気持ちいい!!
王家の谷と、ハトちゃんのための(すっかり友達感覚)
ハトシェプスト葬祭殿を訪れて、
古代エジプトの栄枯盛衰を存分に堪能した後、
さぁ、いよいよ、問題のハトホル神殿(デンデラ神殿)は
どうなったか?

ルクソールは本当に素晴らしい遺跡がテンコ盛り、
古代エジプトのハブ空港みたいな
場所ですが(比喩が分かりずらい)、
すべてが文字通り、美しく、点在しているのです…。

ルクソール神殿みたいに駅前的な立地にあれば、
ビーチサンダルでブラブラと安宿から歩いていけますが、
私が行きたいハトホル神殿はデンデラという町にあり、
ルクソール市内から車を疾走させて
約2時間という微妙な場所。

列車も町の途中までしかなく、
さらに軍のチェックポイントもあるため、
一見さんの外国人がふらーっと行くのは結構面倒くさい。

ツアーなどもありますが、このときは
シーズンオフ(エジプト革命以来ずっと
シーズンオフ…という悲しい噂あり)のためか、
元々メジャーな観光スポットでないのか、
現地ツアーは見つからず。

例のボブ・マーリー風のイケメンドイツ人(右の人・エジプト編を参照)にも
ツアー参加者募集の紙を貼ってもらい、
集客をお願いしてみたけれど、
結果、一緒に車をシェアして行ってくれる旅行者は見つからず。

次に、自分たちの泊まっているお大臣ホテル(ルクソールのときだけ)の
コンシェルジュにタクシーの往復料金を聞いたら、
結構なお値段。

むろん、ホテルもコミッションをとっているのは明らか。

ってことは、ってことは、もう自力で行くしかありませぬ。

そこで閃いたのは、あの、ボブ(笑)!!!

「俺をボブと呼んでくれ!」というこだわりを持った男、ボブ。

エジプトの走れメロスな男、ボブ。

あやつに登場してもらうしかハトホルちゃんと出会う道はなさそう(-_-;)

で、前にもらっておいたボブの携帯電話に恐る恐る電話をしてみた(笑)。
その文字も非常に分りにくい象形文字の如しでしたが…。

何と、ボブが電話に出た!!!

大きな声ではっきりと明確に
「明日、デンデラ(町の名前)の
ハトホル神殿に往復で送迎を頼みたいのだが、大丈夫か?」

と聞いてみたら、

「え??? どこ??? 何???」
(ブォーっという音。多分車の中)

やはり…。どうしよう。

何度か説明して、やっと、デンデラに明日行きたいのだと理解してくれた。
料金も聞いてみたら、ボブは考えて、「200ポンド」と。え~、なんて良心的!! 

簡単に言えば2000円程度。

それならもうボブでいこう! 

ボブを信じよう!!

「明日の朝8時に私たちのホテルの前で待ち合わせよう」と約束して、電話を切ったのです。

面と向かって話しても英語が苦手なボブとの会話はジェスチャー付で何とか意志の疎通が出来る程度。

ましてや、電話では非常に不安な感じでしたが、
あやつはエジプトのメロス。


絶対に彼は来る!!! 

そう信じていました(笑)。

そのときは…。


そして翌日。

早々にホテルで朝食を済ませ、


お大臣ホテルのゴージャスな朝食!! 
他の町ではパンとジャム、うまくいけば卵付。

お大臣ホテルの朝食


朝8時にはホテルの前でボブを待ちます。

あれ…、ちょっと早すぎたかな。来ない。

そして8時半。
う~ん、道が渋滞しているのかな(-_-;)

信じます。信じます。信じるとき。信じれば。

五段活用を唱えている場合ではない!!

ハトホルちゃんに行けるのは今日がラストチャンス。
明日の早朝発のカイロ行エアチケットを
すでに買ってしまったんだから!

そして9時…。
こりゃやばい。
その日の同時刻、ちょうど飛行機でカイロに戻る友人のコスタリカ人、
カルロスさんがドライバーのアフメット氏と一緒に入り口に来てくれました。


カルロスさんと朝食


「どうしたの? もしもボブが来ないなら、
僕は別のドライバーにエアポートに連れて行ってもらうから、
アフメットと一緒にデンデラに行ったら?」


と泣けるような優しいお言葉。

いや、でも、ボブは来る。きっと来る。

しかし…、来ないやんけ(笑)!


