【『麒麟がくる』関連本⑨】『歴史街道』2017年11月号 | 戦国未来の戦国紀行

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日本の戦国時代について



1年前の雑誌である。

戦国史の研究は日進月歩で急速に進んでいるので、数年前に書かれた学者さんの本の記述が史実ではなくなってしまったこともある。雑誌のいいところは、最新の学説で書かれていることである。(筆者が数年前の本を参考にして記事を書いていなければの話ではあるが。)
https://www.php.co.jp/magazine/rekishikaido/?unique_issue_id=84355

気になるのは、「明智城主は本当? 細川藤孝の従者だった? 最新研究で「前半生」はここまでわかった」という記事。書いているのはライターではなく、学者。最新の論文に目を通している方であるから、記事の内容も最新と考えられる。

 

 

 

 

 小説にしろ、ドラマの脚本にしろ、まずは登場人物のキャラクター設定、次に年表の制作が必要で、ここまで出来れば、プロの時代小説家(脚本家)であれば、すらすら書ける。

 

 明智光秀の正体については、

①土岐明智本家の宗主

②土岐明智分家の宗主

③自称「明智」で土岐明智氏とは無縁、または、多少の縁

のどれか分からないが、本稿では③の可能性があり、妹が妻木氏なので、明智光秀も妻木氏ではないかとしている。私は、この妹は実の妹ではなく、妻(妻木氏)の妹、明智光秀の義妹だと思っている。

 雑誌には「新説」が載るが、「新説」とは、提出されたばかりで、十分な検討がなされていない説の事であるので、注意を要する。

 

 妻木氏系図は、土岐頼重(妻木氏の祖)に始まり、南北朝時代に中絶し、織田信長の馬廻りだという妻木貞徳から再び始まる。この戦国時代に再興した後期妻木氏の正体は不明。「系図は途切れているが、前記妻木氏の血脈で、土岐一族である」と自称するが、「貞徳」の名に土岐一族の通字「頼」も「光」もなく、土岐氏には思えない。戦国時代に妻木村で新しく興った武士だと思われる。居城の妻木城には石垣があり、どうみても戦国期に築かれた城である。(ちなみに、後期妻木氏は土岐氏ではなく、加茂氏だとする説がある。)

 

 時代小説は、「御門重兵衛」という実力はあるが正体不明の人物が織田信長に気に入られ、織田信長に「今日から明智と名乗れ」と言われ、明智十兵衛尉光秀として、豊臣秀吉と出世争いを繰り広げるというパターンが多い。(織田信長は、名前を付けるのが得意というか、趣味で、明智光秀には後に「惟任」という苗字を与えている。明智光秀も真似して(?)、家臣たち(5人くらい?)に「明智」という苗字を与えている。)