神戸-小豆島-高松を運航するジャンボフェリーの船内放送で流れるこの唄。
〽風が恋を運ぶ 海を遠く渡り 二人を結ぶジャンボフェリー
早朝・深夜、港が近づくと大音量で流れ、否応なくたたき起こされる目覚まし曲。
ヘビーユーザーには馴染みの曲で下船後も猛烈な中毒性を発揮、しばらくは脳内で無限再生される。
ジャンボフェリーは、神戸市の神戸新港第3突堤と香川県小豆島町の坂手港、高松市の高松東港を1日4往復、約4時間で結ぶフェリー。
ジャンボフェリーは、加藤汽船と関西汽船の共同運航により、1969(昭和44)年11月23日、神戸・青木港 - 高松東港間に就航。
加藤汽船が「こんぴら」・「りつりん」、関西汽船が「六甲丸」・「生駒丸」の4隻で1日10往復していた。
ジャンボフェリーの名称は、就航船が世界最大級の双胴船であったことに由来する。
瀬戸大橋開通後の1989(平成元)年12月26日、加藤汽船の「こんぴら2」が就航。
ブリッジ・客室を船首側に集約配置したスリッパのような特徴的な船体は、減トン対策のためだとされている。
ファンネルを左舷に突起させて配置しているのは車両を多く積載するためで、グループ企業の宇高国道フェリーの就航船にも見られた。
1990(平成2)年、関西汽船の「六甲丸(二代目)」・「生駒丸(二代目)」が就航。
1990(平成2)年7月11日、 加藤汽船の「りつりん2」就航。
りつりん2はこんぴら2と同型船。
1998(平成10)年4月5日の明石海峡大橋の供用開始に伴い、関西汽船が同月10日を以て航路撤退。以降、加藤汽船の2隻で1日5往復単独運航で航路継続となった。
両船の他に2000(平成12)年2月28日にりつりん2で発生した火災事故や、2002(平成14)年11月5日深夜に高松東港で発生したこんぴら2の衝突事故などによる修理運休の間「神戸丸(三代目)」が代船運航した。
神戸丸は四国フェリーと日本海運が共同運航していたニュージャンボフェリーの航路で使用されていた。
明石海峡大橋供用開始に伴う航路廃止のため神戸に係船されていたが、前述のりつりん2火災事故によるドック代船として加藤汽船に移籍した。
明石海峡大橋の供用開始や2002(平成14)年7月21日の高松自動車道全線開通に伴う高速バスの大増便で旅客が大きく減少、加藤汽船が航路運営からの撤退を決定。
この事態を受けて、船員の雇用と運航の継続を目的としてジャンボフェリー株式会社が2003年10月1日発足、航路運営が引き継がれた。
なお、この事態を想定して2000(平成12)年12月22日、関西汽船と加藤汽船が共同出資で高速バス専業のバス事業会社「高松エクスプレス」を設立。2002(平成14)年8月5日、高松駅―南海難波間について南海バスとの共同運行を開始している。
新会社設立による運航業務移管は、万一の事態が発生した場合、高松有数の名家に数えられるオーナー家の名に傷が付くことを恐れての措置だとも噂された。
2008(平成20)年9月15日のアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズ経営破綻に端を発する世界同時不況の影響で旅客が減少、2009(平成21)年7月1日より1往復を休航して、1日4往復に減便。
ダイヤに余裕が出来たことから2011(平成23)年7月6日、1日上り下り計8便のうち5便を小豆島・坂手港経由とし、神戸―小豆島を結ぶ定期フェリー航路・1日3往復を開設。
小豆島入出港の際の船内放送はSTU48の「瀬戸内の声」。
〽風が恋を運ぶ ほどの中毒性はないが、旅客から好評を得ている。
夕闇迫る時刻に島を離岸。
瀬戸の夕景を見ながら聞く船内放送。
しみじみとよいね。
なお、2022(令和4)年10月22日の新造船「あおい」就航によりこんぴら2は同年12月17日を以て退役。
バングラデシュ・チッタゴンに回航の後、解体されたと聞く。
激動の時代の荒波を乗り越えてきた同船が放つやり切った感。
おつかれさまでした。
◆概要
船名:こんぴら2
総トン数:3,639トン
旅客定員:475名
車両搭載数:8トントラック61台、乗用車38台
諸元:全長115.91m×20.00幅m×喫水4.80m
航海速力:18.50ノット
主機:8PC2-6Lx2
主機関:ディーゼル2基2軸
連続主機出力:8,826kw
建造所:林兼船渠
運航会社:ジャンボフェリー(竣工・就航時:加藤汽船)
竣工日:1989(平成元)年12月
終航日:2022(令和3)年12月17日
船名:りつりん2
総トン数:3,664トン
旅客定員:475名
車両搭載数:8トントラック61台、乗用車38台
諸元:全長115.91m×20.00幅m×喫水4.80m
航海速力:18.50ノット
主機:
主機関:ディーゼル2基2軸
連続主機出力:8,826kw
建造所:林兼船渠
運航会社:ジャンボフェリー(竣工・就航時:加藤汽船)
竣工日:1990(平成2)年7月
船名:神戸丸
総トン数:3,717トン
旅客定員:470名
車両搭載数:8トントラック60台、乗用車50台
諸元:全長110.50m×23.00幅m×喫水-m
航海速力:22.41ノット
主機:マキタ 8L35MC
主機関:ディーゼル2基2軸
連続主機出力:8,090kw
建造所:讃岐造船鐵工所
運航会社:加藤汽船(竣工・就航時:四国フェリー)
竣工日:1991(平成3)年9月26日
就航日:1991(平成3)年10月14日