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LAST song -four-


<蓮side>



一月も下旬に差し掛かったある日のことだった。


ハードスケジュールをこなしている日々を送っているのだが、今日は

何故か仕事と仕事の合間に、若干の時間の余裕があり

社さんの指示の元、事務所へと顔を出していた。


・・・・・それにしても、社さんも用事も無いのに軽やかな足取りをしながら

いったい、どこへ向かうつもりなのだろうか・・・・・


だんだん進む方向が、ある場所だと気づき始めた俺は



「・・・・・・・社、さん??」



彼を呼び止めようとするのだが、一向に気づいてくれない。

・・・・・・・・・もしかしなくても、無視、というやつなのかっ??


何度話しかけようと何も言わない社さんに

若干イラつき始めた頃、



「あの、さ、蓮。

今日は、ちょっと、どうしてもって、頼まれたものだから、さ・・・・・」



いつもとは違い、どこか言葉の歯切れが悪い。


いったい、何に言いよどんでいるんだろう。



「・・・・・・キョーコちゃんの、たってのお願いだから、今回だけだから、なっ??」



「いったい、何のことですか?社さん・・・・・・・」



いつもよりも、少々言い方がきつくなってしまったのは仕方が無いだろう。


社さんは足を止め、後ろにいた俺のほうに振り返ると



「お前のファンが、会いに来てるんだ・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・えっ?!」



「わっ、わかってるよっ!!!!!!

知り合いだからって、普通一般人がツテで芸能人に会うのをいちいち許可してたら

身が持たないし、何よりそれをもし他の人が知ったら、大変なことになるくらい。

でも・・・・・・・・、今回は、ちょっと特殊で、さぁ・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・特殊をいちいち許していたら、いけませんよね??

社さんらしくも何じゃないですか??」



貴方は、有能なマネージャーだったんじゃないんですか??



「(ボソッ)・・・・・しょうがないじゃないか。

キョーコちゃんの・・・・・・・・・・双子の姉って聞いたんじゃ・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・えっ??

今・・・・・・・・・・・なんて・・・・・・・・・???



「・・・・・・や・し・ろ・・・・さん?????」



ギロリと睨みつけると、社さんはヒィィィィーーーーーーーーーーーッ!!!!

と顔を青くし、震え上がりながらも・・・・・・・



「あ・・・・・相手は何でも、キョーコちゃんの双子のお姉さんなんだってっ!!!!」



双子の・・・・・・姉???



「最上さんに、そんな人が居たんですか??」



俺が普通に問いかけたからか、社さんの青い顔は元に戻り

普通に話し出した。



「詳しいことは、会ったときに教えますって言ってたけど・・・・・

結構似てるらしいんだよねぇ~~~!!!!

俺自身が会ってみたかったから、今回だけだよって言ってOKしちゃった♪」



キャッと女子高生みたいに喜んでいる社さんに、

若干頭を痛めつつも

確かに、似ているといわれる双子の姉には・・・・・・・会ってみたいかも。


・・・・・イヤイヤ、でも、相手は一応一般人なわけだから

本当は、いけないん、だよ・・・・な???



「まぁ、そう悩まずにな?!蓮。

わざわざ片道二時間、電車に揺られてやってきてくれたんだから、

会ってあげなよ、な?!」



ニヤリと笑いながら言う社さんに

・・・・それはただ単に、貴方が会いたいだけでしょう?

と心の中で突っ込みを入れつつ、

もう、来てもらっているのなら、仕方が無いな、と思って

また歩き出した社さんに、ついていった。








<キョーコside>




前に、杏果ちゃんにお願いされ、最初は渋っていたけど

社さんにそれとなく聞いてみたら・・・・・


”キョーコちゃんの双子のお姉さんなの??

それなら・・・・・いいよ??”


