勝ち負けが大体分かってる試合に呼ばれる、主に外国人の弱いボクサーを、「噛ませ犬」などと言われることがある。
それは逆に、言い得て妙というやつかもしれない。
噛ませ犬というのは、強い闘犬を作るために、いきなり星の潰し合いをさせるのではなく、実力差のある相手と闘わせることにより、勝ち癖や勝ち方を身につけてさせていくものだ。
なぜそれができたのかというと、強い闘犬を育てるためにそれが必要だったからであって。
そうやって、変に最初から潰し合いをさせたりせずに、強い猛犬を作っていったわけで。
初期の段階で星の潰し合いばかりやらせてたら、結局強い闘犬は育たず、闘犬自体が盛り上がりに欠けるものになっていったかもしれない。
その目先の一試合だけは潰し合いさせて盛り上がったかもしれないけれども。
…。
…そりゃもちろん、どっちが勝つか分からないハラハラドキドキが面白いわけであって、最初から勝敗が分かるような試合が面白さ落ちることは分かるけど。
…ただハラハラの勝負だけ見たい人にとっては、反感買うだろうけれども。
…一回のバッチバチの試合で、選手はどれだけのダメージを負うのか、想像できるだろうか。
下手すると一生モンのダメージが頭や身体に残る。
それを毎試合やり続けろと言う気持ちも分からなくはないけど。
見たくなきゃその試合見なけりゃ良いだけの話で、見ない自由があるのにその試合や選手を外から避難するのはいかがなものかと。
…。
「じゃ、お前がやってみろよ」問題にもつながるが。
普通の人が出来ないことをやってるからプロボクサーなわけで、その超人像を観に行くのも分かるんだけど。
…自分は安全な場所から、人を非難したり、平気で人に危険を侵せと声高に言えちゃうのは、どうなんだろう…?
…ちなみに。
これをまた、誰が言うかは、大切なポイントになってくる。
これは、選手の個性や陣営の方針や戦略にもよってくるけど。
知ってる人は知ってるし、分からずともちょいと調べればすぐ分かるはずだ。
…佐々木基樹は、決定戦でなんとか勝っちゃったとか、挑戦した相手が結構な穴チャンピオンだったとかは、一切ない。
当時誰も寄せ付けなかった日本チャンピオンや、並いる日本人挑戦者を撥ね退けてきた東洋チャンピオン達と、真っ向勝負をしてベルトをもぎ取ってきた。
…逆に、世界ランキング入っていながら、捨て身の全力ファイト挑んでくる日本ランクにすら入ってない相手にドローだったり負けちゃったりしたこともある。
…それでもし怪我したり、「もうダメだ」と思ってたら、その後の佐々木基樹は存在しなかった。
…そんな経験を重ねてきた人間だからこそ、言える。
…ま、お客様の立場から、好きなご意見言うのはいいと思うけど。
本当に最初から誰とやっても負けないボクサーなんて、ごくごく一部。
それですら、自分と同じ、一人の人間がやってるんだということを、どこか頭の片隅に入れておいてほしいと願う。
そしてその方が、ボクシングの感動はかえってより深くなる。
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