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LAST song -three-




しばらく歩いて、普通の二階建ての一軒家の前につれられた。


”瀬戸”という表札を見て、ここが杏果ちゃんの家だということがわかる。



・・・・・私も、3歳までは”瀬戸キョーコ”だったんだよね・・・・・


すっかり忘れていたな。

仕方ないよね・・・・最上姓のほうが長いんだから・・・・・


フフフッと笑っていると



「あれっ?鍵かかってるから、お母さんまだ帰ってきていないんだね・・・・」



不思議そうな顔をしながら、かばんから鍵を出して玄関の扉を開ける杏果ちゃん。

弟のリョウくんは、後ろからジッと見つめているようだった。


鍵を開けると



「じゃあ、キョーコ・・・・どうぞ、わが瀬戸家へ。」



茶化しながら中へと案内してくれる杏果ちゃんに微笑みながら

杏果ちゃんの部屋へと案内された。









杏果ちゃんが、制服から部屋着に着替えるまで

柔らかなラグに座って待っている間、お部屋の中を見渡していた。

部屋はオレンジやピンクのかわいらしい色で統一されていて

かわいらしいキャラクターのぬいぐるみとかがたくさん置いてある。

そして・・・・・壁には、私の部屋と同じ人のポスターが一枚、貼ってあった。


ただ、そのポスター・・・・・・

いつのなんだろう。


今まで、見たことないな・・・・・


なんて思っていると、いつの間にか着替え終わっていた杏果ちゃんが

話しかけてきた。



「さっきは邪魔が入っちゃって、話の途中になっちゃったけど、

キョーコは・・・・、私に会いにきてくれたんだよね・・・・・」



「・・・・・・うん」



「あの曲を聞いて、思い出したから・・・・・かな?」



「・・・・・・・元気にしてるかな、と思って。

何故かわからないけど・・・・・・今会っておかないといけないような予感がして・・・・・・」



私は、なんとなくの感情をそのまま・・・・

杏果ちゃんに伝えた。


・・・・・うそを言ったところで、きっと杏果ちゃんにはすぐにわかってしまいそうだから。



「あんまり・・・・・うれしくない予感だね。

でも・・・・・きっと・・・・・・そうだったんだろうと、思う。

私も・・・・・・キョーコに会いたかったし。」



「でも・・・・・・さっきの話、本当なの??

・・・・・・・・・・・もう・・・・・・・・・

長くないって・・・・・・・・・・・」



・・・・・・そんなこと、信じられない。

確かに、ずっとそばにいたわけじゃないけど、

今、目の前にいる杏果ちゃんは、元気そうに見えるのに・・・・・・



「さっき・・・・・・あの曲は、人にあげた物だって言ってたでしょ?

その人、私と同じ病気で・・・・・この前の夏に・・・・・・

亡くなってるの。


彼女は・・・・・私の歌を、大事に大事に聴いてくれてて

なくなった後も、家族の人が遺品として大事にしまっていてくれたんだけど

彼女の友達の人が、貸してほしいって言って持ち出したっきり・・・・・

帰ってこなかったの。


最初、こっちでラジオで流れた後、しきりに謝られて・・・・

その人たちのせいじゃないから、私も何も言えないんだけど・・・・・

その、彼女の友達も、悪意があったわけじゃなくって

私の歌を気に入ってくれて、もっといろんな人に聞いてもらいたいからって

言ってくれたから・・・・・どうしようもないの。」



「・・・・・そう・・・・だったんだ・・・・・・」



歌の中で、”始めての・・・”っていうフレーズがあったのは

同じ病気の同士って、こと、だったのかな・・・・?



「でも・・・・・信じられないよ。

久しぶりに会った杏果ちゃんが、もう・・・・・・」



考えただけで、涙がにじんできそうだった。



「私は案外、悔いはないよ?

キョーコに会えたし。

後は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



・・・・・・??



「後、は・・・・・?」



「・・・・・・・・初恋の人に、会いたい、かな??」



「えっ???杏果ちゃんの、初恋の人??」



「そっ!!!!!!!!」



恥ずかしそうに顔を赤く染める杏果ちゃんは、とってもかわいらしくって

ビックリした。



「キョーコは、相変わらずショーちゃん一筋なの??」



「えっ???」


一瞬、何を言われたのかわからなかった。

でも・・・・・杏果ちゃんは、夏休みの間だけでも

京都で一緒に過ごしていたから、知ってるんだったっけ。

・・・・・・・・・・人生の、汚点を・・・・・・・・・


「だって・・・・・小さいころから、”ショーちゃん”って言っては

後を付いていってたじゃない。

そういえば・・・・・ショーちゃんも、歌手だったよね??

・・・・・旅館の跡継ぎは、大丈夫なのかしら・・・・??」



「・・・・・・・・・・・・・・・・あんなバカの事は、ほっとけばいいのよ・・・・・・・・・・・」



あいつの名前が出てきてからとたんに、私の機嫌が悪くなったことに

気づいていない杏果ちゃんは、ある意味すごいと思う。



「・・・・・そう??」



ふぅ~ん、と特に気にした様子ではないから。


そしてそのまま、少し考えていたかと思うと



「・・・・・・・・ねぇ、キョーコ・・・・・・・・」



「何??」



「一生のお願い、しても、いい??」



・・・・・・・一生の、お願い??


一生って・・・・・杏果ちゃんの口から出ると

リアルすぎてドキリとしてしまう。



「・・・・・・内容にもよるけど・・・・・??」



「あの、ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョーコにしか、頼める人、いないの。」



「・・・・・・とりあえず、教えて?」



すると杏果ちゃんは、自分の部屋に張ってある

唯一のポスターを指差した。



「あの人に、会いたいの。」



そのポスターの人物は・・・・・・・・・・・・・・・・・・


敦賀さん、だった。






つづく。





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今回は、ちょっと短めで申し訳ないです。


今日は一日出かけていたのと、話のきりがいいので

ここで終わらせていただきます。


やっと・・・・彼のお名前が出ましたね。


ちなみに、キョーコちゃんが見たこともない

敦賀さんのポスター、というものは

一応・・・・・私の中では

蓮の売り出しはじめのころのポスター

(若かりし、レアもの??)

というのを想像しています。


これからやっと、彼の出番が出てくるわけですが

ちゃんと書けるか、心配です。



そして、昨日やっと設置できました

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