食品製造に携わっている人なら、誰でも知っている。
製造過程での異物混入による食品事故は、何を作っていようが、100パーセントは防げないと。

衛生のために着用する使い捨て手袋は、細かい作業をする為に、かなり薄手に作られている。
その為繰り返しの作業や、扱う物の形状によっては、裂けて破れてしまったり、特に指先の部分はよく千切れてしまう。
もしも破れてしまった時、破片をすぐに見つけて取り除きやすいように、手袋は濃い青色をしている。

そして破れに気が付いた作業者は、必ず作業を中断して、手袋の破片を一片足りとも残さずに回収しなければならない。周りの作業者も一緒になって探す。
マニュアルどおり完璧にやれば、手袋の異物混入は
かなり防げるのだ。

でも人間のやる事に完全は無い。
破れに気がつかなかった、わざと見過ごした、面倒だった、作業を遅らせたくない、マニュアルを重要視出来ない、作業教育を受けていても、それを守れない人がいる。
破れない裂けない薄手手袋が、開発されればいいのだけれど。

生鮮野菜に入り込んだ虫は、かなり厄介な異物だ。
キャベツや白菜を何度も機械で洗浄し、目視で葉の裏も表も確認して探し、大勢のチェック者を通過したにも関わらず、虫が混入したまま製品化されてしまう。
機械で洗い人間が探しても、見つけられない事もあるのだ。

生の野菜には、動物の毛や枯れ葉やビニール片、いろんな物が付いてくる。木箱やコンテナに、釘や画びょうが紛れている事もある。
原料の段階では、産地や生産者によって、異物はまちまちなのだ。

お客様の口に入る物は、命に関わる物。
異物混入のリスクを失くす為に、日本の食品工場は、どこも毎日奮闘している。


食べるものに異物が混入していれば、誰だって気分が悪いし腹も立つ。
クレームはどんどん入れた方がいい。
会社にとっては基本を顧みる、有り難い報告のはずなのだから。
まだまだ甘いと、現場も気を引き締める転機になる。

入っていて有り得る異物と、これはアウトだという有り得ない異物。
そこは線引きして、過剰な反応は避けたいものだ。