真夏の青い空の下、澄み切ったしまねブルーの日本海の先に見える大洞窟。

 

 

水木しげるさんがベビィのころ、のんのんばあに連れられて訪れたという「加賀の潜戸」。

 

亡くなる直前、最後の里帰りとなった2015(平成27)年7月にもここを訪れている。

 

 

それは境港から自動車で約40分に位置する島根半島のウラ、加賀築港岸壁の正面に見える大洞窟。

 

 

水木しげるロードから行って帰って自家用車で半日、公共交通機関を使った場合1日かかるので、観光で行くにはなかなかハードルが高い。

 

つい先日「鬼太郎悪魔くんフェス 夏」でロードを訪れた際に足を延ばし5年ぶり、三度目の聖地巡礼となった。

 

加賀の潜戸は「新潜戸」と「旧潜戸」の二つの海の大洞窟があり、水木さんがのんのんばあと訪れた「賽の磧(かわら)」があるのは旧潜戸。

 

 

そこへはマリンプラザしまねから遊覧船に乗ってのみ行くことができる。

 

 

遊覧船で新潜戸と旧潜戸を巡る所要時間は約50分。

 

新潜戸を船上から見学した後、旧潜戸へと立ち寄る。

 

新潜戸は岬の突端に位置する長さ200m×高さ40mという規模の巨大な海中洞窟。

 

 

ここは佐太神社の祭神猿田彦命(佐太大神)ご生誕地として伝わる。

 

佐太大神が生まれようとする際に、母神である支佐加比売命(ささかひめ)が大切にしていた弓矢が波にさらわれて、流されてしまった。母神は「もし私の子が麻須羅神(ますらしん)の御子であるならば、失った弓矢よ出てこい」と祈ったところ、角でできた弓矢が流れてきた。母神は「わが弓矢にあらず」と投げ捨てたところ、今度は金の弓矢が流れてきたという。御子は、まさしくわが弓矢と取り上げ、「なんと暗い洞窟よ」といい、弓矢を放ったところ洞窟を射抜き、さらにはその先の島をも射抜いてしまった。

 

 

射通された東口から光が注ぎ輝いたため、「ああ、かかやけり」と言ったのが「加加(かか)」の地名のはじまりとされている。

 

 

洞内に入ってすぐ左上に白木の鳥居がある。

 

 

ここで佐太大神が生まれたとされることから誕生岩と呼ばれ、支佐加比売命をお祀りした場所だと伝わる。

 

洞内は西口・北口・東口の三方向から光が差し込み、反響する波の音など、神々しい雰囲気につつまれている。

 

 

勢いあまってついでに射抜かれてしまった先の島はとんだとばっちり。

 

 

のちに大神が弓の練習の的にしたことから「的島(まとしま)」と名付けられた。

 

 

この周辺には波食や岩盤隆起などによってできた多くの奇岩が見られる。

 

 

左手前に見える岩は形が烏帽子に似ていることから「冠岩」、その右奥に見える岩は「象岩」と呼ばれている。

 

新潜戸を抜け、岬をぐるりと回って旧潜戸へと進路をとる。

 

 

上陸後、延長130mのトンネルを抜けると旧潜戸。

 

 

荒涼とした景色に何とも言えない寂寥感が漂う。

 

 

年端もゆかぬのに、生命絶えた幼子の魂の集まる場所といわれている苔生した小石を積んだ塔が無数にある賽の磧。

 

真新しい仏花や幼子が寂しくないようにと置かれたおもちゃなどの供物。

 

 

水木さんと一緒にここを訪れた荒俣宏さんは「洞窟は母の胎内に似ているともされ、安全、安心を感じる場所でもあります。水木さんがいまだに洞窟を見ると異常に興奮するのは、人間の生命の源に接近するからじゃないですかね」と解説。

 

「子供にとっちゃ死後の世界なんだけど、安心な場所でもあり、悲しい場所でもある。何十の意味もあるんですね」と評した。

 

なお、旧潜戸の滞在時間は13分と短い。乗り遅れ注意!!

 

また、強風波浪時には運休するので、要事前確認!!

 

乗船後のおたのしみ、お昼ごはんはマリンプラザしまね内の「お食事処 なぎさ」でさざえご飯定食。

 

 

税込み1,000円。

 

●潜戸観光遊覧船 概要

のりば:マリンプラザしまね

所在地:島根県松江市島根町加賀6120-14

問合せ:0852‐85‐9111(マリンプラザしまね)

運航期間:3月~11月※3月と11月の運行については要問合せ

運航時間:10時20分~15時20分

出航時間:1便10:20より6便15:20まで毎時20分

受付時間:9時30分~15時15分

所要時間:約50分

利用料金:大人(中学生以上)1,500円、小人(小学生)700円

●特記事項

※団体割引有

※団体利用の場合は要事前予約

※気象海象荒天時運休の場合有

※海上の状況により旧潜戸のみの運航となる場合有

ホームページ:潜戸観光遊覧船

●アクセス

自動車:水木しげるロードより島根県道338号美保関八束松江線・島根県道152号松江七類港線・島根県道37号松江鹿島美保関線経由約25km35分

鉄道・バス:JR西日本山陰本線松江駅下車・一畑バスマリンプラザ線乗車45分マリンプラザ前下車すぐ

 

◇店舗情報※2023(令和5)年8月時点での情報

名称:お食事処 なぎさ

所在地:島根県松江市島根町加賀6120-14 マリンプラザしまね内

TEL0852-85-3568

営業時間:11時00分~15時00分

席数:

定休日:火曜日

駐車場:有

写真:さざえご飯定食1,000円(税込)