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LAST song -eight-


<キョーコside>


杏果ちゃんが東京にやってきた日から数日たち

もうすぐ2月に入ろうという日。


急に電話があったと思ったら・・・・


”キョーコちゃぁ~~~んっ!!!!!たすけてぇ~~~~っ!!!!!!”


社さんからの助けてコール。

相変わらずお仕事に忙しい敦賀さんが、ほとんど食事も取らずにお仕事をされているようで

今晩、久々に敦賀さんのお宅へ行って、夜ご飯を作ることになった。


私も・・・・お伺いしたいことがあったから、ちょうどよかった。


誰にも、言っていないけれど・・・・


杏果ちゃんがやってきたあの日。

どうして――――

敦賀さんは、杏果ちゃんの電話番号を知りたかったのか・・・・

杏果ちゃんと・・・・何を話したんだろうか・・・・


日がたつにつれて、どんどん気になってくる。


何故か、胸が・・・・かすかにざわつくような感じがするの・・・・・・






事務所から預かったスペアキーで敦賀さんのお宅に入り

今日の夜ご飯を用意する。


社さんのお話だと、今日はあまり遅くならない、と伺っているから

さっぱりとした和食を用意して待っていた。


帰宅された敦賀さんは、なんと、社さんから話を伺っていなかったようで

思い切り驚いていた。



「っ!!!!も・・・・・最上さん??・・・・・どう・・・し・・て・・・・??」



「あっ!!!敦賀さん、お帰りなさいませ。

社さんから、ラブミー部の依頼を受けまして、本日の夕食を作って待っていました。

いつでも召し上がれるようにしてありますので、先にご飯にされますか??」



「あ・・・・・あぁ・・・・・

ありがとう、最上さん。」



・・・・・食事中は、ほとんど差しさわりのない

仕事の会話を交わす程度だったのだが、食後

食器をすべて片付け終わったときに、いきなり話しかけられた。



「最上さん・・・・ちょっと、話があるから、少しだけまだ居てもらっても、いいかな?」



「・・・・私も、実がお伺いしたいことがあったので・・・・いいですか??」



私のこの言葉に、若干敦賀さんは驚いたようだけど、

すぐに、



「じゃあ、コーヒーでも入れてくるから、座って待っててくれるかな?」



こういってコーヒーを入れにキッチンへといってしまったので

私はおとなしく座って待っていることにした。






最初に、話を切り出したのは、敦賀さんだった。



「この前の・・・・・最上さんの双子のお姉さんのこと、何だけど・・・・・

もし、差し支えなければ教えてもらっても、いいかな??

その・・・・・彼女は、最上さんと苗字が違うようだったけれど

いったい、どうして違うのか、な・・・と思って・・・・・・・」



かなり聞きづらそうに、言葉を選びながら聞いてくれる敦賀さんに

私は思わず



「そんな、気にされるようなことじゃ、ないんですけど・・・・・」



と前置きをした上で、話し出した。


私たちは双子だけど、3歳のときに両親が離婚して、

それぞれ別々に育てられたこと。

杏果ちゃんは、病気がちでアメリカに療養に行ってたこと。

でも、1年足らずで帰ってきて、その後は夏休みだけ京都で一緒に過ごしたこと・・・・

杏果ちゃんが10際になるころに、その夏休みで会うのも終わってしまったこと・・・・・

杏果ちゃんはお父さんの再婚で、弟ができたこと・・・・。


でも――――――


杏果ちゃんの病気が、まだ治ってなくて

余命少ないことは、言えなかった・・・・・・


私が言っては、いけないような気がしたから・・・・・・・



私の話をずっと、黙って聞いていてくれた敦賀さんが、

こんなことを聞き始めた。



「京都で・・・・夏休みは一緒に過ごしたってことは・・・・・

彼女も・・・・”コーン”に、会ったの・・・・・??」



「――――――――――えっ・・・・・????」



ここでいきなり、コーンの話題が出てくるなんて、思ってもいなかった私は

ビックリして固まってしまった。


そういえば、前に敦賀さんにはコーンの話をしたけれど・・・・

コーンに会ったのが夏だったって・・・・私、言ったかしら??


