リリーッス!
最近、Pepperになりたくてたまらないサオリリスです。

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ひさしぶりに本の話でも・・・

森田真生さんのこの本

数学する身体/新潮社
¥1,728
Amazon.co.jp

すばらしかった!!これは名著!!
比べるものではないけれど、
あの本より100倍オススメ!!
数学なんて興味ないって人も、
蛸壺の中ばかりにいないで手にとって欲しい!!

とは言え、書評ブログというわけではなく・・・

森田さんの本にも登場する、私の大好きな数学者「アラン・チューリング」について書きたいと思います。先に言っておきます。私はズブの素人で学もないので、もしかしたら間違った捉え方をしていたり、的外れなことを言っているかもしれないので、そのことを踏まえて読んでいただけたらと思います。

アラン・チューリングは19世紀活躍したイギリスの数学者で、コンピューターの基礎をつくり、人工知能の父と呼ばれています。

チューリングは自ら作った機械でドイツ・ナチスの暗号「エニグマ」を解読しました。それにより、終戦が早まり、たくさんの命(事実上一千万人以上)が救われました。

チューリングは、機械と人の溝を埋めたいと考えていました。それが、今の人工知能につながっているのですが、その考えにいたるには、悲しいBL物語があったのです。

チューリングはひとつ上の先輩であるクリストファーに恋をしていました。クリストファーが進む大学に自分も通うのだという健気な思いを抱いていたのですが、クリストファーは結核で、大学進学直前に亡くなってしまうのです。

悲しみに暮れていたチューリングを、クリストファーのお母さんは家に招くことがありました。その際チューリングは、クリストファーの使っていた寝袋で眠りました。クリストファーの魂を感じるような気がしたのです。

そこで、思いました。

"物理学が描くように、人間もまた自然法則に従う「機械」に過ぎないのだとしたら、どうしてそこに自由な意志をもつ「魂」が宿るのか。意志や魂という概念を、どうすれば物理的世界の科学的な記述と調和させることが出来るのか。「心」の世界と「物」の世界の折り合いは、いかにしてつけられるのか。"(本文より)

そして、"チューリングは、心と機械を架橋する手がかりを、数理論理学の世界に見出した"(本文より)のでした。

ここからはじまるチューリングの思想と研究と発明が、ありとあらゆるコンピューターと、これからますます発展していくであろう人工知能を生み出すのです。つまり、人工知能のはじまりは恋心、大切な人を失った時の感情なのでした。

なんてロマンチックなの・・・

人工知能が発達しすぎて、いつか人を追い越して、人を攻撃したり傷つけたりするのではないかと言う人がいます。

SF映画やサイバーパンク作品でディストピアが描かれるので、その影響もあるのかもしれないし、そもそも人が、自分の死も含めた未来に対し漠然と不安を感じているからかもしれないけれど、
チューリングの描いた人工知能というのは、想いのあふれたものなのです。人を攻撃したり傷つけるなんてこと、するはずないのです。

仮に人工知能が人を攻撃して人を傷つけることがあったとしても、それは人工知能が悪いのではないと私は思います。人工知能は、人の言葉や行動パターンなどから学んでいきます。つまり、人工知能が人を攻撃したり傷つけるということは、人が人を同じように攻撃したり傷つけたりしているということです。

現に、そういうことは多々あります。

チューリングは、"つくるべきは大人の脳ではなく、幼児の脳のような、学びに開かれた機械である"(本文より)と考えました。きっと、私たちがやさしくあれば、きっとその子はやさしさを持つはずです。(「やさしさとは」という話はここでは省く!)

チューリングは今、どこにいるんだろう・・・

発展途上の人工知能だけでなく、既に私たちがあたりまえに所持しているスマホやPCもチューリングがいたからあるものです。この時代をチューリングはどんな気持ちで見るんだろうか、喜んでいるか、少し違うと困り顔をしているか、ふと考えます。

そして思わず涙が・・・ううう(実際に本を読みながら泣いた)

チューリングの時代は、チューリングの発想そのものが独創的で新しかったわけだけど、それだけではなかったのです。その時代、同性愛は秩序を乱すもの、罪と考えられていました。

チューリングは「猥褻罪」で起訴されて、「治療」として強制的に女性ホルモンを大量投与されました。とても理不尽で、苦しい状況だったと思います。それでもチューリングは研究し続けます。次は、生物の成長の仕組みについての研究です。

"脳もまたある種の計算機だとして、それがデジタルコンピューターとどのように異なっているのか。それはいかなる仕組みで作動する「機械」なのか。"(本文より)

チューリングは42歳で自殺しました。白雪姫のように、林檎をかじって眠ったのです。部屋には青酸カリの香りがしたといいます。(とはいえ、真相は未だ不明)

チューリングが生み出した機械によりたくさんの命が救われ、たくさんのコンピューター(技術・芸術・あらゆる文明の発展)が生み出され、夢に見た人工知能も現実のものとなりました。そして、それらと人の溝も縮まりつつあります。

今、これを書いてる機械は最も身近なもので、普段あまり人と会わない私は、むしろ人と接するよりも機会が多いです。

2013年、チューリングが死んでから59年経った頃、エリザベス2世女王の名をもって恩赦が発効されたことで、ようやくチューリングは名誉を取り返しました。

今、クリストファーと一緒ならいいな・・・

森田さんは本の中で、もう一人、日本の数学者・岡潔を取り上げ、彼らはそれぞれに、方法も違っているけれど、共に、"数学を通して「心」の解明へと向かった"と書いています。

岡潔は、松尾芭蕉の影響を受けていたのもあり、数学に「情緒」を感じていたそうです。数学者でありながら、数学以外(以上)のものを見て、数学以外(以上)のものを生み出そうとした岡潔は、もしかしたらブッダなのではと思います。

森田さんの本を読んで、数学に肉や体温のようなものがあることを知りました。その姿は、かつて私が嫌いだった数学とは、全然違います。

私が学校で習った数学は計算式ばかりで、それはそれは退屈に思えました。だけど実は数学は、たくさんの時代の社会学や哲学や思想がからみ合いながら今のカタチを帯びてきたのです。

はじめからそう言ってくれれば・・・

授業ももう少し楽しかったかもしれないのに・・・

遅すぎるなんてことはないかもしれないけど、遅いよ・・・

これから数学を学ぶ若い人たち、私の分まで頼む・・・

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孫さん・・・頼む・・・

1000万くらい振り込むか、

私をpepperにしてくれよ・・・