝いできる経験。15年間いろんなことがあったけど

この活動と出会えて続けてこれてよかったな、と思った今回のフィリピン渡航でした。