――――――――きっと、言ったのよね??

じゃないと、敦賀さんが知っているわけ、ないもの・・・・・・



「あっ、と・・・・・・・・そう、ですね・・・・・・

実は・・・・・・・・・・

杏果ちゃんも、コーンに会ったことあるんです。

杏果ちゃんには、いつもコーンと会ったことを話していたので

どうしても一度会ってみたいって言って、

一度、私の変わりに会ったときがありまして・・・・・・・


杏果ちゃんは、コーンは妖精じゃないって、いつも言ってましたけど・・・・・」



「・・・・・・一回、だけ??」



どうして、敦賀さんがそんなに真剣にコーンのことを聞いてくるのか

よくわからなかったけれど、私はそのまま質問に答えていた。



「後、何回かありますよ??

旅館のお手伝いが終わらなかったときとか・・・・・

後は、私が夏風邪をひいてしまって、出かけられなかったときとかにも・・・・・」



「いつだったか、覚えてる??」



「・・・・・・えっ???」



何で、そんなことを聞くんですか?

とは言えなかった。


だって・・・・・・敦賀さん、いまだに真剣な表情を崩さずに聞いてくるんだもの・・・・


どうして、そんなこと聞くんですか???



「・・・・・・・覚えて・・・・・・・・・あっ!!!!!!!」



一回だけ、覚えてたっ!!!!!



「敦賀さんっ!!!一回だけ、覚えてます。

杏果ちゃんに変わってもらった日のこと。


・・・・・・最後の日、です。

コーンに、最後のお別れを言ったのは・・・・・・

私じゃなくって、杏果ちゃん、だったんです。


だから、”コーン”の石をもらったのも、杏果ちゃんでした。


でも・・・・・

杏果ちゃんは

”これは、キョーコにくれたものだから、絶対にキョーコが持ってないとダメ”って言って

コーンの石を、私に渡してくれたんです」



「・・・・・・・・・そう・・・・・・・・」



敦賀さんは、こう一言言ったっきり黙ってしまった。


何かを考えているようなその表情は、硬く・・・・

あまり言ってはいけないようなことを言ってしまったんじゃないか

と思ってしまった・・・・・・


しばらく待っていたけれど、敦賀さんは何も言わないので

今度は私が聞きたいことを、聞いてみることにした。



「あ・・・・あの・・・・・・・敦賀さん?」



問いかけると、ずっと思考の森の中に入り込んでいた敦賀さんは

顔を上げ、私のほうを見ると、やわらかい表情をして



「あ・・・・・・・ゴメン。何??」



「あの・・・・・・この前、杏果ちゃんには、どうして電話したんです・・・・か???」



私は、気になっていることをそのままストレートに聞いてみた。


すると・・・・・・



「あ・・・・・・あれ、ね・・・・・・・」



「もしかして、杏果ちゃんを怒るため、とかじゃないですよね??」



「いいや、逆だよ。

わざわざ会いに来てもらったのに、ほとんど話すこともできなかったからね・・・・・

ただ・・・・・最初は出てもらえたんだけど、あの後何度かけなおしても

出てもらえなくなってしまって、ね・・・・・・

(ボソッ)・・・・・嫌われたのかな・・・・・」



「なっ!!!!!!

そ・・・・・そんなわけ、ないじゃないですかっ!!!!!」



・・・・・・って、もしかして、電話に出られない状況、とか??

病気が悪化した、とか・・・・??

私、あの後一度も電話してないから・・・・・・



「あの・・・・もしかしたら、何かあったのかもしれないので

今、電話してみますね?!」



「えっ、そんなつもりじゃなかったんだけど・・・・??」



敦賀さんの制止の声も聞かず、

私はすぐに携帯を出し、杏果ちゃんの携帯にかけた。



trrrrr・・・・・ trrrrrr・・・・・


コール音が鳴る間、私も敦賀さんも固唾を飲んで待ち構えていた。



”・・・・・はい・・・・キョーコ?どうしたの???”



