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LAST song -seven-



<杏果side>


結局あの後、私は敦賀さんにはこれ以上何も言わずにリョウと家へと帰った。


マネージャーさんには、丁重に謝っておいたけど

マネージャーさんは、あまりいい顔をしていなかった。


キョーコのお友達の奏絵さんには、

”あなた、やるわねっ”と言われ、

何故か好印象だったようだけど・・・・



帰りの電車の中で、リョウに



「本当に良かったのか??

本当に言いたかったのは、あんなことじゃなかったんだろう??」



こう聞かれた。


確かに、あんなことじゃない。

・・・・・でも・・・・・・



「もう、いいの・・・・・

あんなに傷つけちゃうなんて思わなかったし・・・・・・

それに、もう会うことも無いかも知れないけど

もう一度会えただけで、良かったんだから・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・そんなもんか??」



「・・・・・・そんなもんだよ・・・・・・・・」



それっきり、リョウは何も言わずにいてくれたけど

きっとリョウは・・・・・・納得していないんだろうな・・・・・・


でも

仕方ないじゃない??


向こうも、忘れてるかもしれないでしょ??


あんなに近くにいるのに、二人とも、何も言わなかったんだもん・・・・・・・


・・・・・・・覚えているのは、私だけ・・・・・・・


それなら、何も言わないほうが、いい―――――







その日の晩。


なかなか寝付けなかった私は、ベットから出て

窓から星を眺めていた。


ずっと、会いたかった人に会って、

でも・・・・・伝えたいことは、伝えられなかった・・・・・・・・・


これから、いったいどうすればいいのだろう。



そんな時



♪♪♪~


メールの着信の音がした。



メールを確認してみると、キョーコからで一言

”ゴメン”

と入っていた。


・・・・・・・いったい、何のことだろう??


と思っていたそのとき、



♪~~~



いきなり携帯がなった。


今度は電話。


でも、”非通知”って――――――誰???


とろうかどうか迷っていた。


友達や知人は大体登録してあるから、みんな着信のとき

名前が出るのに・・・・・

そう思ってためらっていると、時間が過ぎたのか、プッツリと切れた。


ちょっとホッとしていたら・・・・・



♪~~~



もう一度かかってきて・・・・・・


意を決して、通話ボタンを押した。



「・・・・・・・・・・・もしもし?」



いつもよりも、若干声のトーンが堅くなってしまうのは、仕方の無いこと。


でも、相手は何も言わない。



「・・・・・・どなた様、ですか??」



問いかけたけど、なかなか相手は声を出さない。


嫌がらせ??

もしくは、間違い電話???


なんて思っていると・・・・・・



「あの・・・・・」



っ!!!!!!

そ、その声、もしかして・・・・・・・・・・・・



「つ・・・・・敦賀さん、ですかぁ~~???」



「・・・・・・・・・・・・はい」



な・・・・・・なんで敦賀さんが、私の携帯に電話かけてるの??

ど、どうして・・・・??


はっ!!!!!!も、もしかして・・・・・・・・・・・・

今日のこと、怒ってるから、文句を言うために???


ま、まさかっ!!!!

じゃ、じゃあ先手を打たないとっ!!!!!!!



「今日の暴言を怒っているのでしたら、本当に申し訳ありませんでしたっ!!!!!

初対面の方に向かっていきなりあんなことを言ってしまって・・・・・

文句でしたらいくらでも伺いますので、どうぞ怒りをお納めくださいぃぃぃ~~!!!!!!!」



早口でまくし立てるように言ったら、敦賀さんからは何も返事がなく

しばらく待っていると・・・・



「プッ・・・・・」



プッ・・・・・???



「アハハッ・・・・・・別に、怒ってないんだけど??」



「・・・・・・へっ??」



えっ??怒ってるから、電話かけてきたんじゃないの??



「本当に・・・・・・最上さんと双子なんだね。

そうやって勘違いしちゃうとことか・・・・そっくりだよ。」



「なっ!!!!!!!!」



・・・・・・キョーコ、あなたはいったい、何をやらかしてるのよっ?!



「じゃ・・・・じゃあ、どうして私にお電話を・・・・??

