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LAST song -sixteen-



<リュウside>



泣いてもいいと言ってくれた、杏果の双子の妹、タレントの京子。

本名は、最上キョーコって言うらしくって

杏果はいつだって、キョーコって呼んでたっけ。


そいつの腕の中で、泣き崩れてしまった俺は

やっと落ち着いたときに、そっと離れてみたら、

今度はキョーコのほうが、泣き始めた。


・・・・・・こいつも、寂しいんだよな。


仕事で忙しい中、杏果のために会いにきてくれたんだもんな・・・・・


今度は俺が抱きしめる形で、キョーコが泣き止むまでそばに居た。


けど・・・・・・・・・・・・・

疲れたのか、腕の中で寝てしまっていた。


・・・・・・・・おいおい。


ハァーーーーーーっとひとつため息をついて

そのまま杏果のベットで寝かしてやると

キョーコの寝顔をマジマジとみる。


・・・・・・・・・初めて会ったときにも思ったけど

本当に、よく似てる。


前に一度、ウィッグをつけて杏果と同じ格好をしたときには

最初どっちがどっちかわからないくらいだった。


杏果の分まで、こいつには幸せになってもらいたい・・・・

そう、思っていたんだ。

・・・・・・・・・・・このときまでは。

本当に。


でも、こんなことになるなんて、俺も

俺自身も思っていなかったんだ。








両親に、キョーコが疲れて寝てしまったから杏果のベットで寝かせてある話をして

俺は、自分の部屋に居た。


夜ご飯も食べ、何度様子を見に行っても起きてこないキョーコを

起こさずにずっと寝かせていたのはどうしてなのか、

自分でも、よくわからなかった。


隣の杏果の部屋から、かすかに物音がしたのは・・・・

深夜0時を過ぎたころだった。


中を覗きに行くと、杏果のベットの上でチョコンと座ったまま

顔を青くして固まっているキョーコが

一瞬、杏果に見えた。



「・・・・・・・・・・・・・リュウ??私・・・・・・・・・・

ど・・・・・・・し・・・て・・・・・・・???」



状況を把握し切れていないようだから

俺はそのまま話し出した。



「・・・・疲れて寝てしまったんだよ。

何度か起こそうとしたんだけど、気持ちよさそうにしていたから

起こしそびれちゃって・・・・・

何も食べてないから、おなかすかない??

おにぎりぐらいなら、すぐ用意できるから、どうする?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・いらない。」



「・・・・そう、か??

それより、明日仕事なんだっけ。

時間、大丈夫??」



俺の問いかけに、何も答えずに

目の前に居るキョーコは、下を向いたまま肩を震わせていた。



「・・・・・・どうか・・・・・したのか??」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴメン」



「えっ??」



突然謝られたのだが、俺にはまったく身に覚えがない。

訳のわからないままで居ると、話し始めた。



「さっきの話、聞いた。」



「・・・・・・・・・・・さっきの話??」



何のことだ???



「・・・・・・・・・・・・私のこと、ずっと好きだったなんて、知らなかった。

ずっとそばに居てくれたのに、私はずっとリュウにひどいことをしていたんだね。

・・・・・・・・・ゴメンね。」



・・・・・・・・・・私の、こと・・・・・・・・・??



「えっ??あっ・・・・・・・・ま・・・・・・・まさ・・・か・・・・・・・・・

きょ・・う・・・・・・・・か・・・・・・・・???」



俺が呼ぶと、目の前のキョーコが顔を上げ

泣きながら、微笑んだ。


その笑顔は、俺がいつもそばで見ていた、杏果の笑顔。


その笑顔を見た瞬間、

俺は、彼女を力強く抱きしめた。


もう、どこにも行かせないように。

俺のそばから、離さないように・・・・・


きつく、強く。




「杏果っ!!!!俺を置いてくなよっ!!!!!

ずっと・・・・・・そばに居てくれよ・・・・・・・・・」



抱きしめる力が、さらに強くなる。



「・・・・・・・・・・・・・・私は、どこにも行かないよ??」




胸の中に居る杏果が、少し苦しそうな声で言った言葉に

思わず俺は、抱きしめる力を緩め、彼女の顔を覗き込んだ。




「・・・・・・ホント??」



「リュウの心の中で・・・・・・

私はずっと、生き続けられるの。

だから、私のこと・・・・・・・・忘れないで??」



「あぁ・・・・・・・・・・・・・

いつまでも、忘れない。杏果のこと・・・・・・・・・・

約束、する。」



俺の言葉に、うれしそうに笑う杏果。


俺の心が、ほんの少しだけ、軽くなったような気がした。



「杏果・・・・・・好きだよ。

誰よりも、愛してる。

だから、杏果に・・・・・・触れたい。

もっと・・・・・・・・・」



杏果は、嫌がることなくふわりと笑って

俺を見つめていた。


俺は、そのまま杏果に・・・・・キスをした。



そこで、俺の中の何かが、切れてしまった。


夢中で、杏果に何度もキスをした。



無我夢中で、君を抱いてしまった。


俺は、忘れていたんだ。



杏果は、もう、死んでいるんだって・・・・・・・・・・・


杏果が、生き返って俺に会いにきてくれたわけじゃないんだって。



真実を目の辺りにするのは、明け方。

目を覚ましたとき――――



俺の腕の中で眠っていたのは・・・・・・・・

キョーコだったから。





つづく。






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今回、何気にさらぁ~っとすごいこと書いてますよねぇ~。


ホントは最初キョーコちゃん視点で書こうかな?と思ったのですが

リュウ君視点にしちゃったほうが、かなり書きやすかったです。


あははっ。

別に、こんな書き方なら、大丈夫よね??

あまり・・・・・まったく、描写しなかったものね?!

・・・・・・大丈夫、よね???


今回は、ちょっと不思議な話になってしまいましたが

実は、コレ、次回にすぐにどうしてこうなったのか

書くつもりです。

(まだ書いてないので、なんともいえませんが・・・・)


蓮キョ派の人には、ちょぉぉぉぉ~~っときつい話、ですよねぇ~。

あはははは・・・・・・・

ゴメンなチャイ。



では、次回もお楽しみにぃ~~♪