で・・・・・・出たぁ~~~っ!!!!!!!!



「杏果ちゃん??今、電話しても、大丈夫??」



”あ・・・・・うん・・・・・平気だけど、どうしたの??”



「あのね・・・・・杏果ちゃん、最近敦賀さんから電話、あった??」



”・・・・・・・”



「・・・・・杏果、ちゃん??」



”・・・・・・・もしかして、何か聞かれた??”



「・・・・・・へ??」



”・・・・・・昔のこと、とか・・・・・・・”



「あっ・・・・・・・、うん」



”・・・・・・・・そう・・・・・・・・”



「ねぇ、ど」



話の途中で、私の携帯を敦賀さんにとられてしまった。



”・・・・・キョーコ??どうしたの??”



「・・・・・どうして、電話に出ない?」



”っ!!!!!!”



「俺、何かいけないことでも、言ったかな??」



”ど・・・・・・・・どうして、今、こんな時間に

キョーコと、二人でいるんですか・・・・・??”



「それ、質問の答えになってないけど・・・・??」



”・・・・・・・・・何も・・・・・・・・言ってません”



「じゃあ、どうして、避ける??」



”それは・・・・・・・・・・”



「昔のことは・・・・・もう聞いた。

君のことも、最上さんのことも・・・・・・・

そして、それが君にとって、まずいこと、というのもわかってる」



”ならっ・・・・・・・・・”



「それでも、電話に出ないのは、いけないんじゃないのか?」



”・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・”



「後で・・・・・・・かけなおすから、今度はちゃんと出てくれるかな?」



”・・・・・・・はい”



「じゃあ、また。」



こういって、敦賀さんは私の携帯をすっと渡してくれた。



「もしもし、杏果ちゃん??」



”あっ!!!キョーコっ!!!!!!

どうして今、敦賀さんと一緒にいるのよっ!!!!!!

あなたたち、いったいどういう関係なの???”



「あっ・・・・そ、それは今は・・・・・ちょっと説明が難しくって・・・・・

杏果ちゃんが考えているような関係では決してないから、ね?!」



”・・・・・・・・・ほんと、に??・・・・・・・・”



「・・・・・・う・・・・・・うん・・・・・・・」



”わかった。キョーコの言うこと、信じるから・・・・・・

とりあえず、あんまり心臓に悪いこと、させないでくれるかな??”



「そうだね・・・・・ゴメン、ね??」



”わかればよろしいっ!!!

で、キョーコの用事は??”



「いやっ、特にはないよ?

杏果ちゃんの電話がつながらないからって聞いて

もしかしたら、調子が悪いのかなって思って・・・・・」



”・・・・・心配かけちゃったんだね・・・・・ゴメンね。

まだ・・・・・・・大丈夫、だよ。”



「じゃあ、また電話するねっ!!!

元気な声聞けて、安心したよっ!!!!」



”そう、だね・・・・・・仕事、がんばってね?!”



「うんっ!!!!!じゃあ、ねっ!!!!!!!」



私は杏果ちゃんとの通話を終了した。


私はこの後、敦賀さんにだるまやまで送ってもらったんだけど・・・・・

どうして、敦賀さんが杏果ちゃんに電話をしたのか

杏果ちゃんがどうして、敦賀さんからの電話を避けていたのか、わからなかった。


そして何より・・・・・・

敦賀さんが杏果ちゃんに電話をしている姿を見て・・・・・

何か、胸に引っかかるものがあった。


この、胸のつかえは、何だろう・・・・・・・


何か―――――


私にはわからないことが、おきていくのかも、知れない・・・・・・・・・






つづく。





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今回は、あまり時間がない中書いたため、

かなり雑になってしまいました。


話が読みづらかったら、ごめんなさい。