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LAST song -seventeen-



<キョーコside>



目が覚めると、そこはいつもとは違う天井だった。


ベットもだし、それに・・・・・・・・・・・・・・

そういえば、彼は・・・・・??


ガバッと起き上がると、ベットに背を向けて

服を着ているリュウ君が驚いてこっちを向いていた。



「・・・・・・・起きたの??」



「・・・・・・・・おはよ・・・・・・・・」



二人お互い、ちょっと気まずそうにしながらいると



「・・・・・・・昨日は、ゴメン。」



リュウ君は、私に深々と頭を下げ、謝った。



「君の事、ずっと本当の杏果なんだって思った。

だから・・・・・・・・・

あんなことをして許されるわけじゃないって思ってるけど、けど・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・ぜんぜん、怒ってないよ??」



「えっ??」



私が思ったとおりのことを言うと、リュウ君は

ビックリして顔を上げた。



「実はあの時、本当に杏果ちゃんが乗り移っちゃったみたいに

なっちゃったの・・・・・・

演技してるときも、たまにあるんだけど・・・・・・

その役そのものになってしまうって・・・・・・

昨晩のアレは、本当に、私の様であって、杏果ちゃんの様でもあって・・・・・・・


きっと、リュウ君に、もう一度杏果ちゃんが会いたかったんだよ。」



「イヤッ、でも・・・・・・・・・・

心がたとえ杏果でも・・・・・体はキョーコだったわけだし・・・・・・」



「だから、もういいんだって・・・・・・・・」



「でも・・・・・・・・・」



「もうっ!!!!!本人が良いって言ってるんだから、

もういいのっ!!!!!」



そういうと、ジトーーーッとこっちを見てから

ちょっと顔を赤くした。


何??と思って自分を見ると、

よく見れば、まだ何も着ていなかった。


バッとシーツをかぶって



「こ・・・・こっち見ないでっ!!!!」



「あっ、ああっ!!!!!

服着るまで見ないから、早く服着なよなっ?!」



「わかってるからぁぁぁぁーーーーーーーっ///////」



服を着ながら、昨晩のことをもう一度思い出していた。






泣きつかれて眠ってしまっていた私が目を覚ましたとき

とても不思議な気分だった。


まるで、私の中に、杏果ちゃんの心が入り込んできたかのように・・・・・


ガチャと音を立てて部屋へと入ってきたリュウ君を見て

私の意志とは関係ない言葉が、ツラツラと飛び出していた。


まるで・・・・・・・・・・

私の意志とは別のところでしゃべっているかのように・・・・・・・


話の内容はもちろん聞こえていたし

目の前にいるリュウ君の気持ちも、痛いほどよくわかった。


杏果ちゃんが、大好きなんだって――――



目の前にいるのが私、キョーコなのに

ずっと私が杏果ちゃんであるかのように話すリュウ君に

どんどん罪悪感が生まれてくる。


私は杏果ちゃんじゃないんだよ??

キョーコ、なんだよ?って・・・・・・


もし、今このとき、杏果ちゃんの心が

私の中に入り込んでいて、リュウ君の言葉が伝わってくれてれば

本当にうれしいな、と・・・・・

そんな簡単な気持ちだったんだ・・・・・・


だけど、私は・・・・・・・・・・・

そのまま、彼を受け入れてしまった。


彼が求めているのは、私じゃなくって

杏果ちゃんだとしても、

今このときだけでも

杏果ちゃんだと思って

抱けるのならば・・・・・・・・・


私は、そのままその身を任せよう、と


・・・・・・・・・・・・・何故か、そう、思ってしまったんだ・・・・・・・・・



後悔は――――――

していない。


一瞬、敦賀さんの顔が横切ったけれど

私は、間違ったことをしたとは、思っていなかった。



・・・・・・・・・・このときは。






服を着た私は、早々に杏果ちゃんの家を出ることにした。

始発の電車に乗れば、

仕事にはギリギリ間に合いそうだから・・・・・・


駅まで一緒にリュウ君と歩いたけれど

互いに何も言えないでいた。


最後、改札に入る前に、呼び止められた。



「キョーコ・・・・・・・・・

また、会いたい。

・・・・・・・・・・・ダメかな??」



「・・・・・・・・・・・・連絡、するね??」



「あぁ。」



その最後の笑顔は、しっかりと心に焼き付いてしまった。


私は、これから・・・・・・

その笑顔を糧に生きていくことに、なる。






一度だるまやに戻って着替えた後

今日の一日の仕事を終わらせて、帰宅すると・・・・


張り詰めていた糸がプツリと切れたように

とめどなく涙が溢れ出た。


気を緩むと、頭の中で繰り返される記憶。


互いの熱い吐息、触れ合う肌、交わす視線・・・・・・

リュウ君の、ぬくもり・・・・・・・・


――――”最上さん”――――


ッ!!!!!!!


どうして・・・・・

どうして・・・・・・・・・・???


いつも、あなたの顔が浮かぶんですか??


私の心の中には、微笑んでくれる、あの人。



この気持ちを、一言で言い表すなら


――――――罪悪感。


リュウ君に、一時の感情で体を許してしまった自分への

罪の意識が・・・・・・強い。



チラリと視界に入ってきたのは、

今朝持ち帰った、あのCD。


杏果ちゃんから、敦賀さんへの、プレゼント。


私は、どんな顔をして

敦賀さんに渡さなければならないんだろう・・・・・・・・・・



その日、私は・・・・・

なかなか寝付くことが出来なかった。






つづく・・・・





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今回、最後の部分を一部書き直してアップしました。


最初、CD持ち帰らなかったんです。

・・・・・が、持ち帰らないと、蓮様に渡らない。


となると、杏果ちゃんの最後の歌が届かないわけなので

せっかくのタイトルが形無しになっちゃいますよねぇ~~。


というわけで、書き直しました。



・・・・・・キョーコちゃん、ちょっと時間がたったら

思いっきり後悔しだしちゃってます。


一応、杏果ちゃんの霊がついたとかではなく

役がつくみたいなかたちで

キョーコちゃんなのにキョーコちゃんとはちょっと違うような形に

させてもらいました。


だから、リュウ君を受け入れたのは

一応、キョーコ自信の意思、なんです。


もうちょっとこの話、続きます。



それでは。