◆「金曜日入院」「月曜日退院」にムダあり?

 中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月25日、入院医療について議論。厚生労働省は一般病床について「金曜日入院ま たは月曜日退院の場合に平均在院日数が長くなる傾向がある」との問題意識から、「何らかの対応が必要ではないか」と提案した(資料は、厚労省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vpkq.html に掲載)。

 さらに、「退院日の場合、患者の約4分3は、朝食1回を食べるのみ。このような昼前に退院したケースと、夕方に退院したケースの評価をどう考えるか」と指摘、「特に1カ 月以上入院していた患者について、昼食前までの短い入院についても対応が必要ではないか」(厚労省保険局医療課長の鈴木康裕氏)。

 厚労省の提案に対し、支払側からは、「入院も退院も、主治医の指示に基づく」「朝食1回のみで退院するケースでは、入院料を半額にするのが、合理的な考え方ではないか」 などの意見が出たが、診療側からは、データに基づく分析と具体的要件の提示を求める声が相次いだ。

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「あえて金曜日に入院させ、月曜日に退院させているところは問題だが、自然にそうなるケースもある。手術は緊急でなければ、土日曜日 にやらないのは、医療従事者の負担軽減のためであり、当然のこと。(金曜日入院などへの何かの対応を行う場合)今の業務が阻害されないようにすることが必要だが、どんな要 件を考えているのか」と厚労省に質問。国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏も、「入退院は、家族の要望など、いろいろなファクターが入って決まる。『金曜日入院または 月曜日退院』を効率化しようとすると、現場は混乱する。無駄な医療だとするなら、どのような要因でそうなっているのか、データを基に分析することが必要」と続いた。

 さらに、京都府医師会副会長の安達秀樹氏も、開業医の立場から、「入院を依頼する側からすれば、平日であれば即頼むことができる。しかし、週末は、入院を依頼しなければ ならないか、あるいは依頼しなくても済むか、どちらに転ぶか分からない患者を依頼することある。一口に金曜日の入院と言っても、その中身を分析する必要がある」と現場の事 情を説明した。



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