英語の迷い道(その160)-「Z世代」の若者たちが直面するもの | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

昨日、英会話スクールで10代の女性と一緒にレッスンを受講した。大学をドロップ・アウト(中退)して、携帯ショップで働いているという。

 

「何故英語を勉強しているの?」と聞くと父親の考えだという。「お父さんが英語が喋れるので高校の時から通っているんですが、でも全然上手くならなくて……。」と答えた。

 

「焦らずゆっくりやればいいよ!でも、若くて可愛くて夢があっていいね!」という言葉が自然に口から出た。彼女の若さがほんとに羨ましく思えた。

 

 

Z世代とは1995年から2010年代初頭生まれの世代を指すことが一般的なようで、実年齢にすると29歳以下(20代)の若い世代を指すことが多い。彼女もそんなZ世代の一人である。

 

以下の文章は、そんな若者たちが直面している「生きる意味の問い」をテーマとしている。「人間は何のために生きているのか?」歳をとっても簡単に答えられる問題ではない。

 

(問題)

次の文章を読み、下線部(A)、(B)を英語に訳しなさい。

 

戦後の人たちは、することがいっぱいあったと思います。(A)もっと生活をよくしたいとか、病気をなくさなければ、貧困をなくさなければというのがあって、それでがんばれた。けれども、それを達成してしまったあとに生まれてきた人たちは、どうすればいいかわからない。物はいっぱいあるし、ねだれば親は金をくれる。住むところもある。大学まですねかじりできるし、遊びもいっぱいある。恋人もいる、車もある。「で、何をしたらいいの」。そういう若者たちの数が増えてきた。

(B)彼らこそが、生きる意味の問いにもっとも直面しているんです。人間は何のために生きているのかという問いは、哲学の出発点でもあるし、宗教の出発点でもあります。

(森岡正博『生命学をひらく』より)

(東北大学・2017年)

 

 

(拙・和文英訳)

I think people after the Word War II had a lot of things to do. (A) They wanted to improve their lives, had to eliminate disease, and had to eliminate poverty, therefore they could do their best. However, young people who were born after they had achieved those things become at a loss what to do. They have already had a lot of things, and if they beg, their parents will give them money. They also have a place to live. They can sponge on their parents up to university, and they have a lot of fun. Further, they have their girlfriends or boyfriends, and their own cars. “By the way, what should I do?” The number of such young people has been increasing.

(B) It is just such young people who are really confronted with the question of the meaning of life. This question of what human beings live for is the starting point of not only philosophy but also religion.