↓ボブを待つ間に心配してくれていたアフメットと馬車引きの親父。

ボブを待つ間の風景


そのアフメットから、
ボブに電話をかけてもらうと(アラビア語の方がよいだろうという判断)、

何と、あいつは家で寝ていた(笑)!!!

ボブの言い訳は「昨日急にアスワンの友達が事故を起こし、
夜中にアスワンに行って帰ってきたから疲れてしまって寝過ごした」
と。


「今からすぐに行くから!! 俺が行くから!!」とも。


本当か嘘か不明だが(多分本当なんだろうけど)、


ついにボブ登場!!

やっとボブが来た

謎めいた色のタクシー

結局、寝不足からか真っ赤な目をしたボブがホテルに着いたのは
朝10時(-_-;)

プロのドライバーであるアフメット氏も不安そうに
「彼は大丈夫なのか? ちゃんとしているのか?」とこっそり聞いてきたけど、

ちゃんとはしていない(笑)。

しかし、善良なのは間違いない(^o^)


大幅な遅刻だが、あまりに堂々と登場したボブに失笑してしまい、
我々はデンデラに向けて出発!!

さすがに猿ほどの反省をしているボブは、道の途中で屋台のフルーツ屋を見つけ、
私たちにもオレンジを買ってくれたり、アメリカのロックをかけてくれたり(笑)、
色々と気遣いも見せつつ、一路デンデラへ。


で、ついにデンデラに到着。

じゃーん!


デンデラ神殿


うん、なるほど、誰もいない、美しくのどかな神殿である。

これじゃあ、確かにツアーを組んでも赤字かも…。


が、が、デンデラのハトホル神殿は
とんでもなく気持ちよく、
素晴らしい場所だったのです!!


観光客が相当に少ないためか、場が荒らされておらず、
静謐そのもの。
神殿の中は逆に怖いほど無音で、
古代の息遣いすら聞こえてきそうです。


古代エジプトの愛と美の女神、
ハトホル(ちゃん)。

ハトホル柱

デンデラ神殿内部

ハトチャン


 
 
 
  ↓こんな本もありやす
 




ちょっと宇宙人的なそのお顔は、
遥かかなたの銀河系より地球のために降り立った異星人なのかもしれませぬ。

神殿内部の大柱にも、
「これでもか」とばかりにハトホルの彫刻がなされていて、それはそれは見事の一言!!
こんなにハトホル祭りをゆっくりと堪能出来るなんて幸甚の極み。

さらに人々にあまり荒らされていないため、
当時の彩色がかなり色濃く残っており、
華やかなその時代にタイムスリップできるほどの状態です。


内部にも謎の階段があって昇ったら屋上みたいな場所に出たり、
他の神殿とはちょっと異なる忍者屋敷の如く複雑な構造で、
SECOM要らず(笑)。

物騒な時代のご自宅としてもおすすめ物件です(←買えるならば私が買いたい!)

どこもハトホル

ハトホル神殿の外観

天上も美しい

ハトホル柱
 
  ↓ 
中央にハトホルちゃんがいるのが見えるかしら? 
何て愛らしい! ちなみに玉は太陽だそうです。
あまりに深遠な意味合いなので説明が難しいが
この宇宙が誕生するとか輪廻を表しているとか…。
間違っていたらすみませぬ。

ハトホルさん中央

ハトホルちゃんと記念撮影

ハトホルさんと記念撮影

のハトホル神殿のもう一つのウリは、
クレオパトラと、旦那カエサルと、
二人の間に生まれた子供、カエサリオンの壁画があること!

クレオパトラ壁画

エジプトでもクレオパトラのレリーフがあるのは、ここだけだとか。
私たちは深くガイドブックを熟読して神殿に行くタイプでないので、
本当に偶然の偶然にその壁画を発見したのです!!

予備知識が薄いからこそ、発見も感動百倍!

あまりに外が暑いので神殿の裏側に回り込み、
一服しようと思ったら、
その場所にこそ、クレオパトラ親子(?)3人のレリーフが
ドカーンとあったのです。


神の計らいか。偶然の産物か。


どちらにせよ、クレオパトラさんやカエサルさん、
そして、奇妙に小さいカエサリオン君
(連れ去られた宇宙人みたい…。マジで宇宙人なのか?)と遭遇し、
ご挨拶をしてからハトホルの愛に包まれた気持ちよい神殿を後にしました。


いや~、本当にハトホル神殿はおすすめです!!