それに、どうして番号を知ってるんですか???」



「あぁ・・・・・番号は、最上さんに教えてもらって・・・・・」



あぁ、だからさっき、メールで”ゴメン”って謝ってたんだ。



「用件は・・・・・その・・・・・・・・

お願いがあって・・・・・・・・・・・」



「???お願い、ですか・・・・・????」



なんだろ、検討もつかないけど・・・・・・



「もっと、いろんなことを教えてほしい、と思って。

君の・・・・・敦賀蓮に対する意見を・・・・・・・・・・・

俺のことを、面と向かってそういう人って、(社長くらいしか)いないから・・・・・・・」



「・・・・・・・私に、敦賀蓮のアドバイザーをしろ、と??」



「アドバイザーって・・・・・・

まぁ、一視聴者としての、率直な意見が聞きたいっていうもの、かな??」



「・・・・・・・一視聴者としての、意見、ですか・・・・・・・・」



「うん・・・・・・どうかな??」



「それって・・・・・・・・・・・また、電話がかかってくる、ってことですか??」



「まぁ・・・・・そういうことになる・・・・・かな??」



「・・・・・・・・・お断りしたら、どうします??」



「えっ???な・・・・・何で????」



そ・・・・・・そんなの、言えるわけ無いじゃないですかっ!!!!!!



「そんなに・・・・・・俺って、嫌われてるの・・・・・??」



「っ!!!!!!なっ!!!そ・・・・・そんなわけ無いじゃないですかっ!!!!!

むしろ、その逆ですっ!!!!!」



「・・・・逆って・・・・・えっ???」



「・・・・・・・そんな、素敵な声が耳元から聞こえてくるなんて・・・・・

心臓がいくつあっても持ちませんよっ!!!!!!」



はっ!!!!

本当のところを言ってしまったっ!!!!!!


は・・・・・恥ずかしいぃぃぃぃ~~~!!!!!!!!



「・・・・・・・・・・・・」



あ・・・・・アレ????



「・・・・・敦賀さん???」



「あっ・・・・・ゴメン、ちょっと・・・・・・・・ビックリして。」



「・・・・・・どうして???

どうして、ビックリするんです???」



私、そんな変なこと言ったかしら???



「イヤ、だって・・・・・・・キミには嫌われてるんだと思ったから・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・嫌いなら、わざわざ会いに行きませんよ??」



「っ!!!!た・・・・確かにそうだけど・・・・・・・」



「私は、敦賀さんに、普段からも普通に笑ってほしいな、と思って

ああ言ったんです。

心の底から笑う、あなたの笑顔は、とっても綺麗で大好きだったから・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・えっ???今の・・・・・・・・・・・どういうこと???

もしかして、前に会ったこと、ある??」



あっ!!!!しまったっ!!!!!!!!



「な・・・・・・何でも無いんですっ!!!!!

こ・・・・・言葉のアヤですからっ。」



「・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・・・・・・・・

あの時の、キョーコちゃんは・・・・・・キミ、だった???」



「っ!!!!!!!

な、何でも無いんですっ!!!!!!!」



「まっ・・・・・・」



ブチっと通話を切った。




・・・・・・・・・・怖い・・・・・・・・・・・



まさか、敦賀さんは・・・・・・・覚えていたなんて・・・・・・

知らなかった。


あの夏、京都でコーンに会ったのは・・・・・・・・キョーコ。


でも、私も・・・・・・・・・・何度か会った。


キョーコの、フリをして――――――――――




つづく。





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はい。

キョーコちゃんへの電話の用件は、杏果ちゃんの電話番号を聞くため、でした。

本当は、蓮的に、とりあえず彼女にはきちんと謝りたかったんだと思います。

んで、その後、お願いをするつもりだったのですが・・・・・

杏果ちゃんの、またもやの暴走で、謝り損ねてますね^^


そして・・・・・


最後に書いた事が、今回の話の”if”です。

(わからない方は、こちらの『新作♪のその前に 』の記事を読んでみてくださいね♪)


もしも、コーンと会ったのが、キョーコだけじゃなく、他にもいたなら・・・・


今回は、キョーコのフリをした杏果ちゃん、なんですが

どうして、キョーコちゃんのフリをしたのか、というのは

ちゃんと話の中で出せるとは思います。


そして、この後3人がどうなるのかは・・・・

作者しかわかりません。


・・・・ま、楽しみにしててください。


とりあえず、ここまでやっと、書けたよ・・・・・

はぁ~~~。