運命だったかもしれない人とデートした2 | さんまのシッポ

運命だったかもしれない人とデートした2

こうして、私は、
海外転勤が決まった同僚Oさんと、
二人で飲みに行くことになったのでした。
(今回の投稿からOさんと呼ぶことにします。実際、普段もさん付けで呼んでいるので)

Oさんは先に店についていました。
店に入ったとき、私はすぐに彼を見つけられませんでした。
なぜなら、彼は私服だったからです。
彼は転勤前なので、一足早く年末休みに入っていました。

出発前の貴重な数日、
しかも、お休みの日を、
「ただの同僚」の私に割いてくれたことが、
(2か月近く話してなかったし、私は彼の中でその程度のポジションと思ってた)
私は内心とても嬉しかった。



さて、店に入り、よくカウンターを見渡すと、
彼の後ろ姿がありました。
Oさんは、髪がありません。笑
スキンヘッドです。笑
※ちなみに年は私の2歳上です(向こうは私をもっと年下と勘違いしていたようですが)
髪型は特徴的なので、後ろ姿でわかりました。


彼はデニムシャツをきていました。
「休日らしい服装だな^_^」
と私は思いました。
会社帰りに飲みに行った前回より、プライベート感が感じられました。

私が彼の肩をたたくと、
彼は振り返りました。
私がコートをかけにいくと、
彼も立ち上がり、私のコートをかけてくれました。


立ち上がると彼の服装がわかりましたが、
彼の私服は意外とおしゃれでした。
(あとで店をでたらカウチンコートをはおり、ハットもかぶっていて、オシャレすぎずラクさも大事にしたファッションは、とても彼にあっていました)
※私自身は、病気発覚でとにかく暖かさ重視の服できていたので、「もう少し、オシャレしていけば良かったかな」と後から思ってます。。笑


彼は身長が190近くあります。
立ち上がると改めて背の高さを感じました。


「ジェントルマンですね」
コートをかけてもらった私は照れ隠しに言いました。




それから、まずカウンターに並び、
彼は旅行土産をくれました。
転勤前に奥さんと2人で行ってきた、九州旅行のお土産です。
私も、先週旦那とドライブした時に買っていた限定エビセンを渡しました。
※彼は25歳で若くして結婚し、奥さんと2人の小学生の娘がいます。


九州旅行について聞きました。
彼は超おしゃべりで、根は真面目な性格です。
そして彼の奥さんは、彼と反対にクリエイター気質で、仕事ができる、内向的な性格です(彼に対しては相当強気らしいけど笑.)
彼は奥さんの話をよくします。
「ウチの奥さんは、こんな人で、こんなに変わってて」とか「奥さんが怒って、僕はこんなにひどい扱いを受けて」とか面白おかしく。

そこには、ユーモアがあり、家族愛があり、奥さんの人間性が感じられ、なにより彼の人柄が見られます。
はじめて2人で食事したときも、
私はそんな彼のおしゃべりぷりを見て、
「ただの会社の人」という距離感から、一気に距離が縮まり、私も心のたがが外れ、
他の会社の人には話さないような夢の話や、本音を気づいたら笑いながら話していました。
10年来の友達のような感覚で。



その後、話は私の体調の話に移りました。
彼は私が流産したこと、胆嚢手術をしたこと、卵巣嚢腫でまた手術になることなど知っています。
でも楽しいお酒の席で、どこまで暗い話題をしてよいものか、私には遠慮の気持ちがありました。

だから、いろいろ聞かれたけど、最初のうちは、なるべく明るく受け流すようにしていました。

しかし、彼はあくまで明るく、「たとえいい話じゃなくても真摯に私の話を聞きたい」というそぶりでこちらを向いて、いろいろ質問してきます。 

気づけば私は、この数ヶ月間の不運や、大変だったこと、今の不安を1つ1つ話しはじめていました。

私が今一番不安なのは、卵巣嚢腫が本当に良性なのかということです。
実際、Oさんに会う前々日にも医者にものすごく脅され、不安な気持ちを隠していました。

Oさんと話して安心した私は、気づけば、Oさんに不安をそのまま話していました。
時々、私は話しながら、不安が蘇り、Oさんの目をジッと見ながら、「ヤバイですよね、どうしよう〜!」とパニクりました。

Oさんも一緒に、ヤバイヤバイと混乱しているようで、
でもなんだかその雰囲気に私は笑ってしまい、
不安な気持ちが紛れました。

私は絶対に癌では嫌ですが、癌の人も笑うと病気の進行がおそくなると聞きます。
本当にそうかはわかりませんが、私もその瞬間、病気のことは忘れて、本心で笑えていました。




彼は背が高いので、
足もそれなりに長いようです。
狭いカウンター席は、足が窮屈なのでしょうか。
(年末なのでテーブル席は空いてませんでした)

彼は私の方に膝を向けて座り、
ときどき、その膝が触れ合うときがありました。
しばらくぶつかっているときもありました。
話に夢中だった私は、
なるべくそれに気づかないようにしました。
彼も意識してのことなのか、まったく気づいていないのかわかりません。

だけど、私は意識したら、ドキドキしてしまいそうで、彼を好きになってしまいたくなくて、
気づかないようにしました。



私と彼は、もしお互いに相手がいなければ付き合ったと思います。
結婚したかもしれません。
でも私が知り合ったのは、奥さんとこどもを大事にする彼です。
彼の楽しげな話ぷりを聞いて、私は会話に登場する彼の奥さんにも親しみが湧いています。
そして私自身は誰よりも今の旦那さんのことが大好きです。



大切な人や、何より自分たち自身を傷つけてまで、した方がよい恋なんてありません。
私たちは、どんなに気が合っても、
どんなに話やすくても、
どんなに居心地よくても、
やはり今世では運命ではなかった。

前世や来世ではわかりませんが、
今世は違う相手と結ばれて、
違う人生を生きているのです。




眠くなったので続きはまた書きます。