鳥取市の奥地、国府町殿で見られる壮大な石積み。

 

 

今から約4,600年前に建設されたエジプトクフ王のピラミッドとほぼ同じ体積であることから平成のピラミッドを自称する「殿ダム」。

 

 

殿ダムは、鳥取県鳥取市の一級水系千代川(せんだいがわ)水系袋川に建設された高さ75メートルのロックフィルダム。

 

 

ロックフィルダムは、自然にある土や岩石を積み上げて造るダムで、コア・フィルター・ロックと呼ばれる三層で強度を持たせてダム全体を安定させる。このため基礎となる岩盤があまり強くない場所でも建設できるという利点がある。

 

 

千代川は八頭郡智頭町の標高1,319mの沖ノ山を源流とし、佐治川や八東川、砂見川や袋川などの支川を合わせながら北上し、鳥取平野の中央を貫流して日本海へと注ぐ流域面積1,190㎢、幹川流路延長52kmの一級河川。その流域には約20万人が生活する。千代川流域の特徴は傾斜が急なことに加えて海までの距離が短いことから洪水や渇水が起きやすくなっている。

 

 

このため洪水調節のほか工業用水や水道水の安定供給に加え、河川環境の保全や水力発電を目的に特定多目的ダム法に基づく特定多目的ダムとして、国土交通省中国地方整備局が管理を行う国交省直轄ダムとして殿ダムが建設された。

 

 

殿ダムの洪水調節は、ゲートを設置しない「自然越流方式」のため維持管理コストを抑える効果がある。

 

 

また洪水吐きに国内初の技術「カスケード型減勢方式」を採用。一般的な洪水吐きはすべり台のような形をしているが、殿ダムのそれは階段状になっている。

 

 

これには水の勢いを弱める効果があることから、直下の副ダムを小さくすることができる。このためより掘削規模の縮小で建設コストの縮減が図られた。

 

 

殿ダムでは、ダムの水を下流に流す際に自然河川に近い温度の水を選んで取水できる選択取水設備を備えているため、下流に生息する生物や農作物への影響を与えないような配慮がされている。

 

 

ダムによって形成された人造湖は、万葉集の編者である大伴家持が最後の歌を鳥取市国府町で詠んだことから因幡万葉湖(いなばまんようこ)と命名された。

 

 

ダムカードがもらえる管理支所は天端の右岸。

 

 

長さ414mの殿トンネルを出てスグ右折。

 

 

◆諸元

名称:殿ダム

河川名:千代川水系袋川

所在地:鳥取県鳥取市国府町殿地先

形式:ロックフィルダム

ゲート:自然調節ダムのため洪水調整ゲートは無

堤高:75.0m

堤頂長:294.0m

総貯水容量:12,400,000㎥

管理者:国土交通省中国地方整備局

本体着工:2007(平成19)年

完成:2011(平成23)年

ホームページ:国土交通省鳥取河川国道事務所殿ダム管理支所

●アクセス

鉄道・バス:JR西日本山陰本線鳥取駅下車日ノ丸自動車中川原線山崎橋行乗車30分山崎橋バス停下車徒歩20分

自動車:鳥取自動車道鳥取ICより国道29号・鳥取県道251号国府正蓮寺線・同31号鳥取国府岩美線経由20km30分

 

◆ダムカード配布場所

殿ダム管理支所

所在地:鳥取県鳥取市国府町殿206-4

電話番号:0857-58-0581

配布時間:8:30~17:15(土・日・祝日含む)