N side
 
 
 
 
お仕置playの次の日はわかりやすいように
2人のテンションは高かった。
 
 
 
 
あ、俺も。今日は気分がいい。
 
 
 
「見て見て!しょうちゃん、ニノ!四葉見つけた!!」
 
 
出窓に並べてある小さなプランターに水やりをしていた兎が嬉しそうに飛び跳ねている。
 
 
 
 
「え?!マジ?!」
 
 
 
ニコニコと駆けていく翔さんに続き、俺もプランターを覗き込むと四葉のクローバーが日光に照らされて微笑んでるように見えた。
 
 
 
「やったじゃん!!!」
 
 
「嬉しい!!毎日楽しみにしてたもん」
 
 
「雅紀が毎日愛情注いでみずやりしてくれたから四葉さんも出てきてくれたんだよ」
 
 
 
 
俺達だけじゃなくクローバーも安心して咲いたのか
ここにいる全てのものから幸福風が吹いている。
 
 
 
でも兎の水やりは酷いと思うよ?
 
 
とにかく加減てもんを知らない兎は
 
 
 
「ちょ!!それやり過ぎだろ?土の上までタプタプしてんじゃん」
 
 
「たくさんあげたら早く四葉のクローバー出てきてくれるかなと思って」
 
 
「与え過ぎもダメなんだぞ」
 
 
「そうなの?」
 
 
「お前だって腹一杯にさせられたら苦しくなるだろ」
 
 
「お腹いっぱいになったらこれ以上ないぐらいの幸せ感じるよ。しょうちゃんがいーっつもお腹いっぱいにしてくれる」
 
 
 
……その先の言葉が読める。
 
 
 
「でも終わった後に、お腹壊しちゃうからって全部かきだされちゃうんだけどね」
 
 
 
お前が何で腹一杯なるか……
それは翔さんの……
 
 
 
「なんで 精 子 ってお腹壊しちゃうんだろね」
 
 
そんな話をしながら出窓に並ぶプランターは兎の愛でタプタプになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「しょうちゃん!何かいい事あるかな?」
 
 
「願い事が叶うかもしれないよ?」
 
 
「え!!」
 
 
 
兎とバッチリ目が合う。
俺達の願いは同じ。
兎の 乳 首 の 感 度 を戻して欲しい、ただそれだけ。
 
 
 
無意識に 乳 首 を 触 り出す兎を見て吹き出しそうになりながら
  
 
 
「ご飯食べよ」
 
 
 
ダイニングテーブルに座り
今日は朝から兎が頑張って作ったと言うフレンチトーストを食べる事にした。
 
 
 
「今日のフレンチトーストは大成功だよ!」
 
 
「ほんと上手に焼けてるじゃん。焦げ目もいい感じ」
 
 
「うめぇよ、兎」
 
 
 
昨日と違ってみんな食欲旺盛
あっという間に2枚のフレンチトーストは胃の中に消えていく。
 
 
 
いちご、キウイ、バナナ
添えられていたフルーツをパクついてると
 
 
 
「あ、そうそうニノ。これ行かない?」
 
 
 
翔さんが何処からか紙をヒラヒラさせて持ってきて
 
 
 
「ん?なに?」
 
 
 
俺の目の前に出してきた。
 
 
 
「1泊2日の…………」
 
 
「ほら、ニノは船酔いするじゃん」
 
 
「あー、船はダメ」
 
 
「船酔い強化合宿てのやるみたいでさ」
 
 
「……なにそれ!タイトル聞いただけで酔いそう」
 
 
 
もぉ、恐怖でしかない合宿じゃん!
そんなのに行くくらいなら船酔いするままでいいよ!
 
 
 
どんでもない案内出してきたなと思ってたら
 
 
 
「智くんがニノに渡してって」
 
 
「え!大野さん?あの大野さん?!」
 
 
 
芸術肌で器用で声も歌わせたら半端ない美声。
痺れるって、こうゆう感覚なんだって
大野さんの歌を聴いて初めて感じた。
 
 
 
ふざけて踊ってくれたけどダンスもかっこよくてやばい。
 
 
そうそう!カレーもめちゃくちゃ美味しくてさ!
もう大野さんは尊敬でしかない。
 
 
 
あの大野さん?!!
 
 
 
「そうそう智くんが先生らしいよ」
 
 
「先生って、船酔い治すってこと?」
 
 
「そうらしい。一緒に船の上で楽しみながら克服していくみたいだよ。色々やってんだよあの人」
 
 
「そうなんだ……」
 
 
「まぁ、無理に行かなくてもいいよ。ただ、智くんと釣りとかやりたがってたから船酔いも克服出来たら船からの釣りも出来るし楽しめる幅が広がるかなって。
智くんもそう言ってたからさ」
 
 
 
迷う……かなり迷う
大野さんと釣りしたい……
船酔い克服出来たら船で色んな所連れてってくれるかな……絶対楽しいじゃん……
船でどっかの島行ってキャンプとかしてさ
 
 
 
「行く……」
 
 
「え?」
 
 
「俺行くよ。船酔い克服する!!」
 
 
「偉い!!智くんも喜ぶよ」
 
 
「えーーーーいいなぁ。俺も船乗りたい」
 
 
「雅紀はダメだよ。船酔いした事ないんだから」
 
 
「お前はあれだろ?船の上で椅子に座って、その椅子グルングルン回されても酔わないんだろ?」
 
 
「まぁね。それぐらいしたら、やっと少し来る感じかな
 
「やった事あんのかよ!」
  
 
「やったやった」
 
 
「どんな状況でそんな事起きるんだよ」
 
 
「雅紀は俺とお留守番」
 
 
「はーい」
 
 
 
翔さんと2人きりだからってスンナリ諦めたな。
 
 
でも、丁度いいか。
俺が留守の間に 乳 首 強化合宿して下さいよ。
 
 
俺も兎も遊びじゃない!
克服する為の訓練だっ!!
 
 
強化合宿は来週。
大野さんと会えると思ったらワクワクした。
 
 
 
このまま順調に
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いかないのが俺達。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ごめん!!強化合宿の日、俺も出張になっちゃった!!」
 
 
「えっ!!」
 
 
「雅紀1人には出来ないし……」
 
 
「いいよ、俺、行かなくて」
 
 
「ニノ楽しみにしてたじゃん。行ってきていいよ。1日ぐらい……1人でお留守番できるから……」
 
 
 
って言ってる側から涙目だし
 
 
 
「雅紀も強化合宿に参加していいか智くんに聞いてみるよ」
 
 
そんな話をしていたら電話が鳴り
 
 
 
「俺が出るよ」
 
 
1番近くにいた俺が受話器を取った。
 
 
「もしもし」
 
 
「もしもし」
 
 
あ……声を聞くだけで何だか胸騒ぎがする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ニノ誰から?」
 
 
 
近付いて来た翔さんに
 
 
「潤」
 
 
受話器を渡すと
 
 
 
「え!!潤くん」
 
 
 
電話から1番遠くに居た兎が嬉しそうに跳ねて来た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
だから嫌い。
 
 
 
「なになに?!ニノ、潤くんなんだって?!!」
 
「声でけーな!知らねーよ」
 
「何……怒ってんの」
 
 
 
好きじゃない。
あいつは好きじゃない。
 
 
 
「ニノ?どうしたの?」
 
 
 
だって……
だって
 
 
 
「しょうちゃん!俺も潤くんと喋りたい!!!喋りたい!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
兎が大好きな奴だから。