あ、ちなみにハトホル神殿にはオーパーツの壁画があることでも有名です。

かの時代なかったであろう電球の画があったり、色々物議を醸しているとか。

でも、なかったとは言い切れぬ。
その時代を自分の目で見た人はいないのだから。

神殿の周囲にもたくさん遺跡があるのですが、
不細工過ぎるレリーフも発見!!



誰…?

失敗作?

さて、十分にハトホル時間を満喫した我々は、
神殿からの帰り道、
閑散とした大通りでエジプト人の
お土産屋さんに捕まった…のですが…、捕まったのかよく分からない。


何故なら、商品をまったく売ってこないし、
開口一番「コーラ飲むか?」と飲み物までくれて、
椅子まで出してきて、かなり快適なカフェ状態(笑)。


自分は新婚で今幸せなんだ、とか、
道端のおっさんたちののろけ話を聞かせれ、
写真まで見せられ、こっちも「うらやましいぞ!!」とつっこみ、
不思議な一体感に包まれました。


帰りのカフェ

何も物を売ってこない心地よいエジプト人たちとのティタイムの後、
さぁ、そろそろボブの待つ駐車場に戻ることに。

「あれ、ボブがいない!!!」


出ました、またもや、ボブの失踪事件。

探しても、探しても、ボブのあのタクシーがないのです。

慌てて神殿のスタッフに説明し、ボブに電話をしてもらいました。
そして…、分かりました。ボブの車は大型トラックに隠れてしまっていて、
まったく見えない死角になっていたことが…(笑)。


とことん残念なボブ。
でも、ボブはちゃんと待っていました。
そりゃそうか、タクシー代も払ってないのだから(笑)。


いやはや、本当にボブは面白い!!

普通の人ならば、多分ボブの一挙手一投足はしんどくなるかもしれないけれど、
私はこういう人、大好物です。


面倒くさいけど、肝やツボに入るのです。


「悪い人じゃないけど、話していて面白くない」
そんな人より大歓迎(笑)。

さて、一路、またルクソール市内へと車を走らせます。…、
と、ボブが「お茶でも飲んでいこうよ」と誘ってくれ、
知り合いのローカルなチャイサロンへと連れて行ってくれることに。


店はよく言えば青空カフェ、
要するに吹きっさらしの椅子と
テーブルだけ置いてある休憩所のようなところ。

そこに集まっているボブの友人である親父さんたちも
ワラワラと集まり、皆でのんびりとまたもやティータイム。


カフェ


実は面白い話がここであるのですが、
ちょっと公の場所では書けない内容なのです…。
ご縁がありお会い出来た方にはまた直接お話します。

まぁ、ボブの友達だわなぁ~、という内容。

とにかくお茶もご馳走になり
(というか、あのお茶は有料だったのか?)、無事にホテルまで到着。


ボブは立派にドライバーを果たしてくれました。
ありがとう、ボブ!!


「今晩、よければ、僕の家にお茶を飲みにおいでよ!」
我々にそう言ってくれたボブですが、さすがに疲労困憊で疲れたので丁重にお断り。

翌朝にエアポートに向かうことを知っていたのか、
「明日の朝、僕がエアポートに送迎するよ」と申し出てくれたのだが、
それも丁重にお断り。

なぜなら、ボブは遅刻魔だから(笑)!!!

朝7時のフライトに間に合うように彼がホテルに来るとは思えない。

メロスは来る。
でも、早朝はダメ(笑)。


蛇足な話。
ボブに、
「日本に戻ったら、俺に、日本のアーティストのCDを送ってほしい」と
何度もお願いされたので、日本に戻ってから自分が一生聞かないような
AKB48風味のCD(ブックオフで100円)やら何やらを見繕って
エジプトに送ったのだが、何のレスもなし…。


今度、ルクソールに行ったら、絶対に文句言ってやる(笑)!
人の道を教えてやらねば。

でも、ボブ、ありがとう!!
最高に楽しいルクソールになったよ~。

やはり旅は人との出会いで創られる。
感動も喜びもすべては人。
その持論は不動なのです。


ルクソール最後の夕暮れ。ナイル川、美しかった!!
母なるナイルにもお別れです。

最後のルクソール

いよいよ無計画なエジプト旅も終盤、
混沌カオス渦巻くカイロへGO BACK!!
再び、善良極まりないマフムッドの感動ストーリーが
飛び出します!!



よっしゃー、気合入れて、
排気ガスとカオスに飲まれていくぞ!!






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