・・・今までの話・・・・

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この空の向こうがわ ☆一年生 春☆ no.9



6月には球技大会があった。


私は、女子バレーをしていたけれど

二回戦で早くも負けてしまった。


残りは大体クラスのほかの競技の応援をする中で

私は、あの人を見つけてしまった。


――――風紀委員長。


私の(不本意ながらも)ファーストキスの相手。


あの後、彼が

鬼崎 陸斗(オニザキ リクト)という名前であること

透唯と同じクラス3年A組であることが判明した。


そして彼には・・・・・長年の片思いの相手が、居るらしい。

3年の間では、かなり有名な話らしいんだけど・・・・・

相手が誰なのかは、よくわからなかった。


好きな子が居るんだったら、

あんなことさせないでほしかった、な。


少しだけ胸が痛くなった気がしたけれど

私は気にせず、その場を離れた・・・・・







そのまま私は、ソフトボールの試合を見に行った。

ソフトボールは女子が必ず2人は出ないといけなくって

野球部とソフト部は出てはいけないことになっている。


けど、うちのクラスは、運動の得意な子が多いみたいで

ソフトは順調に勝ち進んでいた。


美波が出ているから、喜んで応援していると

いつの間にやら、隣に日野先生が立っていた。



「・・・・・・・・吉川は、サッカー以外に

ソフトも上手なんだな。」



あっ、美波は女子サッカー部だから、見に来てくれたのかな??



「ハイっ!!!美波は何でも上手に出来るみたいですよ??」



体育の授業でいつも、何でも上手に出来ていたから

きっと私と違って、スポーツは得意なんだろうなぁ~。



「・・・・・・・バレーも、見に行ったよ??」



「へっ??」



「・・・・・・がんばってたな/////」



「なっ!!!!!!」



あ・・・・・あんなの、見ないで下さいぃぃぃぃ~~~~っ!!!!!!!

だ・・・・・だって・・・・・・確か、私、レシーブできなくって

すっころんでたような気が・・・・・・・・



「イヤイヤ、本当に、スポーツ苦手なんだなぁ~って思って、さぁ・・・・」



「っ!!!!イイじゃないですかっ!!!!!」



「まぁ、そうむきになるなよ・・・・・」



だって・・・・・・・・・・

章吾さんの前では、みっともない姿、見せたくないんだもんっ!!!!


ブスーーーーーッとしていると

章吾さんが私の頭をポンポンとたたいてくれた。



「すねるなよ、な??」



・・・・・・・・・////////

そんな優しい顔をして、言わないでください。


周りに他の生徒も居る中で、こんなことしないでください。


私は顔を真っ赤にしながら、こくんとうなづいた。



「あっ!!!日野センセー。」



隣のB組の女の子たちがやってきた。


章吾さんは、B組の副担任をしているから

生徒と仲良くしてるんだよね?!


章吾さんが笑いながら話を聞いているその姿に

胸がキリキリと痛んだけれど


私は何も言わず、離れていった。








その日の夜。


私は今日の昼間の、章吾さんが女の子と話をしているところを見て

胸が痛くなったことを、思い出していた。


・・・・・どうして??


まだ、何もわかっていないのに、こんな気持ちを抱かせないでよっ!!!!


私は、お姉ちゃんをこれ以上、苦しめたくないの。



コンコン



ノックの音がすると、部屋に透唯が入ってきた。



「ちょっと話があるんだけど、いい??」



「・・・・・・うん」



透唯の顔を見たら・・・・・・・・

何故かちょっと怒っているような気がしてビックリした。


連条家にお世話になって、もうすぐ一年。


その前から透唯とは何度もあったことはあるけど

透唯が怒った顔なんて、初めて見たから・・・・・・



「あの、さ・・・・・・

萌香は、アイツのこと、好きなのか??」



「・・・・・・・・・・アイツ??」



いったい、誰のことだろう??



「鬼崎 陸斗、だよ。風紀委員長の・・・・・・

今日、アイツ俺のとこきて、萌香とキスしたって言ってきたから・・・・・」



「・・・・・・・はぁ??」



「萌香は、その・・・・・・

あんまり恋愛感情とかないほうだけど

好きでもないやつとキスするやつでもないだろうし、と思って・・・・」



「あぁ・・・・・コレを返してもらうっていう交換条件だったの。。。」



そういって、私は首からさげていた形見の指輪をはずして

透唯の目の前に見せた。



「・・・・・・・・・だからって、簡単にキスさせてちゃいけないだろう??」



「キスのひとつですんでるから、いいんじゃないの??

付き合え、とか、体、とかじゃないんだから・・・・」



「っ!!!モカッ!!!!!!」



私の言葉をさえぎるように透唯が大きな声を出すから

思わず体がビクッとした。



「・・・・・そんなこと、思ってもいけないし

言っちゃダメだ。」



「・・・・・・」



「もっと・・・・・・・・・自分を大事にしろよ??

確かに、愛菜さんのことも大事だけど、

それよりもまずは、自分をもっと大切にしないと・・・・・」



「・・・・・・・・・・そう・・・・・・だけど・・・・・・・・」



「何かあったら、すぐに俺に言うんだぞ??

俺が、必ず・・・・・・・・萌香を助けるから。」



「・・・・・・・・・・・わかった。」



私の返事に納得して、透唯は私の部屋から立ち去った。


透唯の言うこともわかるんだけど

私は、自分の身よりも、大事にしたいものがあるんだ。


そのひとつが、この形見。


お姉ちゃんの持ち物の中で、私がたったひとつだけ持ち出したもの。

章吾さんから贈られた、ペアリング。


うらやましかったし

・・・・・・・・・妬ましかった。


初めて、好きになった人。

その人は、お姉ちゃんの恋人。


その人から贈られたものを、私はどうしても、欲しかった。


3年生のとある日から、そのペアリングを

指にはめていなかったのを、私は知っている。


だけど、あの日――――。


学校の屋上から飛び降りたとき、その左手の薬指に

その指輪が確かに、はまっていたの。



それが、お姉ちゃんの、本当の気持ちなんだと思った。


ずっと、ずっと・・・・・・・・・・・・・

章吾さんが好きなんだって。


たとえ、お腹の中に、他の人との赤ちゃんが居たとしても・・・・・・・・・・・




お姉ちゃんは、知っていたんだ。


私がひそかに、章吾さんに思いを寄せていたことも―――


章吾さんが、実は私のことが好きで

お姉ちゃんと距離を置いていたことも―――――


すべて、残された日記に書いてあった。



でも・・・・・・・・・・・・


お腹の子の父親は、誰か

一切書いてない。




・・・・・・・・・・・・・・・・いったい、誰????





つづく。





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ちょぉぉぉぉ~~っとずつ、ですが

恋愛話も進んできましたね♪


そして、前回出てきた風紀委員長君の名前をつけました。


鬼をつけたのは、わざとです^^


いつか時間があったときにでも、それぞれのキャラのイメージを

イラストで書ければいいのですが、ね?!


・・・・・・何せ、今は時間がないのです。


次回はたぶん、愛菜の日記の話になります。