何故かあっさりと許可がもらえ、丁度スケジュール的にあいているのが

日曜日の今日の午後、一時間くらいだけ、だった。



私は午前中に東京駅に迎えに行ったのだが、

片道二時間かけて電車に揺られてやってきたのは

杏果ちゃんだけではなく、弟のリュウくんも一緒だった。


何でも、リュウくんも一緒じゃないと東京には行かせてもらえなかったらしい。

どうして?と聞いていたら、返ってきた答えは・・・・・・


”途中でもし、発作が起きたらって、心配されたの。

今はもう、一人じゃ遠出できないんだ・・・・”


さびしそうな顔をしながらそうつぶやいた杏果ちゃんは・・・・

可愛らしかった。



軽く東京案内をして、やってきたのはLMEのビル。


私は中は案内せずにそのまま、ラブミー部の部室へと急いだ。

事務所内で、私に良く似た杏果ちゃんと、イケメンのリュウくんを連れ立ってたら

目立ってしまうからだ。



ガチャっと中に入ると、そこには・・・・・・



「・・・・・・・・・・・・・・ほんとに、そっくりなのね・・・・・・・・・・・・・・」



今日のことを伝えてあった、モー子さんが待ち構えていた。


まじまじと杏果ちゃんを見ているモー子さんに

杏果ちゃんは、若干戸惑っている。


リュウくんは、まじまじと見るモー子さんを、どこかいぶかしむように

眺めていた。


・・・・・変な感じね・・・・・


その光景を、少し関係ないように遠巻きに眺めていたら

モー子さんが、私に向かって紙袋を渡してきた。



「アンタ、コレつけてみなさいよっ!!!」



ニヤリと笑いながら渡してきたモー子さんに、若干不安を覚えながら

紙袋の中身をのぞいてみたら・・・・・・



「・・・・ウィッグ??」



黒髪のロングヘアのウィッグが入っていた。



「彼女の髪型、教えてもらってたのは、コレのため。

キョーコ、一回つけてみなさいよ。」



「えぇぇぇっぇぇっぇ~~~~~~っ!!!!!!!!!」



・・・・・そんなの、イヤよぉぉぉぉ~~~~!!!!!!!!!!


とは言える訳がなく、持っていたウィッグをあっけなくとられると

モー子さんに、つけられた。



「・・・・やっぱ・・・・・そっくりね。」



「へぇ~~~・・・・・・・・・・・・・・」



モー子さんも、眺めていただけのリョウくんも驚きを隠せないようだった。


私は急いで鏡のある場所へ移動すると、そこには・・・・・・・・・

確かに、杏果ちゃんみたいに見える私が立っていた。



「で、二人でコレに着替えてねっ!!!!」



指差されたのは、ラブミー部のつなぎ、だった・・・・・・






着替え終わり、しばらく待つと・・・・


コンコン


部屋をノックする音がした。



「社だけど、連れてきたよ。」



社さんの声が聞こえたから、モー子さんが扉を開けた。



「イヤァ~~、待たせ・・・・・・・・・・・・・・・・」



入ってきた社さんと、敦賀さんが

その場で固まってしまったのは、仕方が無い・・・・・・よね?!





つづく。





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今回も、かなり短めですね。

話が全然、進んでなぁ~~い!!!!!


ま、でも・・・・仕方が無い、かな?!


どうしても、キョーコちゃんがウィッグつけて

そっくりな格好させて、会わせたかったのです。

(最初、杏果ちゃんをキョーコちゃんに似せようかとも思ったのですが

物理的に、こっちのほうがやりやすいかな?と思いました)


普通、どんなツテを使ったって、一般人に会いたいからって言われて

会えるようにしてたらいけないのかな?と思って

今回はこんな書き方をしてみました。


蓮とか社さんとか、徹底してそうじゃないですか?


でも、今回会えたのは、ただ単に見てみたかっただけ、という(笑)


何とも単純な理由にさせてみました。



ま、小説なんで、フィクションなので

あんまり突っ込まないでくださいねぇ~~。



それでは、次回にまたお会いしましょう♪