ペタしてね
塔婆は五輪塔を象徴
(2009.7.5)



もし、映画の撮影や舞台のセットで、墓地のシーンが欲しいのならば、卒塔婆を入れれば、かなり雰囲気がでるはずです。そのくらい、墓地には卒塔婆は付き物で、逆に新しい公園墓地などで、墓地の雰囲気を抑えたいならば、卒塔婆を制限するのが手っ取り早い方法です。


そもそも、卒塔婆というのは、ストゥーパという、お釈迦様の焼骨である「仏舎利を安置して、供養するために堆土、石、水等で、たかく造られた独特の建造物」(仏教儀礼辞典より)のことを言います。その建造物は五輪を意味する五輪塔と呼ばれる形へと変遷していきます。


五輪というのは、地、水、火、風、空の五大、即ち、あらゆる物質の構成要素を表しています。五大の地は四角、水は円形、火は三角、風は半月、空は宝珠形で象徴されています。その五輪を下から積み上げた形状が一般的に見かける五輪塔です。


実は我が家の墓地は、五輪塔です。霊園などでは、中央の和型の石塔とは別に、サイドに五輪塔を設けるタイプを見かけることはよくありますが、我が家の場合は中央の墓石が五輪塔なので、割と珍しいのかもしれません。たまに、周囲の墓地の方から、「ここは一般の人のお墓ですか?」と声を掛けられたこともあります。蛇足でした。


さて、卒塔婆は、その五輪塔と同様の意義を保ちつつ、より簡略した形状のものです。そして、その卒塔婆を平面にしたものが、我々がよく墓石の背面に見ている板塔婆と言われるものです。板塔婆もよく見てもらうと分かるのですが、五輪塔の形状をしています。一番下の長い部分が地を表す四角であり、その上に円形、三角、半月、宝珠の順番になるように削られています。但し、一番下の地面に接する部分だけは地面に差し込みやすい形にはなっています。