昨今のボイストレーニングにおいて最も注目を浴びているものがミックスボイスと呼ばれるものです。

「地声の様な強さと裏声の様な楽さを持った声」として、どんなハイトーンでも出せるようになるといった感じで広まっているこのミックスボイスですが、それを習得するにあたり「それでいいのか…?」と」思ってしまうような情報がたくさん出回っているので(これも流行の副産物でしょうか)、よく見る「?」な情報と、それに対する僕なりの見解、そしてミックスボイスというものに対しての僕の考えをまとめてみようかと思います。(長くなるので前半後半の2つに分けます)

 

ミックスボイスとは?

 

一般的に出回っているミックスボイスの情報

 

ミックスボイスとは上で述べたような「地声では出ないほど高い音になっても裏返らず、かつ声が汚くなったり喉が苦しくなったりしない第3の声」という情報が多いです。

つまり地声でも裏声でもない全く新しい声があり、それが高音発声に適しているからそれで歌おうねという事になるでしょうか。

ではその全く新しい声を習得するのにどうすれば良いかというと、基本的には地声か裏声を使う練習であるとされています。その過程でミックスボイスというものが生まれてくるのだという情報をよく見ます。

 

ですが地声と裏声しか出さないのに全く新しい声が急に誕生するものでしょうか。

例えるなら「右手左手をひたすら鍛えたら背中から第3の手が生えてくるよ」といった事に近い状況、なかなか信じづらいですよね。

 

あるいはもう一つよくある見解として「ミックスボイスとは強い声帯閉鎖のかかった裏声だ」というものもあります。

たしかにそれも綺麗なミックスボイス発声において必要な要素ですが、どちらかというと「それだけじゃ全然途中段階だよなぁ」といった感じでしょうか。

 

そもそも声の状態はそんなに単純じゃない

 

先ほどの考えをまとめると

Aという動きをすると地声が出るよ

Bという動きをすると裏声が出るよ

ABをたくさん練習するとCという動きができるよ、そうするとミックスボイスが出るよ

といった感じでしょうか。あるいはもう一つの考えとして挙げたものは

 

Aという動きをすると地声が出るよ

Bという動きをすると裏声が出るよ

Cという動きをすると声が強くなる

Aの動きで限界が来たら、BとCを一緒にやると強い裏声が出るから、それを地声の代わりに使ってね

 

といった感じでしょうか(違ったらどなたか教えてください)。

個人的に混乱してしまう原因として、どちらの理論も地声と裏声を全く別のものとして扱っている事が原因の様に感じます。

 

ここで僕の考えとしては

ABという動きをすると地声が出るけど、大抵Bほとんど出来てなくAに偏っている

ABという動きをAほとんどせずB大きく偏らせると、すごく裏声っぽい声が出るよ

Bという動きだけをするとちゃんとした裏声が出るよ

ABの動きをバランスよく同時に扱えれば、地声と裏声の間自由に行き来出来るようになるよ→これがミックスボイスだよ

という考えでレッスンをしています。

 

上の考えでいうB裏声の動きAとは裏声に地声の響きを付加させる動きというイメージでしょうか。

ハイトーン発声が上手くできない人の大半はAとBの両方を同時にコントロールできない事が原因で

・すごく地声に偏った声

・すごく裏声に偏った声

の二つしか出せない状態であると言えます。また、AとBを切り離すことが出来なく

・完全に裏声の動きしかしない声

も出せないことが多いです。

 

地声や裏声の練習をするのはもちろん一緒ですが、全く新しいものを作るのではなく、高音は裏声をただ強くするだけでもなく、地声と裏声の間にあるギャップを埋めてあげることでその中間層の声を上手く扱えるようになるというのがミックスボイスに対しての見解です。

もちろん声を出すために動く筋肉は1種類や2種類ではなくとても複雑な動きをするので、その沢山の筋肉のバランスを取ったりそれぞれを単独で使えるよう動きを分離したり弱い所を鍛えたり…といった事がボイストレーニングの内容になってきます。

 

前半では、一般的なボイストレーニングにおけるミックスボイスの見解と僕のミックスボイスの見解をそれぞれ紹介しました。

後半では、もう少し細かくミックスボイスの時の動きを考察しながらどの様にミックスボイスを習得していくのかを考えていきます。

 

ミックスボイスについてのよくある誤解と私的考察(後半)はこちら

 

 

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